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ツインテールにしておくれ

幸せになるためには自分をよく知ることが大切です。

何が好きなのか、何が嫌いなのか。

より明確に、そしてシンプルに。

キャラクターの確立をした時、自分に自信を持つことができ、様々な場面で後悔のない選択をすることができるでしょう。


では、問います。

【あなたはツインテールが好きですか?】


嫌いな方はブラウザバックをお勧めします

好きな方もブラウザバックをお勧めします(オイ


 ツインテールの呪いとは、ツインテールに魅了されて、恋愛感情があやふやになってしまう現象だ。


 例えば街中で可愛い女の子がいたとする。


 声かけたいな。あわよくば仲良くしたいな。知り合いになれたら嬉しいのに。


 そんな反応こそ真っ先に出るはずだが、呪われてしまった人間はまず初めにこう考える。


 ツインテールにして欲しいな、と。


 もちろん、直接いうほど俺は落ちぶれたつもりはないし、第一、魅力的なツインテールが一軒隣の家や学校の隣の席にいるからそこまで積極的になる必要もない。


 だから、俺は極めて慎重に行動を起こした。


「すみません、もしかしてあなたってモデルとかしてますか?」

「……え? いえ、してない、です……」

「あっ、そうなんですね。あまりにも綺麗だったからてっきりそうなのかと」

「……ナンパですか?」

「いや、そんなつもりないんです。ただ、一言言っておかないといけないと思って」

「なんでしょうか?」

「あなたはツインテールが似合うと思うんです」

「……は? え?」

「おっと、急いでるのでこれで失礼します」



 さりげなく、誘導する。

 たぶん彼女は今までツインテールという可能性を見出すことが出来なかった人に違いない。

 だから俺が示してあげたことで、この世界にまた一つ素敵なツインテールが増えて平和になるだろう。




 そんなことがあったと今日もツインテールな幼馴染に伝えたらドン引きされた。


「いや何それキモい。その子絶対ヘンタイに絡まれてトラウマになってるって。まじでキモい!」

「いや、そんなわけ……なるべく知的な感じで話しかけたし、少女漫画の主人公がモテ始めるきっかけを作ったモブ並みの大役を果たせたと個人的には思ってるんだけど」

「知的に『あなたはツインテールが似合う』とか言われたらキモいから!? しかも直接言って落ちぶれてるじゃない!」

「じゃ、じゃあ若葉はどうなんだよ!? 前に言ってたじゃないか! 『やっぱり若葉にはツインテールが似合うな』って言ったら嬉しそうに笑ってたじゃないか!」

「そ、そそそ、それは、え、演技よ演技! 私あの時女優を目指してたの!」


 突然のカミングアウトだった。


「マジで!?」

「マジもマジで大マジよ」

「じゃ、じゃあ今はどうなんだ?」

「ま、まぁ? 今は興味は無くなったけど向こうがどうしてもって言うならしてあげないこともないわね」


 俺は思わず想像してしまった。

 若葉は今でさえ高嶺の花だったが、女優として顔を出せば一躍して、日本を代表する超美少女として人気が出てさらに遠い存在になるだろう。それほど差がつけばもはや嫉妬なんか通り越して、崇拝すらしてしまうかもしれない。


「もしそうなったら、俺がファン一号になるよ」

「しょうね」

「しょう?」

「そ、そうって言おうとしたのよ!」


 女優になったら噛んでしまうクセも直さないとな。


「でも、そうか。そうなったらこうして会うこともできなくなっちゃうな」

「え?」

「若葉は人気出るだろうし。忙しくなって、時間も減って。それにうかつに男と一緒に居れないだろ?」

「……え?」


 理解できていないらしい。若葉は戸惑ったように目をキョロキョロさせて挙動不審だ。そんな姿も可愛いのだからツインテール美少女は最強だ。


「でもさ、離れていても応援するから」

「ま、待ってよ。私別になるつもり……」

「出てる番組全部録画してさ。紅葉と一緒に徹夜してでも全部見るよ」

「なんでそこで藤沢さんの名前が出るのよ!?」

「えっ、だってあいつも若葉のファンだし」

「なんでクラスメイトが私のファンなの!?」

「そりゃ、若葉はもうすでに学園のアイドルみたいな存在になってるし。過激派なんてしょっちゅう俺のことを襲ってくるから逃走スキルには自信がついてきたんだよ」

「初めて知った衝撃の事実」

「それくらい人気なんだ。若葉も美少女だってもっと誇っていいと思うぞ」

「……ツインテールじゃなくても?」

「せめて卒業は就職まで待ってください」


 渾身の土下座で懇願する。

 若葉のツインテールがなくなるのは世界的損失だ。でも、確かに年齢と共に少女性のあるツインテールは似合わなくなってしまう時がいつか来るのだろうし、覚悟をしなくてはならない。


「それまでに俺の手でツインテールを生み出さなければ」

「おいヘンタイ。どうしてもっていうならあんたがツインテールになりなさいよ」


 俺は衝撃を受けた。

 なるほど、その手があったか。

 若葉に向き直って、その手を取る。毎度のことながらボディタッチに弱い若葉は両手を包み込むと顔を真っ赤にした。


「な、何よ。その「名案を思いついた」みたいな顔」

「若葉、後生だ。俺を、ーーツインテールにしてくれ!」

「きもい!」


 結局、ツインテールにしてもらったが髪の量が足りず、やっぱり女の子にしてもらうのが一番という結論が出た。

 ツインテールのウイッグを借りて鏡で見たりもしたが、ツインテールに対して素直にきもいと思うのは初の出来事だった。

主人公は男らしい顔です。イケメンです。

中肉中背よりガタイもよく、何より高身長です。

知的にツインテールを語るとかヘンタイですね。

厳ついツインテール男とかキモいですね。

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