Lesson1 問題児が来た
教員「はいどうも。私が今日の担当教員のナカジマです」
生徒「イノウエです。よろしくお願いします」
教員「はい、よろしくねイノウエさん。今日が初の実技ですが、気負いしすぎず頑張りましょう」
生徒「はい、イニシャルDは得意ですから任せておいてください」
教員「あんまり任せておきたくはないですね」
生徒「冗談ですよ。本当は湾岸ミッドナイトです」
教員「同業他社なだけで心配は心配です。とりあえず乗ってください」
生徒「はい(後部座席に乗る)」
教員「とりあえず乗れとは言いましたが、どこでもいいわけではなく運転席に乗ってほしかったですね」
生徒「あっすみません。これってマイナス評価になってしまいますか?」
教員「どちらかといえばマイナス評価です」
生徒「どうすればマイナスから脱出できますか?」
教員「さっさと運転席に乗ってください」
生徒「分かりました。ところで運転席ってどこですか?」
教員「運転をする座席です」
生徒「あぁここですね(運転席に座る)」
教員「2度とそんな無駄な質問しないでくださいね」
生徒「すみません。何かと不安なのでお聞きさせていただきました」
教員「18歳にもなって運転席の位置に不安を覚えているような人に運転免許を与えることに不安しか感じないのですが」
生徒「ふっ、僕は21歳ですよ」
教員「なおさら心配です。私も長年教員やってますけど、運転席の位置を尋ねてくる成人男性はじめて見ました」
生徒「すごいでしょ」
教員「安心してください、何もすごくないですよ」
生徒「ありがとうございます」
教員「話が通じないようなのでさっさと教習に入りましょう。とりあえずエンジンかけてください」
生徒「オッケーグーグル」
教員「検索エンジンじゃないです」
生徒「車のエンジンをかけて」
教員「なるほど、検索エンジンに車のエンジンをかけてもらおうとしたんですね」
生徒「あれ、エンジンがかからない。おかしいな、僕のケータイ壊れてるんですかね?」
教員「壊れているのはあなたの頭です。さっさと手動でエンジンをかけてください」
生徒「やれやれ、これだからオートマは困るんですよ」
教員「残念ながらマニュアルも手動です」
生徒「なんて不親切な。音声認識じゃなかったら、手の不自由な人はどうやってエンジンをかければいいんですか」
教員「手の不自由な人はそもそも車を運転できません」
生徒「人種差別ですか」
教員「もうそれでいいですから早くエンジンをかけてください」
生徒「エンジンってどこにあるんですか?」
教員「エンジンに直接触らなくても、そこに刺さってるカギを回せばエンジンってかかるんですよ」
生徒「ははっ、まさか。そんなことできるわけ・・・(カギを回す)」
車「ブロロロ・・・!」
生徒「マジだ!エンジンがかかった!」
教員「よく今日まで生きてこれましたね」
生徒「はい、毎日ご飯を食べていますから!」
教員「奇遇ですね、私もです。じゃあ発進してください」
生徒「あっ、その前に質問していいですか?」
教員「つまらない質問はしないでくださいね」
生徒「アイテムってどこを押せば撃てるんですか?」
教員「マリオカートじゃないのでアイテムは撃てません」
生徒「え、マジすか。せっかく今日アイテム持参したのに」
教員「バナナの皮でも持ってきたんですか?」
生徒「いえ、トリプル赤甲羅です」
教員「こりゃまたアバンギャルドなアイテムですね。どこで手に入れたんですか」
生徒「河原で見つけた亀を生け捕りして、甲羅を赤の水性ペンで塗りました」
教員「ペンキでもマジックでもなくペンで塗ったんですね。しかも水性ですか」
生徒「でも、途中で面倒になったので、友達から血を借りました」
教員「赤甲羅を作るために友達と悪魔の契約を交わしたんですか」
生徒「いや、まぁ友達っていうよりは、知り合いって感じですかね」
教員「論点はそこではなくてですね・・・まぁいいです。とにもかくにも赤甲羅は投げられないので、後で河原に逃がしてあげてください」
生徒「はぁ、仕方ありませんね」
教員「なぜ上から物を言えるかは分かりませんが、とりあえず発進してください」
生徒「あの、もう1つ質問してもいいですか」
教員「いいですけど、またつまらない質問をしたら今日の教習は強制終了しますからね」
生徒「大丈夫です。今度は大事な質問です」
教員「ほう、強気ですね。ではどうぞ」
生徒「ドリフトってどこを押せばかかりますかね」
教員「では今日の教習はこれで終わりです。お疲れ様でした」
今日の教訓
運転はゲームではない