(Ⅶ)生徒会長ミレーナの相談
授業も終わり昼休みになった。今僕は食堂に居る。この前まで居づらい雰囲気だったのが嘘みたいに無くなった。そりゃあまだ僕に対する不平不満を言う人はまだ大勢いるけど、キマリス、スノウのおかげで随分と居心地が良くなった。
「エイジお兄さん、来てくださったのですね。ユリン感激です」
「大袈裟だなユリン。これも全てスノウとキマリス君のおかげだよ」
「俺は全然大したことしてないです」
「私もだよ。エイジ!これはエイジが前に向かっているから出来たことなんだよ」
「そう……かな。ありがとう」
「ゴゴゴゴゴ」
何だ、凄い禍々しいオーラを感じる。
「あなたは確かスノウ・ローゼンさんでしたよね?」
「はい、そうですけど?」
「お兄さんとはどういう関係ですか?」 何でそんな質問!スノウ適当にあしらってくれ。
「えぇっと優しい人かな?」
「この子は…危険ですね。今ここで倒します!」
そう言った瞬間辺りが吹雪になった。ユリンの奴……
「これ、止めた方が良くないですか?」
「あぁ、勿論早速止めにいくよ」
解決策は一つしかない。僕はユリンのお弁当箱から適当な食べ物をつまみ…… 「まぁまぁユリン落ち着いて、これを食べてくれ」
するとスノウは攻撃の手を緩め……
「えっ!お兄さん、私に食べさせてくれるのですか?あーん」 もぐもぐ。
「やっぱり私の作った食べ物は最高です!ありがとう御座います!私幸せで…」 えぇ!倒れちゃたよ!
「ユリン?ユリン!駄目だ、気絶しているみたいだ」
「俺が保健室に連れていきましょうか?丁度食べ終わった所ですし…」
「そうだね。ごめん宜しく」
「お安いご用です」 ユリンは保健室へと連れていかれた。 「今度私にもやってね♪」
「恥ずかしいから遠慮さ…」
「エ・イ・ジ」
「わかったよ。また今度ね」
スノウの真顔に問い詰められ、泣く泣く承諾することになった。
※※※※
昼食を済ませた後、ユリンと別れ屋上に向かった。今日は久々に太陽に当たりたい気分だったからだ。 「今日は本当に良い天気だな~」
僕はコンクリートの地面の上に倒れ込んだ。このまま寝たいくらいだ。
「チャイムが鳴るまで寝るか…お休み」 僕は目を閉じ、安らぎの時間を味わ 「こら!起きなさい」
…うことは叶わなかった。
「あなたは生徒会長!?どうしてここに?」
会長は驚いた顔で 「ここは私のテリトリーなのです。本来なら殆どの生徒は近づいて来ない筈ですが…」
「それは申し訳ないことをしました。今すぐ立ち退きます。では……」
やれやれ、せっかく人が心地よく寝ようとしていたのに、仕方ない別の場所で寝…ぐっ
「何で肩をそんなに強く掴んで痛たたたた」 「これも何かの縁です。私の相談に乗って下さいエイジ君♪」
「何で僕の名前知っているのですか…」
「あんな出来事を起こせば覚えられない方がおかしいわよ」
肩に込めている力が軽くなり、僕は解放される。ふぅ~結構痛かった。
「相談と言うのは?」
「そうですわね、まずどこから話せば良いのやら……」
※※※※
「……なる程、つまりしばらくの間生徒会長のボディーガードをしろと言うことですね?」
「そういうことです」
相談の内容は結構深刻で、一昨日頃歩いている時によく付けられるとのことだった。ストーカーのことだと言えばわかりやすいかもしれないが…ということで僕はストーカーが現れるまで生徒会長のボディーガードを勤めることとなった。
「では…今日から宜しく。私のことはミレーナと呼びなさい」
「分かりました。ミレーナさん」
「……宜しい」
不服そうな顔する生徒会長。僕、何か間違ったかな?
チャイムが鳴った。そろそろ授業が始まるな。戻らないと……
「じゃあ僕は次の授業があるので、この辺で」
「わかりました。次は放課後にお会いしましょう。場所は学園の校門前で!」
「わかりました」
僕は屋上の扉を開けて教室へ向かった。そういえば何で僕、あの相談を引き受けたんだろう?まぁ、いっか。