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返事がない・・ただの機械のようだ(桃花)

作者: 狼花

 人通りの多い商店街の一角にあるスーパーで私は小さな唸り声をあげていた。

「でない・・ルシファーが出ない・・」

店頭に置いてある100円玉を入れて取っ手を回すとカプセルに入ったフィギュアが出てくる通称ガシャポン。

かれこれ10回挑戦しているが七つの大罪の傲慢を司るルシファーだけが出ない。


 ”七つの大罪”

 

 それは人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情のことを主に表しており

傲慢、強欲、嫉妬、暴食、怠惰、憤怒、色欲の七つの感情を指す。

そして、物語の創作上においては主にこの七つの感情一つに対し一体の悪魔が割り振られる。


 私はこの七つの大罪シリーズをコンプリートして部屋に飾りたいんだけど最後の一体、傲慢のルシファーだけが出ない。

フィギュア自体、クリスタル加工が施されておりデザイン性も私の好みだからぜひともコンプリートして棚の上にも飾りたい。


 クリスタル加工、悪魔、私好みのデザイン。

私は本気で全部集めたいんだけど私の理想とは裏腹に出てくるのはもう持っているものばっか。

本当にこのガシャポンの中にルシファーはいるのだろうか?

このまま最後まで回しても出ないということもなくはないよね。


 ・例えば私より先に回した人がルシファーを出したとか

 ・例えば元からルシファーだけ入ってなかったとか


 そこまで考えて目の前にあるこのガシャポンを見ると果たしてお前を信じてお金をかけていいのかという懐疑心すら抱く。

・・・  ねぇ、ルシファー持ってるの?  ・・・


 私も小学校の高学年、しかも女子。

ガシャポンを回すのは少し恥ずかしいし、知り合いに見つかりたくなかったから電車で隣町まできて回してるのに。

・・・  ねぇ、ルシファー持ってるの?  ・・・


 「おねぇちゃん。つぎ、ぼくしたい」

不意に声をかけられ隣を見ると私よりも小さい男の子がいたのでいったん代わってあげる。

ガチャ、ガチャ、コン。

男の子がガシャポンを回してカプセルを取り出す。

ん!? あの赤の模様はルシファーでは・・・


 「こうちゃん、終わった?」

「あ、お母さん」

こうちゃんという男の子はそのままルシファーのガシャポンを手に母親の元へ駆けて行った。

・・・  そんな、馬鹿な!  ・・・


 私はふつふつと理不尽な怒りがこみ上げる。

私は我に戻ると今までカプセルを排出していたガチャガチャの機械を睨みつけた。


 ・・・  ねぇ、まだルシファー持ってる?

      それとも今の男の子が持って行ったアレが最後のルシファーだったの?  ・・・


  ねぇ、あなたを信じていいの? それともここでやめたほうがいいの?


 しかし、ガシャポンの機械に反応はなかった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 初めまして。ネオ・ブリザードです。 お話、面白かったです。 重課金勢が、微課金勢に敗北した瞬間ですね。 ……違うか。 [一言] 私さん「私は……一体どうすれば……」 機械「きっと…
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