第43話 ビラ撒きスケルトン
新スラム街の様子を見に行った。
「見ろよ。金づるが歩いてきたぞ」
スケルトンが入って来ると住人が寄って集ってタコ殴りだ。
「うひゃー、たまらねえ。暴力の発散も出来て金になるなんて、なんと親切なんだ」
「俺は油断させといて、後でばっさりだと思うと。恐くて恐くて」
別にスケルトンが憎くてやっている訳ではない。
スケルトンが持っているビラが金になるのだ。
紙って貴重だもんな。
俺は当然のことながら木をスケルトンにして紙の代わりにしている。
ゼリービニールの応用だ。
抵抗しないスケルトンが倒されて、持っていたビラがぶちまけられた。
「それは俺達のだ。取ってくな」
「ふん、俺は地面に捨ててあったのを取っただけだ」
「おっ、やるか」
「そんなことより集めないと他のやつらに」
「おい、俺達にスケルトン倒させておいて、そりゃないだろ」
住人達が必死でビラをかき集める。
このビラは字を書く練習に使うらしい。
字が書いてあるのも構わず上に重ね書きするんだと。
街の人間が買いに来ているとの事。
スラムの人間は字が読めない者が多いので、ビラの効果はあまりないかなと思っていた。
だが、ビラの効果はあるようで、紙で作ったペンダントを身に着ける住人もちらほら出てきた。
ビラを売るときに街の人間に内容を教えてもらうパターンが多いそうだ。
顔役の所でそう聞いた。
「今日も頼むぞ」
孤児院で孤児達に俺は話し掛けた。
「うん、骨は恐くないから」
「何が恐いんだ」
「殴ってくる大人」
「そうか、分かっていると思うが、肉が付いている死体には触るなよ」
「病気になるって言うんだろ」
孤児がやっている仕事はスラムでの死体の後片付けだ。
スラムの一角に穴がありスラムで死んだ大量の人骨が入れられてた。
スラムを賭博場にするにはこの人骨が邪魔だ。
土で埋め立てて建物を建てるのは流石の教会もためらったのだろう。
聖騎士や街の人は嫌がってこれに触りたがらなかったので、孤児がその片付けをしているという訳だ。
「帰ってきたら甘い薬が待ってるぞ」
「私、あのお薬好き」
貧者の楽音を骨の片付けの仕事をしている子供達に必ず飲ませる事にしている。
病気にするつもりはないからな。
子供達に仕事をやらせる事に始めはかなり抵抗があった。
前の世界の常識では暴挙だからな。
でもこの世界では子供が働くのが当たり前だ。
悲しい現実だな。
開拓地を街にしたら子供を働かせたらいけないという罰則を作りたいと思っている。
店で仕事を終えて孤児院に戻ると子供達が帰って来た。
「さあ、水浴び、うがいだ。それが済んだら薬だ。飲まない奴は孤児院に入れないからな」
「分かってるって」
子供達に薬を飲ませ本日の収穫を確認する。
「ええっと、だいたい十体分だな」
収穫とは子供達が回収してきた人骨だ。
俺は荷馬車に骨を積み森に向った。
誰も居ないのを確認して。
「骨よスケルトンになれ【メイクアンデッド】」
スケルトンが一体立ち上がる。
「ここで伏せて待機してろ」
スケルトンを作れるだけ作り、カモフラージュに余った余分な骨を撒いた。
このスケルトン達はビラを撒かせる役目にあてる。
ビラを持って行かせると壊される使い捨てだからな。
薪拾いのチンピラヴァンパイアに会いに行った。
現在、薪拾いはチンピラヴァンパイアに全て任せてある。
今日は報告を聞く日だ。
「どうだ、変わった事はないか」
「人気が出すぎて捌けない」
「そうか、応援に誰か来させよう」
「ネオシンクの信者もだいぶ増えました」
「よし、いいぞ。ネオシンクの信者に、これはという者がいたら贔屓してやれ」
「はい」
そろそろ、改宗を勧めてから、開拓地に連れて行ってもいいかもな。
スパイは住人に紛れているだろうけど、問題ない。
紙のペンダントをする勇気はないだろうし、改宗のとき踏み絵もさせるつもりだ。
闇魔法に確か記憶を読み取るのがあったな。
非人道的だが、使うか。
いや、しかし。
俺はそこまでしたくない。
甘いと言われようがそう思った。
改宗も平気な金に釣られてのスパイは防ぎようがない。
この手の輩が現れたら、その時は仕方ないと諦めよう。
全面戦争もやむなしだ。




