第5話
ようやく根っこ広場から出た双子とキツネ達は、その後は何の障害もなくスムーズに『ドングリ池』へとたどり着けました。
「「ここが、ドングリ池……!」」
「やっとたどり着いたね、シエル」
「うん。そうだね、ステラ」
「キツネさんがくれたこのドングリを投げ込んで」
「願い事を言う」
2人は一つ深呼吸をして心を落ち着かせて、2人同時にドングリを投げ込んで願い事を言いました。
「「お母さんの病気が治りますように!」」
言い終わった瞬間、2人は顔を見合わせて笑い合いました。
「やった!できた!できたよ!」
「これでお母さんの病気が治るよ!」
2人はとてもとても嬉しそうに笑い合いました。
「ありがとう!キツネさん、コマドリさん、クマさん、アライグマさん!」
「みんなのおかげで願い事を言えたよ!」
「良かった!色々あったけど楽しかったよ!」
「根っこ広場では大変な目にあったけれどね」
「さ、最初は怖かったけど、仲良くなれてよかったよ」
「まぁ、同じ根っこに捕まった同士だしな。よかったじゃねぇの」
元の場所に戻ってきた双子とキツネ達は、それぞれ別れの挨拶をしていきました。
「グスッ……またこの森に来てもいいのかな……?」
別れが近付き寂しくなったのか、ステラが泣き始めてしまいました。
ステラの泣いている姿を見てシエルまで寂しくなってしまい、シエルも泣き出してしまいました。
そんな姿を見て、キツネとクマはオドオドし、アライグマはただ見ているだけでしたが、唯一コマドリだけが発言をしました。
「悲しむことなんてない。また来ればいいさ!この森はいつでも君達のことを歓迎してくれるよ。もちろん私達もね」
コマドリの言葉にステラとシエルは泣き止みました。
そしてキツネ達も続けて言いました。
「そうだよ!いつでも来てよ!それでまたみんなで遊ぼう!」
「こ、今度は驚かせないようにするから、また来てね」
しかしアライグマは何も言おうとしないので、キツネは催促しました。
「ほら、アライグマくんも何か言いなよ!」
「……けっ、まぁ、来たければ来ればいいんじゃねぇの」
「まったく、アライグマくんは素直じゃないなぁ」
最後はみんな笑顔で笑い合ってお別れをし、互いの姿が見えなくなるまでずっと手を振り続けました。
そして、ステラとシエルが現れた日から数ヶ月が経ちました。
「ステラとシエルは元気かなぁ。お母さんの病気治ったかな」
「きっと治っているさ」
「ど、ドングリ池まで行ったんだもんね」
「まぁ、そのうち来るだろ」
キツネ、コマドリ、クマ、アライグマはステラとシエルが帰った後、ちょくちょく集まっては話をするようになりました。
「みんな~!」
「また遊びに来たよー!」
すると森の入り口の方から聞き覚えのある声が聞こえてきました。
キツネ達は顔を見合わせ、そしてすぐに森の入り口へと向かうと、そこにはステラとシエル、そして2人と仲良く手を繋いで優しく微笑んでいる女の人がいました。
キツネ達は笑顔で向かい入れ、そして森の中では楽しそうな歌声が響き渡りました。
「逆さ虹の森の動物たち」最終話です!
慌ただしい感じになってしまいましたが、何とか書き終わりました!
本当は『ドングリ池』『根っこ広場』『オンボロ橋』の3つとも入れたかったのですが、時間がなくてできませんでした……。
でも、取り敢えず書き終えられてホッとしてます(笑)