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4親父の帰還

投稿がだいぶ遅れました。

もう一つの連載している方に時間を取られてしまったと言うのが言い訳です。

「ただいま」

「おかえりー」


とりあえず町内を2周ほど走ってきた。これぐらいで足が疲れてしまう。

まだまだだな。


「見て、部屋片付けたの!」


そう言って胸を張る彼女。

その周りは確かに綺麗になっていた。


「よし、床で寝る権利を与える」

「まだ床なの⁉︎せめてソファに」

「次の報酬は枕だ。せいぜい働くことだな」

「ブラックすぎる……」


人並みの生活を得るためには働かなきゃいかんのだ。


「じゃあシャワー入ってくるからなんか働いとけ」

「もう指定もされなくなったよ!」


自分が何をしたらいいかは自分で考えるものだ。


––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––


シャワーから上がると前川は狭いキッチンで何かしていた。


「お前料理できたのか」

「趣味でやってたから」

「ふーん」


対して関心も湧かずにベッドに寝転がってスマホをいじる。

すると親父からメッセージが入っていた。


『出張先が近いからお前んとこいくわ』


届いたのは7分前。

駅からうちは徒歩で7分。

つまり


ピーンポーン


「前川!隠れろ!」

「えっなん」


動揺している前川を無理やりベッドの中に押し込む。


「絶対静かにしとけよ」


そういった後、インターホンで応答する。


「えーこの家は現在留守です。なので帰ってください」

「はいはい。じゃあ入るな」

「ちょっとは聞く耳もて!」


そういえば親父って合鍵持ってたっけ。くそっ、奪っときゃよかった。


「よぉ太郎ぉ」

「俺は太郎じゃねえ」

「次郎か?なんでもいいや」

「息子の名前を忘れる父親とか最低だ」


チクチクと痛そうな髭に、ヨレヨレのスーツ。ちょっとタバコくさい。

典型的なダメ親父だ。でも何故か年収1200万ぐらいある。おかしい。


「仁。学校はうまくやれてるか?」

「名前覚えてんじゃねえか……、ああ、リア重生活送らせてもらってるよ」

「な訳ねえだろ。嘘つくんじゃねえ」

「息子のことをよくわかっていらっしゃる」

「あたりめえよ。お前の顔は上司の次に見てきたからな」

「次かよ……」

「そういえば仁。お前の学校にマー坊がいるらしいぞ」

「まじで⁉︎」


マー坊というのは昔よく遊んでいた友達だ。

泣き虫でびびりでいっつも仁にい仁にいとついてきた可愛いやつ。ずっと前から音信不通だったがまさか俺の学校にいるとは。


「それは探さなきゃな」


あいつだけはこのゴミみたいな世界で一緒にいたいと思える。まあ俺も昔はこんなに捻くれていなかったのだが。


「そういえばお前今誰か家に呼んでんのか?」


ぎくっ。

何でわかった。


「いや。俺に家に呼べるほどの友達がいるとでも?」

「ならなんで玄関にお前以外の靴があるんだ?」

「あーあれね。あれ新しく買ったんだよ」

「女子が履きそうなやつだったけど?」

「たまにはそういうのもアリかと思って」

「ふーん」


どうにも信じてなさそうだがいいとしよう。

それにしても靴か。盲点だった。


「………そこだ!」

「あ」


親父がやけにキョロキョロすると思ったら唐突に前川の隠れているベッドの布団をめくった。

終わった。


「そんな……」

「親父!これはちがっ」

「おいおい仁さんよ。いつの間にこんな可愛い子家に連れ込めるようになってたんだ?」

「これは違う。今日家に入ってきた強盗をとっ捕まえただけだ」

「強盗じゃないよ!」

「ははは!見苦しいぜ仁。青春できてんなぁ!」

「おい勘違いは」

「安心したぜ。ぼっち決めて一生独身なんじゃねえかと思ったけどこんな可愛い子見つけてくるとは……てかお前、よく見たら……」

「ひっ」

「……なるほどねえ、そういうことか。まあ頑張れよ」

「だからちげえ」

「じゃあな。近いうちにまた顔出す。避妊はしっかりしろよ」

「はわわ」

「二度と帰ってくんな!クソ親父!」


親父は気障ったらしく手を振って出ていった。

そして当然最後にあんなことを言われたら気まずい空気になるのは仕方ない。


「……」

「……」

「……飯作れ」

「……わかった」


各自の作業に戻った。


––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––


「ごちそうさ……してやりました」

「どんだけ言いたくないの⁉︎」

「うるさい。枕無くすぞ」

「脅迫だ!」


前川の作ったパスタはまあまあ美味しかった。

ただこんなやつに礼を言う義理はない。


「じゃあ俺はゲームするからお前も休憩しとけ」

「休憩?どうしたの?熱ある?」

「燃やすぞ。ゲームに目障りだからだよ」

「またまたそんなこと言って」

「よしベランダ決定」

「すいませんでしたぁ!」


ったく。どこまでも調子に乗りやがって。

ゲームを起動する。

俺がいつもやるゲームはいわゆるFPSと呼ばれるやつだ。

日頃の鬱憤を晴らすつもりでやってたらいつの間にか日本順位で上位に食い込んでいた。

今日も今日とて打ちまくる。

主に親父への鬱憤を晴らす目的で。

敵を全員親父だと思えばいい。

コンテナの裏に少しだけ見えている親父の頭を狙撃。

急に建物から出てきた親父を射撃。

死人のアイテムを物色している親父を奇襲。

まずは一勝。


まだまだだぜ親父……


結局合計50人位の親父を打った。

ひと段落ついてゲームをやめる。


そして前川はというと。


「おい前川ぁ」

「ひゃ、ひゃい!」

「いつ誰がベッドに寝転んでいいって言った?」

「す、すいません!つい!」


俺のベッドの上で悠々とスマホをいじっていた。


「しかたねえ。枕無くすだけで許してやろう」

「ははぁー。ありとうございますぅー」


ベッドの上であっさりとひれ伏す。こいつにプライドというものはないのだろうか。


前川はベッドを腰掛けに床に座り、俺は寝転がりながらスマホをいじる。高校生なんてだいたいこんなものだ。お前たちだけだって?ベランダ行きにするぞ。


そしてあっという間に時間はすぎ、あたりは暗くなっていた。


「じゃあ私夕食作るね」

「ああ」

「何かリクエストある?」

「なんでもいい」

「それが一番困るんだよねぇ」


そう言って彼女は冷蔵庫を覗く。


「なんにもないし……仕方ない。買いに行ってくる」

「がんばれー」

「なんかむかつくなぁ」


煽ってんだからムカつくに決まってんだろ。

前川がぶつぶつ言いながら買い出しに家を出る。

俺はもちろん遊ぶ。


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