1話 思ってたんとちゃう!
どうもこんにちは。この度新しい小説を書かせていただきます。最近なろう系はハーレムやチート、追放系ばかりになって来たので、少し違った話を出そうとしてみました。楽しんでいただければ幸いです。
皆さんは赤色矮星というのを聞いたことがあるだろうか。
赤色矮星は銀河系でいちばんありふれた星で、全ての星の約70%を占めていて最も一般的な星と言われている。さらにその周回軌道上には水のある惑星がありえる、と言われている。つまりそれらの惑星には大気があり、生命をサポートできる可能性がある。ここまでの話をまとめるとつまりは、人類が住める可能性のある赤色矮星が存在するということだ。
そしてそんな赤色矮星の中で人類が住める可能性のある星が爆発的に増えているそうな。そんな数ある星の中の、地球とは違った世界のお話。つまりは、「異世界」の物語。そんな異世界での話が、今始まろうとしていた。
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…俺の名前は違場 太郎。社会人一年目の男である。なんで語り始めているかと言うと、時間が空いているからである。今この何も無い空間で待たされている間、自分の状況を整理するという意味も込めて、俺の人生について少し語ろうと思う。
唐突だが俺は死んだ。ここは生と死の境目みたいな所だと勝手に思っている。俺はいつも通り仕事を終えて、帰りに本屋によった。俺の会社はブラック企業のため帰りが遅く、本屋はほとんど閉まっていたが、たまたま一店舗だけ空いていた。今日はお気に入りのラノベの新刊が出る日なのだ。最近なろう系のラノベにハマっている。なろう系の最近のブームは追放系(○○でももう遅い!)というものみたいだ。
そして最近の転生系は非常に面白い。特に主人公がチートなのがかっこいいし気持ちいい。さらに女の子にモテるのもこれまたいい。悪者を圧倒的な力でねじ伏せる。これは全ての男の憧れとも言える。と思う。
そんなことを考えてラノベの新刊を買って家に帰っていると、突然!目の前にトラックが突っ込んできたのだ!俺はそのトラックに引き寄せられるかのように引かれた。とんでもない苦痛だった。苦しくて苦しくて何度も吐きそうになったが、吐くことも出来ない。意識が朦朧としながらもトラックを見ると、そこには「地球発・ロスイニバ行き・社畜用転生トラック」という文字が刻まれていて…
「気づいたらここだ。」
なんにもない真っ白の空間。ずっとここにいると気が狂いそうだ。曖昧な記憶ではあるが、トラックにはロスイニバ行きと書いていたから、ここが「ロスイニバ」というところなのだろうか。それはともかく、これは異世界転生で間違いないのか?もしそうなら、高校の時からの叶わぬはずだった夢が遂に叶うはずだ……チート!無双!ハーレム!この三拍子がついに俺の手にも……
「こんにちは。調子はいかがですか?」
急に誰か出てきた。綺麗な女性だ。背中に大きな純白の羽が生えている。神様だろうか。
「あなたは誰ですか?」
「私は大天使です。名はありません。あなたの異世界転生の担当となりました。」
「!!…やっぱり異世界転生なんですか?!」
「その通りです。」
…来たぜ来たぜ。俺の時代が!目の前にいる方は神様ではないみたいだが、転生を担当してくれるだって。ついに俺にもチートハーレムが!こんなこと、本当にあるんだなぁ…感激。
「…では、早速異世界に行きましょう。」
「え?ち、ちょっと待ってくださいよ。スキル渡し忘れてますよ!天使さん?」
「スキル?そんなものあるわけないでしょうが。あと私は天使ではなく大天使です。」
「…はぇ?え、す、スキルは?チートは?スキルがなくても、チートアイテムとか、くれるんですよ…ね?」
「スキルもアイテムもないです。貴方、自分がなぜ異世界に行くのかわかってないんですか?」
「え?手違いで死んだから〜とかじゃないんですか?」
「我々が手違いで人を殺すわけないでしょう。笑わせないでください。貴方は地球の環境と不適合だったため他の文明がある星、つまり異世界に送られるのです。これ以上の事情は一介の人間には教えられませんが。」
「不適合の人間如きにスキルやアイテムを渡すわけが無いでしょう?」
「…なん…だと…?! 」
頭がいっぱいいっぱいである。訳が分からない。何故なんだ?貰えるはずのチートもアイテムもスキルすらも貰えないなんて…しかも、不適合の人間だって…悲しい…一生懸命生きてきたのに…
「…少し言い過ぎましたね。分かりました。少しだけお助けします。あなたが行く星の情報を教えといてあげます。」
正直、それだけ?という気もしたけど、仕方が無いのでしっかり聞いた。今から行く星の名前はロスイニバというそうだ。トラックで見た名前だ。星の環境は地球とほぼ同じだそうだ。しかし言語や文明は現代の地球とは全く違うらしい。
ただ、偶然にも文明に関しては、現代の文化、文明とは違うものの、中世ヨーロッパのような雰囲気に魔法という画期的な技術が存在し、場所によっては現代社会よりも発展している部分もあるらしい。そして地球とは違う種族もいるそうだ。簡単な話、ラノベの世界だ。
これは助かった。いくらスキルがないとはいえ、ラノベの世界であれば完全攻略済みである。いやまてよ、そう考えると俺はラノベで言うところの最弱からの成り上がり無双では?……やる気が出てきた。これからは……
「いつまでそう考えているのですか。もう時間がありません。では行きますよ。さようなら〜。」
「ちょっとまっ…!!t…
これは普通とは少し違った異世界転生のお話。
いかがだったでしょうか。この小説を書き始めたきっかけが前書きで書いた通りになろう系と少し違うものを出したいというのと、もう一つ理由がありまして、ありがちな異世界転生ものでも設定頑張ったらなんとかなるんじゃね?という思いを持って作りました。なので設定は結構凝ってます。多分。
以下、ちなみに情報
主人公の名前の違場という苗字は分かるかもしれませんが、「場違い」というところから来ています。
そしてロスイニバという星の名前ですが、実在する、Ross 128bという星の名前からつけてみました。