第52話 霊使い脅迫屋と乗り移らせ殺し屋
次に現れた犯罪者は霊使い脅迫屋と乗り移らせ殺し屋のペアだ。
両方とも霊術士だ。
もう既に街に潜入しているらしい。
宿を特定中だ。
霊使い脅迫屋はゴーストに他人の秘密を暴かせ脅迫するというもの。
金を払わない奴は乗り移らせ殺し屋がゴーストを取り憑かせて殺害するという手口だ。
俺は領主から呼び出された。
「何だよ。大事な話なのか」
「ゴーストというハエがうるさいのですよ」
ああ、あのペアは領主をターゲットに選んだのか。
「憑依されないのか」
「死んでますから。物に憑依するのはポルターガイストです」
「後でミディから聞いて対策を取るよ」
「ええ」
「牢屋の奴らは元気か」
「血を飲む以外は寝てますね。牢番が不気味がってます」
「よし牢番もアンデッドに代えよう」
ミディはこの時間だと孤児院の子供と遊んでいるはずだ。
「お姫さまはだーれだ」
「うーん、エクラ」
「違うよ。私は侍女」
「お姫様の本日のお召し物は」
「赤い物を身につけているわ」
「じゃあ、赤いリボンのミディ」
「私は料理人」
「お姫様が本日お召し上がりになった物は」
「パンとカブのスープと干し肉」
「そんなのみんなじゃない。ずるい」
子供達が輪になって遊んでいる。
「ミディすまない。今、抜けられるか」
「うん、大丈夫」
「悪いな。ちょっと聞きたい事がある。ゴーストや霊を寄せ付けないようにしたい。何か手はあるか」
「完璧なのは光魔法。炎と強い光は苦手」
「他に手は」
「魔力を断ち切れば良い」
「どうやって」
「霊を憑依させた剣で切る」
俺は剣を急いで買ってきた。
「よし、この剣に憑依させてくれ」
「ポルターガイスト、お願い」
剣が鞘の中でカタカタと音を立てる。
その剣をエイブリーに送った。
霊が切れる妖剣が手に入ったので献上しますと伝言を添えた。
これでゴーストが寄ってきても大丈夫だろう。
「ところでアンデッドに憑依させたらどうなるんだ」
「できない」
「なんでできない」
「器に穴が開いているからだと教わった」
ええと、アンデッドになるとマスターと繋がる。
それが穴なのか。
つまり、憑依しようとするとその穴から何かが漏れるのだろうな。
既に憑依している者にも無理なのか。
「既に憑依している者に二重に憑依させられるか」
「無理だよ」
「なるほど。悪かったな。もう遊びに戻ってもいいぞ」
脅迫屋と殺し屋の宿はすぐに見つかった。
操られるのが問題なら、操られない者を向わせれば良い。
俺はデュラハンの一人に二人を殺害するように命じた。
部屋の扉を蹴破りデュラハンが中に入る。
激しい物音がしてすぐに静かになった。
片付いたようだ。
俺が中に入ると一面は血の海で男女が腹を切られて死んでいた。
俺はと金を放つと流れた血を吸収するように命じて、証拠隠滅をする事に。
二人をヴァンパイアにして縄をかける。
デュラハンが領主に突き出してくれる手はずだ。
「これはいったい」
物音を聞きつけた宿の者がおっかなびっくり話し掛けて来る。
「指名手配の極悪人だよ。領主の命で捕らえにきた」
「ずいぶん酷く壊されたようですが」
「壊れたものは領主に請求するようにしてくれ。領主は公正なお方だ。きっと払ってくれる」
「信用しておりますとも。税金を安くして頂いて助かっています」
「捜査に協力してくれるか。この部屋の貴重品入れを開けてくれ」
「はい、ただいま」
宿の者にあけさせると、中には金貨と脅迫のネタが入っていた。
聖職者を強請ったネタもあるな。
後で役に立つかもしれない。
保管しておこう。
その時、宿の裏手で爆発音がした。
急いで駆けつけると、吹き飛ばされたデュラハンが起き上がる所だった。
「やった奴の顔を見たか」
「ええ」
俺は人相書きを見せた。
「この男です」
「闇爆発魔か」
闇魔法のダークボムをこよなく愛する奴らしい。
二人のヴァンパイアを連れて行って何をするつもりなのかな。
しばらくしてヴァンパイアの二人が帰って来た。
「何だって」
「救出代として金貨100枚要求されました」
「よし払ってやるか。後で取り戻すけどな」
二人には別の宿で潜伏してもらう事にした。
闇爆発魔をおびき出すためだ。
作戦を立てないとな。
今回の相手は敵わないと知った瞬間に自爆する事も考えられる。
さて、どうしようか。




