第十六章 劉備動く
連合軍は、袁紹のからの伝令を聞き我先へと洛陽へと進みだした。
さすがに20万の軍勢に攻め込まれ、章邯と王離の軍は壊滅し洛陽に退却する。
ここで章邯と王離について簡単に説明する。
章邯は秦の時代の武将。陳勝・呉広の乱などの反乱軍の鎮圧で名を上げる。
しかし趙高によってあらぬ罪を着せられ家族が処刑され将兵と共に項羽に降伏した。
その後は漢中で劉邦と戦って敗れる。
王離は名将王翦の孫で、章邯の副将として活躍した。
話を戻すが、連合軍は一度虎牢関で陣をはり兵馬を休めた。
その頃、虎牢関を破られ連合軍が洛陽にいつ攻め込んでくるかわからないと思った董卓は
洛陽の宮殿のある一室に配下の李儒や賈クなどを呼び今後のことについて話し合っていた。
「このままでは連合軍20万が洛陽に攻め込んでくる。
呂布と華雄を失った今このまま戦うべきだろうか?」
華雄と呂布と相次いで猛将を失った董卓は少し弱気になっていた。
「一度長安まで引いてはいかがでしょうか?洛陽には10万の兵、そして長安にはまだ無傷の兵が10万はいます。
また長安ならば西羌の軍の力を借りることができます。」と李儒は都を長安に遷す案を董卓に進言する。
何故西羌の力を借りられるかというと、董卓は若い頃から中国西北部のチベット系民族の羌族と親交があり、
友好関係にあったからだった。
「李儒の言うことはもっともだ。よし長安に移動しよう。」
すると賈クが言う。
「都を長安に遷すのに帝が素直に納得するでしょうか?またこのまま洛陽を反乱軍に
そっくりあげてしまうのはもったいないですな。」
確かにそうだと董卓は思い直した。
「私も長安の遷都には賛成です。また帝の説得は同じ劉姓の私目にお任せください。」
「おお、劉備か。確かに帝もお前が説得すれば納得するだろう。しかし洛陽を反乱軍に
ただくれてやるのは確かにおしい。」
「確かに洛陽の都の金銀を反乱軍に渡すのはもったいない。それなら全て奪い去って長安に持っていけばどうでしょう?
そして全て奪い合った後は洛陽の都を火の海にするのです。そうすれば反乱軍は火の手を止めるために追ってこれず
長安まで無事に逃げ切ることが出来るでしょう。
また歴代の皇帝の陵墓の中にも金銀財宝がうなるほど眠っているのでそれらも掘り返し持っていきましょう。
死人に金銀を持たせていてもしょうがないですからな。」
李儒と賈クは劉備があまりにも非道な行為を董卓に進言するのにはビックリしたが
董卓は満更でもない顔をしているので何も言い出せなかった。
しかし、そんなことをすれば民衆すべてから支持を得られなくなってしまう。
「劉備の意見は意見はもっともだすぐに実行いたせ。」
「皇帝が万が一連合軍の手に渡っては元も子もありません。
私が先に責任を持って長安までお連れしましょう。
先ほどもいいましたが同じ劉姓なので皇帝も私に従うでしょう。
董卓様は連合軍が来るギリギリまで財宝をかき集めて洛陽をすべて吸い尽くしてから来てください。
念のため私の配下の関羽と張飛を置いていきます。
この二人はまだ名は知られていませんが呂布に勝るとも劣らない豪傑です。」
「そのようなものが二人もいれば安全だな。よし、劉備は皇帝を一刻も早く長安に連れて行き
早くわしが行ったらすぐに政務ができるように準備をしておけ。
李儒と賈クは歴代の皇帝の墓を暴いて財宝をすべて掘り起こすのだ。」
李儒と賈クは、そんなことをすれば我々も民衆や諸侯から非難を浴びてしまうといいたかったが
董卓には逆らえず劉備を睨み付けると拱手してその場を去っていった。
劉備はそんな二人の視線をものともせず、やはり董卓に向かって拱手してその場を去った。
劉備はいったん自宅に帰ると家に待たせてあった義兄弟の関羽や張飛などに先ほど董卓に
話した内容を告げた。
「しかし、歴代の天使の墓を暴かせたり、400年続いた漢朝の都洛陽を火の海にしたりして
本当にいいのだろうか・・・」
同じ劉姓で皇帝の血筋を一応引いている劉備にとっては辛い進言だった。
「大事の前の小事です。暴虐の徒董卓を倒し、天子を救うため我慢してください。」
そういったのは管仲という男だった。劉備が黄巾賊討伐の旗揚げしたときに付いてきた男で
現在は劉備の軍師として働いてもらっている。今回の案も管仲が考えたものだった。
「そうだな、天子を救うためだ。では関羽と張飛よ、お前たちは董卓と行動を共にしてくれ。
そして長安に着いたら私の合図と共に董卓を刺し殺すのだ。」
「はっ」
関羽と張飛は拱手してその場を去っていった。
「鮑叔に岳飛よお前たちは私と共に天子を説得して長安まで連れて行くぞ。
管仲に韓世忠は万が一のことを考え西涼の馬騰と韓遂に援軍を求めておいてくれ。」
「はっ」
残る4人も拱手するとその場を出て行った。
「すべてうまく行ってくれるといいのだがな。」
劉備は管仲の案がうまくいくことを祈っていた。
ここで管仲と鮑叔と岳飛と韓世忠について話しておこう。
管仲は春秋時代における斉の政治家である。斉の桓公に仕え、桓公を覇者に押し上げた。
鮑叔はやはり春秋時代における斉の人で管仲より前に斉の桓公に仕えていたが
自分より才能がある管仲を桓公に推薦した。二人の厚い友情から来た言葉の
「管鮑の交わり」は有名だと思う。
岳飛は中国南宋の武将で、南宋を攻撃する金に対して幾度となく勝利を収めたが、宰相の秦檜に謀殺された。
現在の中国で歴史上一番の英雄はと聞くと、まず岳飛が一番初めに上がってくるといわれている。
韓世忠は宋の時代の軍人。武勇に優れた抗金の名将で、一人で一万人に匹敵するということから
万人敵と呼称される。彼の妻である梁紅玉もまた夫とともに金と戦った。
董卓を倒すために今劉備とその仲間たちが動き始めた。




