第2話
突然走り出したキツネはある場所に着くと止まり、そしてそこであるものを集め始めました。
―――泣いている子達をどうすれば宥められるのか僕には分からないけれど、これをあげればきっと大丈夫!
「よし、戻ろう!」
キツネはもと来た道を戻り、再び走り出しました。
「やぁ、キツネくん。どうしたんだい?そんなに慌てて」
キツネが走っていると、さっき一緒に歌っていたコマドリが上空から飛びながら話し掛けてきました。
「実は人間の子達がこの森に来たんだけど、クマくんに驚いたのか泣いちゃって、これをあげたら喜ぶかなって思って取ってきたんだ」
「ふむ、けれど元凶のクマくんを置いて来てしまったら、その人間の子達の恐怖は収まらないのではないのかな?」
「……ハッ!!」
キツネは重大なミスをしたことに気が付き、冷や汗が止まりませんでした。
「ど、どどどどうしよう!」
「一旦落ち着こう。なに、大丈夫さ!きっと今頃何もしてこないクマくんを見て誤解も解けて仲良くしているはずさ!」
「そ、そうだよね!」
そんな期待を込めながらもやはり不安は拭えないので、なるべく早く戻るべくキツネは全力で走りました。
「はぁ、はぁ、」
―――きっとこの茂みを超えた先には仲良くなっているクマくんとあの2人がいるはず!
期待を込めながらキツネは茂みを掻き分けました。
「シエル!キツネさんいなくなっちゃったよ!あのクマさんに食べられちゃったのかな!?」
「違うよ!きっとシエル達を囮にして逃げたんだよ!」
キツネがいなくなったことにより、より一層パニックになった2人。
「あぁぁ、人間怖い……」
未だに人間に怯え、木の陰に隠れ続けるクマ。
キツネの目に飛び込んできたのは、仲良くなるどころかより一層悪化している光景でした。
「……コ、コマドリさん……?」
キツネは目を点にした顔で、コマドリの方をまるで機械のようにギギギと向きました。
「まぁ、そんな気はしていたよ」
「コマドリさん……!?」
コマドリのさっきとは違う言葉に、キツネは驚きを隠せませんでした。
そんな時、ステラがキツネを見つけたのか涙を流しながら嬉しそうに言いました。
「あ!キツネさんだ!良かった、クマさんに食べられちゃったわけじゃなくて」
「ほらやっぱり!逃げてたんだよ!」
ステラの言葉に被せるようにシエルも言いました。
「違うよ!だってちゃんと戻ってきてくれたじゃない!」
「どうだか!また何か企んでるのかもしれないよ」
やはり時間が経っても2人の言い争いは終わりませんでした。
そこでキツネは無理矢理にでも2人の間に割り込むことにしました。
「あの!今これを取って来たんだ。みんなで食べようと思って」
そう言って差し出したのは、さっき走って取ってきた木の実や果物でした。
「わぁ!ありがとうキツネさん!」
ステラは素直に嬉しそうに受け取りました。
一方シエルは、まだ誰のことも信用できてなく疑っているので、受け取ろうとはしませんでした。そしてステラが受け取ったものにも疑いの目を掛けていました。
「ステラ、むやみに食べない方がいいよ。何が仕込まれてるか分からないから」
「何も仕込んでなんかいないよ!ほら!」
そう言ってキツネは取ってきた木の実と果物をひとかじりして、何も仕込んでいないという事を証明しました。
「ほら、シエル大丈夫でしょ?このキツネさんは良いキツネなんだよ!」
「う……で、でも……」
シエルは自分が考えていることが本当に正しいのか分からなくなってきてしまいました。
「疑う気持ちは分からなくもない。ましてや別の種族なのだ。何を考えているかなんて分からなくて当然さ。けれど、分からないからこそ信じてみてほしい。寄り添うことで相手の気持ちが分かることだってあるのだよ」
ずっと口を挟まず木の上で見ていたコマドリは、そんなシエルを見て宥めるように優しく言いました。
そんなコマドリの言葉がシエルに届いたのか、シエルはキツネに歩み寄りました。
「あ、あの……。ひどいことばっか言ってごめんなさい……」
「ううん、謝ってくれてありがとう。僕は君達と仲良くなりたいんだ。だから是非協力させてよ!」
「あ、ありがとう……!」
「ありがとう!キツネさん!」
シエルとステラはようやく言い争いを止め、キツネ達と仲良くなろうと決めました。
ちょっと遅くなりましたが、明けましておめでとうございます( ・ω・) _ _))ペコリ
冬の童話祭2019はもうすぐ期限ですが、話がまだ書き終わっていなくて、正直言ってかなりやばいです( ;꒪⌓꒪;)
書かなければ……!!