Lesson2 明確な殺意
前回の教習
エンジンをかけて終了
生徒「イノウエです。よろしくお願いします、ナカジマさん」
教員「また君ですか。2度と担当したくなかったのですが」
生徒「昨日は何故かエンジンをかけて終わってしまったので、今日はちゃんとよろしくお願いしますね」
教員「自分には非がないかのような言い方ですね。まぁいいです、さっさと車に乗ってください」
生徒「はい(運転席に乗る)」
教員「おお。今日はちゃんと運転席に乗れましたね」
生徒「えぇ、昨日エキサイトバイクで復習してきましたから」
教員「せめて車のゲームで復習してください」
生徒「じゃあエンジンをかけますね」
教員「いちいち言わなくていいです」
生徒「たしか、ここのカギを回せば・・・」
車「ブロロロ・・・!」
生徒「エンジンがつく・・・ですよね(ドヤ顔)」
教員「よくもまぁこんな簡単なことでドヤ顔ができますね」
生徒「昔からおばあちゃん子だったので」
教員「関係ないのでさっさと発進してください」
生徒「はい。ところでアクセルって左でしたっけ」
教員「わざとなのかマジなのか分からない質問やめてください」
生徒「ふっ、わざとですよ。左に決まってるじゃないですか」
教員「あ、マジだった。危ない危ない、右ですよ右。アクセルは右です」
生徒「そんなこと生まれて初めて知りました」
教員「なんで生まれてきちゃったかなぁ」
生徒「じゃあアクセル踏みますよ」
教員「ゆっくりね。最初はゆっくり優しく踏んでくださいね」
生徒「はい」
教員「・・・」
生徒「・・・」
教員「あの、どうして踏まないんですか?」
生徒「えっ、だってあなたがカウントダウンしてくれないから」
教員「レースゲームじゃないので合図はありません」
生徒「えっ、じゃあスタートダッシュはどうやればいいんですか!?」
教員「レースゲームじゃないのでカウントダウンの『2』のタイミングでアクセルを踏んでもスタートダッシュはしません」
生徒「呆れました」
教員「ゲーム感覚で車を運転しようとしている人に呆れられたくはないで・・・」
生徒「とりあえず発進しますね(アクセルを踏む)」
教員「人の話を遮って急に発進しないでください」
生徒「で、どこに向かえばいいんですか?」
教員「とりあえず、そこを左に曲がって道なりに走行してください」
生徒「適当な説明ですね」
教員「申し訳ありません。君のレベルに合わせた非常にシンプルな説明だったのですが」
生徒「随分と舐められてますね(左折する)」
教員「あっちょっと。いま左折する時に左右確認しましたか?」
生徒「してませんが、なにか?」
教員「なぜ強気でいられるのでしょう。ダメじゃないですか、ちゃんと確認しないと」
生徒「だって、確認するまでもなく周りには人はいませんでしたし」
教員「イノウエさん、運転する時は常に『かもしれない運転』をしなければいけないんですよ。『右から突然誰かが飛び出してくるかもしれない』といったように」
生徒「なるほど、古来より人間において先天的に存在する『心配』という感情に焦点を置いた大切な運転技法ですね」
教員「その解釈ができて、なぜ左右確認を怠るのか不思議で仕方がありません」
今日の教訓
「かもしれない運転」は大事かもしれない