第57話 愛馬ができる
ビーセスが活動するにはドラゴンを身近において置く必要がある。
俺達は拠点を野営地に移す事にした。
四人は引越しで忙しくしている。
俺はホムンクルスの駒箱をメンテナンスする為に錬金術師のケミカのところに連れていった
「こんにちは」
「いらっしゃい。メンテナンスだね」
「ああ、頼む」
ケミカはメンテナンスしながら俺と雑談を始めた。
「竜媚香が大量に作られたらしいわ」
「竜媚香ってなんです」
「ドラゴンを引き寄せる薬よ」
「その材料が値上がりでもしましたか」
「さっしが良いわね。その通りよ」
「何者かが暗躍していると」
「ええ」
これは第二第三のセイルーが現れるな。
帰りに領主の所に寄るとちょうど救援依頼が入ったところだった。
こんどはザークと呼ばれる都市だ。
やはりドラゴンの被害だった。
セイルーと共通しているのはどちらも反シュプザム教会を掲げている事だ。
怪しい臭いがぷんぷんする。
セイルーはネオシンク教に鞍替えしてくれるそうだ。
味方が増えたのなら頑張った甲斐があったというもの。
たぶんセイルーの領主も、シュプザム教会の怪しい動きには、うすうす気づいているのだろう。
俺達はドラゴンに乗って出動。
ザークに行くとなぜかドラゴンとペガサスが戦闘していた。
ペガサスに鞍がついているところから誰かの乗り物だったのが分かった。
街に外の少し離れた所に騎士が一人亡くなっていた。
きっとこの騎士がペガサスの持ち主だったのだろう。
ペガサスは分類すると魔獣だ。
しかし、人に慣れる事もあってシュプザム教会は聖獣認定していた。
確かに格好いいからな。
ペガサスに助けに入りたいがはっきり言って邪魔だ。
空中を飛びまわっているため、ビーセスが従えるのも無理。
「がんばれ、ペガサス」
「そうだ、負けるな」
「頑張ってー」
「そこよ蹴り」
「頑張れー」
俺達はドラゴンとペガサスの戦闘の様子を固唾を飲んで見守った。
しかし、声援むなしくペガサスはドラゴンの爪に引き裂かれ墜落。
「気にいったぜ。ペガサス。あたいが仇を討ってやる」
「そうか、ビーセスがやるか。任せた」
「ドラゴン達、やっつけろ」
小振りなドラゴン二匹対ドラゴンの戦闘が始まった。
小振りなドラゴンは前衛と後衛に分かれて攻撃。
やはり前衛のドラゴンは分が悪い。
「交代!!」
ビーセスが叫ぶと前衛と後衛が交代する。
そして、ビーセスが貧者の楽音を投げる。
後衛のドラゴンはそれを飲み込んだ。
たちまち傷が治り、こちらの戦力は振り出しに戻った。
何回か交代を繰り返し、次第に敵のドラゴンの傷は増えていく。
最後に前衛のドラゴンが首に噛み付いて勝負は決まった。
「これであたいもドラゴンスレイヤーだぜ」
「もう、私だけ仲間はずれ」
シャデリーがそう嘆いた。
「ミディもドラゴンやっつけてないよ」
「ミディはいいのよ」
「ミディも! ミディも!」
「ミディはドラゴンのゴーストを操ったら良い」
俺はそう提案した。
「やってみる。ねぇ起きて、私と友達になって【ネクロマンシイ】」
「どうだ」
「できた。でもドラゴンのゴーストはお話をしてくれない」
「まあドラゴンを攻略したという記念だ。従えとけ」
「うん」
死んだドラゴンとペガサスをヴァンパイアにした。
ペガサスヴァンパイアは名前を成桂にした。
本当は竜馬にしたかったんだが、戦闘力ないしな。
俺の愛馬ができた。
「ビーセス、どうだ例の臭いはするか」
「ああ、ドラゴンが感じ取っている」
「そうか、やっぱりな」
「次は私をドラゴンスレイヤーにして」
シャデリーがそう言い出した。
「うーん、闇魔法でドラゴンを倒す方法ねぇ」
「あたいが思うに、眠らせて切りかかったらいいだろう」
「無理よ。剣なんて使った事がないわ」
「大砲が撃てるんだよな。ドラゴンに大砲を運ばせるか。でも当たらんだろうな」
「みんな私を助けて、お願い」
「爆発はな。密閉した所で起こると威力が上がる。密閉した鉄の容器の中で爆発を起こせるか?」
「可能だわ。魔力は物を貫通するから」
「じゃあ帰ったら、鉄塊で中が空洞な物を作ってもらえ。そして、投げて爆発させる」
「上手くいくかしら。練習すれば……」
「とにかく、やってみたらいい。じゃあ帰るぞ」
俺は愛馬の成桂に跨って帰路についた。
気がかりはシュプザム教会だ。
ドラゴンの被害がまた出なきゃいいけど。
こんな事を引き起こしているやつらをやっつけたい。
原因は根元から解決しないと。




