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第1話:298の朝
「あったらしいーあさがきたっ。きぼーうっのあーさーだっ」
「よろこーびに、むねをひーらけっ あおぞーらあーおーげー」
隣の公園のスピーカーからは、いつもと変わらない朝を告げる音楽が聞こえてくる。
職員の健康増進のためとはいえ、毎朝6:30に決まって起こされていた元住人がかわいそうに思えてくる。
「おまえのご主人様はちゃんとしてたんだなぁ」
僕は部屋の窓辺に視線を向けた。
さっきまで僕と一緒に寝ていたはずのサーバルちゃんは、公園が見える窓の近くで、耳と尻尾をピンと立てて座っていた。
体を動かすパートになると、右前脚と左前脚を交互に出すモーションを見せた。
「うみゃみゃみゃみゃー」
爪をコツンコツンと窓枠に当てながら、まるで公園にいる体操指導員を目で追うように、首を動かしながら音楽に合わせて体操をしている。
公園には誰もいないのに。
「ほんと変わったネコちゃんだ」
そう呟くと、くるっと頭を僕のほうに向け、じろりと睨む表情を見せた。
「ごめんよ、サーバルちゃん」