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(ⅩⅩⅧ)対面

「これは一体」


(ここまでやるなんて、恐ろしいです)      

 辺りに広がるのは燃えかすがある遺体だけだった。

「この燃えかす一体誰が?……!まさか」


「誰かわかったのですか?」


「恐らくだけどマイティー1のレグナス・ハートだと思うよ。こんな芸当、彼しか出来ない」

 レグナス・ハート…ジェネシス学園でトップの成績を収め、腕も最強だと言われている男性。噂だとあまりにも美形な為、女性に勘違いされるとか…

「エイジ、ここはもう良い!早く城に向かうぞ!」


「はい!」

 僕はバース少尉と共に城へと向かう。城に着くまで何も起こらなければ良いんだけど……

 歩いて数十分、目的の場所が見えた。だがそこにはあるのは疲弊した兵士の遺体だけだった。

 バース少尉は周辺を見るやいなや驚きの声を上げる。

「なっ!?来るのが遅かったか。この様子だと城で大乱闘が起きているな……全員!城に突撃せよ!首謀者のキングを確保するんだ!」

 バース少尉の命令を受け騎士達は一斉に城の中へと向かった。

 僕も向かわないと、そう思った矢先城の正門で待ち構えている人が居た。

 バース少尉も気づいたみたいだ。

「お前、名前は?」 


「レグナス・ハート。ジェネシス学園に所属するマイティー1です」

 この人がレグナス・ハート……瞳は黒、髪は青色で顔は噂通り女性のような綺麗な顔立ちである。           

「名前はわかった。何故、ここで待機している?」 


「指揮官の命令で仕方なく残っているだけです。本当なら俺も行っていますよ」


「ほぅ……ならば私が新たな命令を出そう。君は私達と同行し、首謀者キングを討て……以上だが、質問は?」

 レグナスはその答えを待っていたかのようにニヤリとする。

「特にない」


「よし、ついて来い!これよりキングを討つ!」

 僕達三人は城へと入った。中に入ると激しい争いが繰り広げられている。その中で疲弊している騎士がこちらに近づい来た。

「少尉、お急ぎ下さい!キングと思われる者が王座へ行きました!」


「っ!……わかった。我々は先に行く、この場は任せたぞ!」


「はっ!」

 キングがもう、目の前にいる……急がないと

 僕はすぐに先を急いだ。

「おい、待ちたまえ!エイジ君!」


「……」

※※※※

 ここは王宮三階の廊下、内装は至ってシンプルだが所々にドアが沢山ある。……ようやくここまで来た。遂に僕はいよいよキングと対面するんだ!絶対に倒してみせる! 

「隙有り!」


(エイジ、頭上に敵です!)

 僕はクレインの言葉に反応し、後ろに引き下がる。地面には血の付いた剣が突き刺さっていた。後もう少し反応が遅かったら、死んでいたとこだろう。

「ちっ、かわされたか。なら次は……こうだ!」

 男がそう言った瞬間、辺りドアから敵が飛び出して来た。

「あらかじめ仕込んでいたのか?」

 数は見たところざっと20人……数で僕を倒すつもりか

「あぁ、そうだぜ。これでようやくグラム隊長の仇が取れるぜ!」


「グラムって誰なんだい?」

 僕はその男の名前に見覚えが無かった。すると男は怒りだし

「てめぇ、名前すら覚えてねぇのかよ!生徒会長捕獲の任務を行ったあの隊長さんだぞ!」

 ……思い出した!そうかあの時の男か!

「……あぁ、覚えているよ。あの人は本当に最低な人だったね。女の子を傷つけて……」


「最低だと?貴様!あの人は崇高な人なんだぞ訂正しろ!」 

 随分と腹立っているな……そんなに尊敬されていたのかあの人は……

「訂正はしないよ。それより……君達は何者なんだ?」

 男達は僕の問いに苛立ち気味だったが口を開いた。

「俺達は戦争や暗殺を主とした最強組織ファングだ!」

 ファング……裏の仕事をビジネスとする危険な組織。そんな組織が何故?

「まさか依頼主は……ビショップなのか?」

 僕の答えに虚を突かれたのか男達は

「なっ!?何故それを……あぁ、そうだぜ依頼主はビショップさんだ!」

 ビショップの奴、裏の組織まで手懐けていたのか……

 とにかくこの場は何としても切り抜けなければ!早く急がないとキングに逃げられてしまう!

「そうか、わかったよ。……そろそろ僕はキングの所に行かせてもらうよ。時間が無いんだ」

 僕は剣を構える。そして男達もそれを察したのか次々と武器を抜き始めた。

「長話をし過ぎたな……じゃあ、そろそろ死んでもらうぜ!行くぜ、野郎共!」        

 男達は全員、僕に一斉に飛びかかって来た。僕は目で見て攻撃をかわしていき剣を振るっていく。      

「ぐっ、コイツ強い!」


「諦めるな!数で押せば倒せる!」


(諦めが悪いですね……エイジ、トドメを入れて上げましょう)

 僕はこくりと頷き、男達が僕を囲んだ所でブレイズ・サークルをぶちかます。男達は一斉に吹き飛んでいった。

「まだだ、こんな所で終わりにしてたまるか」  

 男はよろよろと立ち上がりポケットから拳銃を取り出しこちらに構えてきた。            

「死ねぇ!」 


「まだ抵抗するのか!」

 男が銃にトリガーを入れる瞬間に僕は剣で弾き飛ばす。その直後、僕は地面に叩きつけられた。

 これは罠だったんだ。僕を嵌めるための……

「ははっ、ようやく引っかかってくれたな!次はこっちの番だ!」

 まだだ、僕には剣がある。剣を振りかざそうとしたその時、男は気づき足で剣を吹っ飛ばした。

 そして複数の男が剣に近づき……      

(かはっ!)


「クレイン!」      

 僕の必死の叫び声に男達は笑いながら剣を足で踏み潰す。最悪の状況だ……                      「さて、次はお前の番だぜ~」    

 そう言った瞬間、男は僕の頭を地面に叩きつけた。何度も何度も何度も……僕は息すら出来ずにいた。      

「おらおら!さっさと死にやがれ」

 ここで終わるのか……僕は

 その時、焦げ臭い匂いが僕の鼻につついてきた。これは、まさか!?

 頭を見上げ後ろを振り返ると先ほど僕の頭を散々打ちつけていた男が熱さでもがき苦しんでいた。  

「あぁぁぁ、熱い!!」


「さっさと消滅しろよ、ゴミが……」


「……レグナス」 


「貴様、よくも!」             

 男達はレグナスに焦点を定め攻撃を開始した。レグナスは剣を構え次々と男達の首を跳ねていった。

「裏組織にも友情はあるらしいな……そのまま仲良く燃えかすとなって成仏していろ」      

 男達の首はメラメラと燃えていきやがて消滅していった。レグナスは剣を鞘に収め、僕の首元を掴み……

「次、俺の邪魔をしたらお前ごと斬りつける!」

 僕を壁に投げ飛ばしレグナスは先へと進んでいった。

「……クレイン」

 よろよろと立ち上がりクレインの元へと向かう。良かったまだ身体をみる限りでは重傷では無いようだ。

「うぅ、エイジ」


「クレイン、立てるかい?」


「えぇ、何とか」


「よし、じゃあ僕の肩に掴まって!ここを出るよ」


「エイジ……それは出来ません。今日エイジは何としても首謀者のキングに会わなければなりません」


「どうして?」                       

「ここで逃せば……次にいつ会えるかわかりません。傷のことなら大丈夫です。すぐに治療をすればいけます」


「クレイン……わかった。治療をしてから先に急ごう」


「はい」

 クレインは魔法で自身の傷を癒やし、その後僕の身体を軽く治療した。これで、まだ動けるはずだ!

「……行こう。王の間へ!」


「はい!」

 僕はクレインの手を握り紅の剣を構え、先へと進んでいく。後もう少しで!首謀者キングに対面する!そして止めるんだ!この狂った計画を!僕は全力疾走で長い廊下を駆け抜け、勢いよく扉を開く。 部屋の内装はこれまでと打って変わって床には金色の絨毯が敷かれていたりかなり豪華な内装なのだがそこに沢山の騎士達が無惨に倒れており所々に血が広がっている。そして僕の目の前にはこの前のテレビに映っていた同じ服装、そして仮面を付けた男が王の椅子に座っていた。      

「ようやくお会い出来たね。エイジ・ブレイン」

 間違いない……あれがキングだ。

「てめぇ、まだ帰ってなかったのか?」


「ここで引き下がったらしばらく会うチャンスは無いと思ったんだ。ところでキング!」


「何だね?」


「何故僕の名前を知っている?僕とあなたは初対面の筈だ!」


「あぁ、そのことか……まぁいずれわかるさ。私が何故君の名を知っているのかはな」

 悪魔でもはぐらかすつもりか。今は教える気は無さそうだ。

「首謀者キング、ジャイロ国王はどうした?」

 そうだ、国王の姿が見当たらない。本来ならあのキングが持っているはずなのに……

「一足遅かったみたいでね。逃げられてしまったよ……現在はビショップが全力で捜索しているが……まぁ、見つかるのも時間の問題だがな」


「あなたの目的は何なんですか?王の首ばかり集めてコレクションすることが目的……では無いですよね?」

 キングはその言葉を聞いた瞬間

「フハハハハ!そういう目的も面白いな!だが私の目的はそうじゃない」        

 なら一体何が目的なんだ?

「……新たなる敵に備えるためと言えば君達は納得するかな?」


「新たなる敵……それは一体どんな奴らなんですか?」


「それを知る前に君達は死ぬんだよ。私の手によって」

 キングは席を立ち上がり、大剣を取り出した。そして……身体の中から何か禍々しい物が出てきた。

「何だ、あれは?」


「紹介しようこの禍々しい物はカオスハークだ」

 カオスハークだって!?そんなあの召還獣は確か……

 ミナト兄さんの犠牲で消滅したんじゃ無かったのか?

「また、我を起こすか……」                     

「今度は目の前に居る二人を殺すために力を貸してくれ」


「良いだろう。くれてやる」

 禍々しい物は剣の中に入り、見た目の色が白色から紫色になり恐ろしい色となった。

「さて、君達はあの二人と違ってどう私を楽しませてくれるかな?」


「ルーサとイザナギの奴勝てなかったのか……!?まさかそこに張り付けてある二人は?」


「そのルーサとイザナギだったかな?私に刃向かう時点で負けは揺るぎない事実なのに……愚かな奴らだよ」

 M3とM2が……     

「だが俺がここで退くわけにはいかねぇ」  

 そうだ、僕達は退くわけにはいかないんだ!ここで終わらせる!

「クレインいくよ!」


(はい、行きましょう)


「ふっ愚かな奴らだ。まぁ良いだろう、この私キングを楽しませてくれよ」

 僕達は目の前に居るかつてない圧倒的な敵に全力で立ち向かっていった。

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