2話 出会い
彼女とは大学時代からの付き合いで、他部署ではあるが職場の先輩
彼女はいつもダメな男ばかり引き寄せる
出会って1年ほどはただの相談役だった
クリスマス彼氏に何あげよう、卒研うまく進まない、彼氏と喧嘩した、就活が…
なんて良くある悩みを聞いていたと思う
転機は突然だった
彼女からただ一言
◎着いた
とLINEが届き、インターホンの音が部屋に響いた
急に困ると注意しようとしたが彼女を見ると出来なかった
彼女は顔を腫らして泣きながらドアの前に立っていた
僕は頭が真っ白になって
「大丈夫、大丈夫です」
と意味のわからないことを言って彼女を招き入れたのを覚えている
彼女の腫らした顔にアザが残らないよう温めたり冷やしたりしながら、脱力しきった彼女から溢れる話をただただ聞いた
「彼氏に捨てられるかもしれない」
「女殴るような男先輩が捨てるべきです」
「…でも好きなの、今回は私が悪かったから」
「先輩…」
「こんな顔じゃ嫌われちゃうし謝りにいけない、彼は私の顔を褒めてくれたのに」
自分の顔が醜いと泣く彼女を前にじっとしていられず抱きしめた
彼女は一瞬身体を固くしたが僕の背中に腕をまわして僕の顔を見上げる
彼女の弱みに付け入るように
彼氏が好きで堪らないのに
そんなずるいお互いを慰め合うように
僕たちの関係ははじまりから最低だった