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出てきた箱の中身を見て、マミヤとハズミもギョッとした。
「ぎっぎゃああ! 呪いの人形だぁあ!」
特にハズミは仰天し、店の奥へ猛突進して行った。
奥から、
ガシャガシャーン!
と凄まじい音が響いた。
「はっハズミ!」
慌ててマミヤが店内へ行く。
…残されたソウマとマカは、恐る恐るカウンターの上にいる人形に近付いた。
柔らかなウェーブの髪、そして深海色の瞳を持つアンティークドールは、質の良い服と帽子を身に付けながら、背伸びをした。
『まったく。アンタ、性格悪いわよ。アタシをこんな狭い所に押し込んでさっ!』
「そうでもしなければ、あなたは動き回ったでしょう? マリー」
『だぁって退屈なんだもん。アタシ、1000年も生きているのよ? 退屈なんてもうウンザリよ』
くらっ…とマカは目眩を起こした。
人成らざるモノの血族として、人外の事件に関わることは今まで山のようにあった。
しかしコレは、明らかに世界が違う。
「ちょっ…お前、カガミ。これは魔女達の領分じゃないのか?」
「そうなんですけどねぇ。彼女、ちょっと特殊でしてね」
カガミもさすがに困り顔で、ため息をついた。
カウンターにイスを三脚持ってきて、ソウマの淹れてくれたアイスティーを三人で飲んだ。
「彼女の名前はマリーと申します。作られたのは今から1000年も昔です」
「1000年…にしては、随分状態が良いですね」
さすがのソウマも驚きを隠せない。