プロローグ
どうも、吉川です(^▽^)/
これの短編バージョンが自身最高得点を記録したので、連載化することにしました。
これの主人公は、MY中学の教師をモデルにしてます。
楽しんで読んでくれたら嬉しいです。
ガヤガヤ、ガヤガヤ・・・。
騒がしいなと、俺は職員室の机から身を乗り出して、外を見た。
案の定、いる。
ドアの前に女子生徒が数人、肩を寄せ合って職員室を覗いていた。
「どうしたんですか、七瀬先生。」
すると向かいの席の、津田先生に尋ねられた。
俺は黙って、顎で生徒を指す。
「ああ、またですか。ホントモテモテですよね、七瀬先生て。」
「でもなあ、あそこまでくると迷惑なんだよな、正直。」
「わわ、モテ男の悩み」
「うるさいな・・・。」
俺は立ち上がると、生徒のもとへ行った。こいつらは、高2かな。
「ほらほら、先生は仕事中だから。用がないんなら、帰った帰った。」
「先生。私、用ありだよ。」
「ん、なに?」
「あのね、先生のそっくりさんみつけたの!」
くだらねーと思いつつ、俺はその話に付き合った。
「どっはああっ」
「七瀬先生、お疲れ。」
机に突っ伏した俺を、津田先生はヨシヨシとしてくれた。
「重労働ですね。大丈夫ですか?」
「・・・大丈夫だと、思う?」
「まあ、大丈夫じゃないですよね、普通。くだらない話を30分も聞かされていたんですから。」
「下校の説得、毎度キツイ。」
「あははっ。いいなあ、僕もそんな悩み、一度でいいから持ってみたいですよ。」
なぜか憧れられてしまう。そして続けて、
「でも先生、独身ですよね?女子生徒の中で選ぶのも、一つの手では?」
俺は一瞬、固まった。
首筋のあいつが、いつもより強く俺を掴む。
「・・・いや、それはさすがに。」
「えー。先生若いし、いいんじゃないかなと思ったんですけどね。」
「ないない」
俺は子供のように、ぶんぶんと首を横に振った。
そして机の下から鞄を取り出した。
「先生、お帰りですか?」
「はい。あ、そうだ。先週分の活動記録、まとめておいてくれません?」
「了解です。」
「うん。じゃ、お疲れ様です。」
私はドアから生徒がいないことを確認し、早足で家路を急いだ。
マンションの5階が、俺の家だ。
エレベーターで昇り、部屋の鍵を開ける。
ドアを閉めると、俺は首筋に呼びかけた。
「いいぞ、出てきても」
すると、そこにしがみついていた小さなものが、ぴょこんと飛び出して来た。
そしてそれはむくむくと膨らんで、女性の姿になった。
この女性は、実を言うと俺の彼女、美菜である。
しかも、普段は手のひらサイズで、俺の首元やら胸ポケットやらに潜んでいるのだ。
そんな彼女が大きくなれるのは、夜の間だけ。
美菜は美人で、清潔感がある。しかし・・・
「あー、お腹空いた。アイス買ってきて。」
「ええ、疲れてるのに。」
「いいから。」
なんというか、わがままなのだ。まあ、後悔するほどのひどさではないが。
俺はしぶしぶ、鞄をエコバッグに持ち替えた。
「ご注文は。」
「んーと、ぺピコのコーヒー味。」
「了解。」
俺は部屋に入って3分で、アイスを買いに外へ出た。
俺、七瀬陽斗は、○○高校の数学教師をしている。
今は3月で、教師にとっては大忙しの時期。
そう。入学式があるのだ。
新しく入ってくる1年生の教材やらなんやらで、職員室は大混乱している。
さあ、明日も仕事だ。
俺はぐいい、と伸びをした。