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ニューワールド・ブリゲイド─学生冒険者・杭打ちの青春─  作者: てんたくろー
第三章 冒険者"杭打ち"と集う仲間達
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全員集合の予感だよー

 誰が女好きだよーっ! 僕は純粋に愛と恋と青春を求めてるだけのピュアボーイだよーっ!!

 ……と、言い返すだけの余力さえない。教授がまさか過去3年のあれやこれやをほぼほぼ、レイアとミストルティンにチクっていたなんて想定外にもほどがあるよー!


 学校関係においてはほとんど全部、モニカ教授に教えを請うていたのが裏目に出たよ……杭打ちくんのメンテナンスも含めてこの3年、リリーさんと並んで仲が良かったのは間違いなくこの人だもの。そりゃ筒抜けだよねー。

 いやそれでもまるごと全部密告してるのはやりすぎだよー。僕はいきり立って彼女に抗議していた。


「な、ななっ、何てことしてるのさ教授ーっ!?」

「ははははっ! レイア元リーダーもミストルティンもドロドロしたものを隠せない返事をしてきていたよ! 特にシアン団長については確実に目をつけられてるね! 何しろほら、3年ぶりにあのソウマくんを獲得したパーティーの団長なわけだから!」

「あっ……そ、それもあってこちらに来るのですか!? その、う、受けて立ちますけどそういうことでしたら!?」


 めちゃくちゃ楽しそうに笑うモニカ教授が恨めしい。この人完全に面白いってだけで全部伝えてたんだよ絶対ー!

 調査戦隊時代の頃からみんなのご意見番だったこの人は、裏腹に自分の楽しさとか愉快さを優先して動くこともそれなりにあったんだったよそう言えばー。

 にしたってまさか、レイアやミストルティンと文通してたなんて思いもしなかったよー。


 シアンさんはシアンさんで、なんかよく分かんないけどいきなり対抗心? らしきものをメラメラーって燃やしだしている。

 調査戦隊最強格の二人に目をつけられてるとか普通にまずいんだけど、それでも負けん気を張るうちの団長はさすがだよー、素敵ー。

 いやでもドロドロしたものってなんだろう、泥? いまいちレイア達の感情が読めないなー。首を傾げていると、教授がさらに言葉を続ける。


「元々ほとぼりが冷めたら、あの二人は少なくとも頭の一つも下げにこの町に来るつもりしていたみたいだからね。できればそこからまた、彼と組みたいって色気も多少はあったろう」

「はっはーん、さては修羅場でござるなー? 虎視眈々と狙っていたのがよそに掻っ攫われて、英雄も龍炎もそりゃ面白くなかろうでござろう。こうなるとワカバ姫も来るやもしれぬでござるなー」

「レジェンダリーセブンはおそらく全員集まると思うよ、ここに。今言った2人はもちろん、ワカバもリューゼリア嬢も新世界旅団についてはすでに知っているだろうしね」


 教授の予想に、シアンさんやレリエさん、ケルヴィンくんにセルシスくんがゴクリと息を呑むのが分かった。レジェンダリーセブン全員集合……それが意味するところは絶大だ。

 一人二人がたまたまやって来るならともかく、全員ってのは普通に大事件だからねー。大迷宮深層調査戦隊が解散して以来になるだろうし、噂を聞きつけたなら各マスコミなんかも慌ててこの町付近をうろつき出すのかもしれない。


 というか、少なくともそのうちの一人については僕も心当たりがあるからねー。

 今や冒険者パーティー"戦慄の群狼"を率いる女帝、"戦慄の冒険令嬢"リューゼリア・ラウドプラウズ。彼女によって放たれた斥候さんとはこの間、まさかの遭遇を果たしたばかりだよー。

 

「リューゼは来るみたいだねー。ミシェルさんっていう人を先遣として、この町に寄越してきてたしー」

「ワカバ姫も来るでござろうなあ。教授とのやり取りこそなかったようでござるが、それでもソウマ殿とはもう一度会いたい、できればパーティーを組みたいとしきりに呟いていたでござるし」

「ふむ? リューゼ嬢はさもありなんという感じだが、ワカバは……今はヒノモトに戻っているのではないのかね? また出奔などとできるものなのかい? あの地はとかく立場に縛られる場所と聞くが」


 もはや完全に独り立ち、どころか一団を率いて気ままに動けるリューゼとは異なりワカバ姉は元が籠の中の乙女、いいとこのお嬢様だもの。

 教授の言う通り、一度帰郷した時点で次はないようにいろいろ、妨害とかされちゃうんじゃないかなあ。


 ああでも、あの人をそんな簡単に足止めできるようなら調査戦隊は迷宮地下88階まで踏破なんてできてないからねー。

 一度カタナを振るえばあらゆる存在を切り刻む剣の鬼、とまで言われた彼女は、少なくともレジェンダリーセブンの一人に挙げられるほどには強いんだ。

 いくらヒノモトの戦士の質が平均的に高くても、世界レベルの上澄みには敵わないでしょー。 

 

「あの姫を、そんな立場なんぞで止められるならそもそも調査戦隊入りもしとらんでござるよー」

「まあ、たしかに。彼女に言うことを聞かせるなら、彼女以上の武力をもって従わせるしかないものな。ヒノモトの流儀は荒くたいが、だからこそヒノモトは彼女に何もできないわけだ」

 

 サクラさんも僕と同じ見解を示し、教授もそれに頷く。

 調査戦隊にいるヒノモト人で最強だったってことは、つまりヒノモトにおいて最強ってことだもの。

 ヒノモト流で従わせるなんて土台、無理な話なんだよー。

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