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漬物はネクロマンサーの香り~大量レベルアップの秘訣は新鮮な野菜の死体。大根アンデッド(漬物味)から始まる最強への道~  作者: 喰寝丸太
第6章 チーム・フリーダークから始まる大脱出

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第36話 逃避行

 俺達が乗った馬車の列は街が見える所まで到達した。

 ここいらで良いだろう。


「みなさん、ご苦労様です」

「悪いね。運んだだけなのに金貨一枚も貰っちゃって」


「いいんですよ。助かりました。相手の商会の馬車がいずれ来ますので、肉は下ろして下さい」

「分かってるよ。街に入ると税金が掛かるのだろう」

「そうなんですよね」


 村人の馬車を全て見送った。

 肉を一所に集める。

 黒いマスクを被り、さあ行動開始だ。


「ビックモールよ、元の姿を取り戻せ【アンデッドヒール】。決め台詞は敵の前だけでいいだろう」


 肉が合体してビックモールは生きている時の姿を取り戻した。

 道から離れた林の中に俺達は入った。


「ビックモール、頼むぞ街の中までトンネルを掘ってくれ。ミディ、ゴーストに先導させてトンネルの位置を確認するんだ」

「うん、分かった」

「ジュサは石化の呪いを頼む」

「土壁よ石化せよ【カース】。つまらぬ物を呪ってしまった」


 ビックモールが掘った穴の壁は石化して崩れなくなった。

 よし、順調だ。


 夜が()ける頃にはトンネルが出来上がった。

 宿の裏手に開けられた入り口にはコミュニティのメンバーが揃って待っていた。

 入り口はもう一つスラムにも開けてあるはずだ。

 ビックモールに先導させてトンネルの中を中腰で皆と進む。

 入り口の穴は後に残る普通の職業を持っている信者が埋めてくれる手はずになっている。

 その信者は後で旅人として開拓地まで来てもらう事にしてあった。


 出口に着くとネオシンク教の信者が既にいて、禁忌持ちの集団を紹介したところ。


「禁忌持ちが一緒なんて聞いていない」


 ネオシンク教の信者がごね始めた。


「みなさん、ネオシンクの教えを忘れたのですか。全ては平等です。危険を(おか)してまで助けに来てくれたのです。感謝する必要はあっても、非難する必要はありません」


 チンピラ神官が(さと)す。


「正しい行いをするんだ」

「そうだ」

「そうよ」


 どうやら、不満は一時的に収まったが、どうなる事やら。


「えー、言い(にく)いのですが、皆さんには羊になってもらいます」

「そんな、話は聞いてない」

「では、開拓地まで後をつけられず注意も引かないで、移動できる手があったら教えて下さい」

「うっ、それは」


「はい、はい。ここで立ち止まっても事態は好転しません」


 俺はそう言って手を叩いた。


「私は受け入れるわ」


 コミュニティのメンバーが賛成した。

 禁忌持ちは呪術に対する知識がある。

 その分、安心するんだろう。


 コミュニティのメンバーの(みな)は頷いた。

 信者だけが戸惑っている。


「想像して下さい。羊に姿を変えて約束の地に逃げた事を、後世の信者は羨ましがるでしょう。なぜならこの出来事は永遠に語り継がれるのですから。勇気を称える歌などできるかも知れません。実に名誉な事です」


 チンピラ神官がそう言って煮え切らない信者の背中を押した。


「やります。勇者になるんだ」


 信者はやる方向に傾いた。

 姿を変えるには裸にならないといけないので、そこでも一悶着(ひともんちゃく)あった。

 だが、もう後が無いと分かったのだろう。

 なんとか全員を羊に変える事ができた。


「なあ、前に逃げた時に聖騎士を動物に変える呪いを掛けたら、良かったと思うんだが」

「馬鹿ね。魔法は動物になっても使えるのよ。教会に魔法が使える動物が駆け込んだら、聖騎士の大軍がやって来るわ」


 俺がジュサに尋ねたら、そう答えが帰って来た。

 そうか、魔法を封じる呪いと同時には掛けられないのか。

 逃げるなら、言った事を信じない呪いが確かにベストだな。

 すくなくともすぐに助けは呼ばれない。


 ビックモールは穴の中で腐肉に戻し、フリーダークの面々には馬車に服を積んで帰ってもらった。

 よし、出発しよう。

 羊飼い役は俺とチンピラ神官が勤める事にした。

 思考は人間なので、羊達は大人しく街道を開拓地に向って歩き始める。

 遅れる羊には貧者の楽音(がくおん)を食べさせた。

 貧者の楽音(がくおん)は背負い鞄一杯に詰め込まれている。

 エリクサー同等品だから使い勝手は良い。

 機械にセットしてちょん切ったら、血が混ざった肥料を与える作業は子供でもできる。

 昨日、百本ばかり、フランダルとシュガイに量産させた。


 最初の野営地に着いた。

 ここでも、問題が。

 家畜の餌を食べるのを嫌がったのだ。

 ここでチンピラ神官が言った。


「私は開拓地に着くまで家畜の餌しか食べません。皆さんと苦労を分かち合います。平等です」


 そりゃお前は良いよ。

 ヴァンパイアなんだからさ。

 どうせ壊す腹は持ってない。

 俺はどうしたら良いのよ。

 しょうがないので馬の褒美用のリンゴを沢山、仕入れて振舞った。

 すっぱいリンゴで非常に不味かったとだけ言っておく。


 チンピラ神官は牧草を平気でむしゃむしゃやっていた。

 信者もおっかなびっくり牧草を試していたが、食べると気に入るようだ。

 味覚が羊だからな。

 美味しいに決まっている。

 俺は断じて牧草は食わん。

 三日掛けて俺の家まで到着。

 呪いを全て解いた。


 やっと終わったか。

 いや始まりだろう。

 早く領主をヴァンパイアにしないと。


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