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第83話 神現る

「ライムは?」


 ジュサが無言で首を振る。

 聖騎士の関係者じゃなかったのかよ。

 簡単に無関係な子供を殺しやがって。


「ライムは生きているよ」

「ミディ、何だって。それは幽霊としてか」

「ううん、上手く言えないけど、ゴーストがこの空間はライムだと言ってる」


 空間がライム。

 何の事だ。


 その時、ライムの遺体が光を放つと

 半透明の絶世の美女が現れた。

 その顔はライムの面影がある。


 ライムは最初から幽霊だった。

 それなら、ミディが気づくはずだ。


「わらわを殺してくれ」

「成仏させてほしいのか」

「半分当たりだ」

「どういう事だ」

「話せば長くなる。はるか昔、人々は平穏な暮らしと生きる事を願った。その願いがわらわを産んだ。しかし、時代は移り変わり、人々は裕福な暮らしを追い求め人を差別する事を始めた」

「もしかして、神なのか」

「死にかけのな。人々の怨嗟の声がわらわを蝕む」


 ああ、だからこの世界の人間が敵なのか。

 誰しも神を呪う事はある。


「なんで俺は例外なんだ」

「そなたは神の存在を信じてないだろう」


 そうだ、確かに信じてない。

 初詣には行くが、行った先でなんの神様が祭られているかなんて気にしない。

 葬式は仏教だが、本気で信仰しているかと問われれば、してないと答えるだろう。


「放っておいても長くないんだろ。なぜ殺されなきゃいけない」

「神は死なない。死んでも願いによって復活する。しかし、今の世で死んで生き返ったら差別を助長する存在になってしてしまう。もの凄い怨嗟の声が上がるのは想像に難くない。そこで死体術士じゃ」

「アンデッドになりたいと」

「そうじゃ頼む。物理的に殺す必要はない。このまま死体術を掛けてくれればよい」


「いいよ、やってやる。ゾンビになれ【メイクアンデッド】」


 半透明の美女が実体になった。


「死に変わったのだ。名前を新しくつけてほしい」

「じゃ(ばん)だな」

「どういう意味じゃ」

「世界って事だな。バンは世界の始まりでもある」

「分かったバンだな」


「サクタ、さっきから聞いてたけど。女の子の名前だとバンは可愛くない」

「じゃあ、どんなのが良いんだ」

「バンレーヌとか」

「わらわは真名をバンにして、愛称をバンレーヌにしよう」

「好きにしたら良い。ところでバンレーヌはやりたい事はないのか」

「そうじゃな。シュプザム教会には復讐したい。あやつらのせいで地獄の煮え湯を飲まされた」

「よし打って出よう」


 さて、戦利品チェックといきますかね。

 幻惑を作り出していたのは杖の神器らしい。

 闇の魔力が弾かれたので神器だと分かる。


 他にもポーション瓶の神器があった。

 ここまで来れたのはこれがあったからだろう。

 想像するにエリクサー並みの効果を何度でも発揮するに違いない。


 神器をアンデッドにして遂に俺のレベルが80になった。

 これでトゥルーヴァンパイアが作れる。


「トゥルーヴァンパイアになれ【メイクアンデッド】」


 勇者達をトゥルーヴァンパイアに作り替えた。


「あそこに宝箱がある」


 ミディが声を上げた。


「わらわからの贈り物だ」


 俺は宝箱に手をかけて開けた。

 中には指輪とモノクルと杖があった。


 俺達の数の分だけ闇の神器が揃った。


「指輪は魔獣を魅了する効果がある。モノクルは霊を強制的に従えるようになる効果がある。杖はアンデッドを劣化させなくさせる効果だ」

「大切に使わせてもらう」


「バンレーヌは何が出来るんだ」

「全ての魔法が使える。魔力も無尽蔵だ。今やりたい事がある。いいか」

「なんだ」

「この檻を壊したい」

「この神殿は檻だったのか。誰が作ったんだ」

「わらわに決まっとる」


「自分を閉じ込める檻を自分で作ったのか」

「怨嗟の声を緩和するには仕方なかったのだ」

「今は必要ないのか」

「わらわは神ではない。神のゾンビだ。怨嗟の声は届かん」

「じゃ、ミディと友達になってやってくれよ。全ての人間が敵なんていたたまれない」

「いいぞ、ミディよ、友となろう」

「改めて、よろしくね」


 神殿を出ると、神殿は砂となっていった。

 洞窟を出るとヴァンパイア領主の使いが来ていた。

 教会軍が進軍を始めたらしい。


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