ツインテールの呪い
明けましたね。おめでとう人類。
新年だし新しいことしよう。
というわけで勢いで書いた。後悔はない。
好きな仕草は、咥えゴム。エロいのじゃないよ。
少女らしさを象徴するようなツインテールを結える姿は、幼き頃の俺に突き刺さった。
きっかけは幼馴染の別荘へお泊まり会に行ったことだ。
初恋もまだだった俺は、女の子の機微なんて分からなかったけど、ーー支度をする幼馴染のその仕草を目にして、初めて女の子に強く惹かれた。
俺の幼馴染は可愛かった。
お母さんも若々しくてお父さんも美形で血筋だと思えばまったく不思議ではない。
俺は初め、彼女に恋をしたんだと思った。
家族同然だと思っていた幼馴染と本当の意味で家族になりたいのだと。思春期がやってきたのだと思っていた。
けど、俺が中学生に上がってすぐのことだ。それは間違いなんじゃないかと思うようになっていた。
幼馴染は誰もが振り向く美少女で、もはや俺と釣り合うような人間ではなくなっていた。
そんな時、俺は出会った。
普通に可愛くて、普通に趣味があって、普通に仲が良くなった女の子と。
その時感じたドキドキに俺は悟った。
俺は幼馴染に恋をしていたのではなかったのかもしれない。
なぜならーーその女の子はツインテールだったのだ。
「なあ、若葉。俺、変態なのかな」
幼馴染の若葉は俺のベットに腰掛けながら突然の告白に混乱していた。
「え、えーっと。は? ど、どういうこと? 突然どうしたの?」
「俺さ……若葉のことが好きだと思ってたんだ」
「うひゃあ!?」
「でも、最近それは勘違いだって、思うようになったんだ」
「えっ、な、なんで!?」
布団をかぶって隠れたかと思えば、ひょっこり顔だけ出してきた。枕抱くのやめろ。いい匂いがついて眠れなくなるだろ。
「ほら、枕の代わりにこれ抱いて」
「あっ、ペンくん。まだ使ってたんだ」
「そりゃ、元は若葉のだし。てかいい加減持って帰ってもいいからな。俺の部屋の半分くらい若葉の私物じゃん」
「べ、別にいいでしょ。何か問題ある!?」
あるんだよなぁ。
今度、女の子が遊びに来る予定がある。恥ずかしくて若葉には言えないけどその時までには若葉から(強制的に)もらったものは別の部屋に移動させないと。
「そ、それより颯太が変態の話!」
「あっ、変態って結論なんだ」
「なんで私のことがす、すす、す……好き、なのが勘違いって思ったのよ!?」
流石に自分へ向けられた好意を必死に守ろうとするのは恥ずかしかったようで真っ赤になっていた。
だけど俺が相談したいのはまさにその内容で、恥ずかしがってはいられないので、真剣に話を切り出した。
「俺、巨乳でも微乳でもなんなら無乳でも可愛い女の子なら愛せる自信があるんだ」
「颯太さいてー」
「まぁ、聞いてくれ。俺は小学生のとき初めて女の子にドキドキした。その相手が若葉だったんだ」
「続けなさい」
「その時の若葉は無乳だったと思う。でも、ドキドキした。ペドかと思ったけど、現に今、たわわに育った若葉にもドキドキしてるから、多分俺の守備範囲は広いだけなんだと思う」
「真顔で言ってるあんたは変態以外の何者でもないと思うわ」
「おっと、手厳しい判断だ」
いえーい。俺と若葉は拳を合わせた。こつんと小さな手が触れる瞬間、万感の思いが幸せへと導いてくれる。
でも、それは多分、俺が若葉に恋をしているんじゃなくて、思春期の童貞として当たり前の衝動だろう。
そう、この思いが勘違いだと思った原因は、『すり替わり』だ。
今現在、可愛い若葉はツインテールだ。
この文章をより具体的にするとこうなる。
今現在未来永劫、可愛い若葉は可愛いツインテールのままでいて欲しいものだ。
これを、幼き頃の俺はこう捉えたはずだ。
可愛い若葉がツインテールにした可愛いと。
しかし、実態は違った。
可愛いツインテールにした可愛い若葉可愛い。
だったのだ。
何を言ってるのか自分でもよく分からなくなってしまうゲシュタルト崩壊に陥っているが、ようは俺は、ツインテールに一目惚れしているらしかった。
ツインテールフェチを起こしているのではないかと自分を疑うけど、どうにも俺には完全には自覚することができないので、客観的な意見として若葉を参考人に招集したのだ。
「いや、それは疑うまでもなくヘンタイでしょ」
忌憚なき意見は俺へ対して深く突き刺さった。
「やっぱり俺は若葉のことが好きじゃなかったんだ!」
「い、いや、それは……本当にそうだと言い切れないんじゃない?」
「もう何がなんだかよく分からん!」
だけど、相談する前から分かっていることはあった。
俺はあの時、幼馴染にかけられてしまったんだろう。
ツインテールの呪いを。
皆さんはフェチズムをお持ちですか?
ちなみに僕は18個ほどあります(強キャラ感)