0話 プロローグ
この世の全てを支配し、そして恐れられてきた魔王。
そんな魔王は暇を持て余していた。
__自分に敵う者たちはいない。
それは彼の絶対的な力、そして孤独を表していた。
「暇だな……」
一昔前(と言っても1000年も前のことだが)まではこの我に逆らおうと人間や魔族、天使や神などの愚か者達が協力して戦争を仕掛けていたものだ。
しかし我に勝てるはずも無く、すべてを蹴散らしてきた。
そんなことを500年くらい続けていると分かってしまったのだろう。
__こんなバケモノに勝てるはずが無い、と。
そしていつからか魔王に挑もうなどとゆう愚か者達はいなくなり、ただただ世界は絶望に満ちた。
「暇で暇で死んでしまいそうだぞ……」
そんな最強なる魔王の言葉は、このとてつもなく巨大な魔王城に悲しく響くだけであった。
__同時刻の日本では
「暇だな……」
先程の魔王とまったく同じことを呟く高校生がいた。
「冬休みに入ったとはいえ、やること何もないし。友達は付き合い悪いし面倒だし」
はぁと溜息をつけばまだ昼だというのに布団に潜り込み、スマホをいじりだす。
高校生らしいといえば高校生らしいが、今まさに青春!……とはお世辞にも言えない過ごし方だった。
こんなことを聞かれたら、暇だと言うなら課題でも片付けてしまえ!と親に激怒されそうだが当の両親は存在しなかった。
「暇で暇で死んでしまいそうだよ……」
__そう、それはたまたまだった。
こんな確率はきっと地球が産まれたのと同じ確率で、起きるはずもない、ことだったのだろう。
それは誰が想像出来たのだろうか。全く違う世界の二人がこれから先、共に道を進んで行くことを____