(ⅩⅩⅠ)宣言
試合終了。無事に学園に帰投した僕達は先生からある事実を受ける。
アヴァロン王国を襲撃した首謀犯が今生中継をしていると…僕は急いでタブレットで確認した。するとそこには首謀犯らしき男が映っていた。
「コイツが……」
「ようやく繋がったか…皆さんお待たせして申し訳ありませんでした」
男はクロノス聖団の白の衣装とは異なった黒の衣装をしていて所々に金が散りばめられた黒の仮面を被っていた。何だか不気味だ……
「お兄さん、この人何だか怖いです」
「うん、僕もそう思うよ」
「今日は皆さんに真実をお伝えしましょう。まず最初に私はユニバース王国の王を殺害しました。しっかりとこの右手でね!」
「この人が…くっ」
スノウが両手に力が込めていたのを僕は見逃さなかった。 「ユニバース王国の王であるローマイアスは愚かな男であった。なんせ私という見た目が不審者な者でも快く城に受け入れあまつさえ兵士を一人だけ配置しただけだけだからな。殺すには容易かったかですよ」
「次に私はアヴァロン王国に向かいました。この映像をご覧下さい」
そこにはあの陥落したアヴァロン王国の風景が映しだされた。もはや強豪のイメージは皆無だ。
「これは私が去った後の映像です。今から数時間前の映像をお見せしましょう!」
数時間前の映像が映し出される。それは住民が武器を持ち城を襲撃し、家に火を入れ、兵士との殺戮にも躊躇が無い。それはあまりにも酷い光景だった。
「今思うと笑いが止まりませんよ!最高だ!皆さんご覧頂きましたか?これが我々の実力です」
こんなえげつないことをするなんて… こいつら、人間じゃない。
「アンドレス国王も安からかに逝かれましたよ。それはそれは良い光景でしたよ」
狂っている……
「まぁ、この映像を見て皆さんわかったでしょう?我々の実力が……」
「今日ここに!我々は宣告する!各国の王を抹殺し、私が全ての頂点に立つことを!私の名はキング……崇め、そして讃えろ!全ての国民達よ!」
キング……こんな奴が国王になれる筈が無い。もしなってしまえば世界は崩壊する。
映像はここで途切れ、何も映されなくなった。今日は恐らくもうテレビは見れないかもしれない。 「エイジ、私あの人を殺したい」
スノウがそんなことを言うなんて、父を殺した犯人なんだ。無理もないな…けど
「人殺しは駄目だよ、スノウ。とにかく今日はもう帰ろう。空も暗いし……」
「うん…そうだね」
今日は何だか、空が黒いなぁ……僕達は暗い気持ちで家へと向かっていった。
※※※※
「キング、お疲れ様でした」
「あぁ……ビショップ、さっさと撤収するぞ。もうクロノがここを攻めようとしているかもしれないしな」
「えぇ、その通りで御座います。早く拠点に戻りましょう。ここに居ると厄介な事が起こりかねません」
撤収しようとした矢先扉の音がした。どうやら侵入されたようだ……まぁ、何も問題はないがな。
「クロノスだ!大人しく降参しろ!今ならまだ間に合うぞ!」
「これは、これはご苦労様ですクロノス聖団……」
「てめぇか、王を殺害した最低野郎は……」
「私、キングが殺しました。まぁ仕方ないでしょう、革命に犠牲は付き物です」
「……わかった。もう良い!お前ら全員突撃!奴を必ず確保しろ!」
「了解!!!」
最近の奴らは随分とせっかちだな。
「申し訳ありませんが、我々には次の予定があるのです。邪魔をするなら消えて貰います」
「ほざけ!」
ビショップは詠唱を始め、空中に無数の弾を繰り出した。
「何だ!?これは!?」
「火・水・木・雷・闇・光…私は色んな属性が出せるのです。皆さん、良かったですね……最後に最高の魔法で死ねるなんて」
無数の球体はバラバラに兵士を攻撃していった。兵士はその攻撃に抗える筈も無く次々と倒れていく。
「ふん、まぁこんな物でしょう。最後にそこのリーダーさん。お好みの死に方を選ばせてあげましょう」
「……くそ!ふさげやがって!おらぁぁ!」
「結局突撃ですか。哀れですね……」
辺りに広がるのは死体だけとなった。ビショップに勝てると思ったのか、愚かなり。
「行くぞ」
「かしこまりました」
さて次は…どこにしようか、楽しみだな。 ハハハハハ!
※※※※
「大佐!先程部隊から連絡が無かったので増援を送り込んだ所、大量の遺体を確認したとのことです」
「……ご苦労、遺体を丁寧に葬ってやれと伝えろ」
「はっ!」
俺が戻って来て30分、奴らは侵入してきた騎士を殺害し撤収と同時に各地の放送局の犯人も撤収……お見事としか言えねぇな。
「このまま黙って奴らの思惑通りになるのはごめんだぜ」
俺は怒りが湧き強く机を叩いた。キング、お前さんだけは絶対……
「許さん…」
俺は一つの打開策に手を打つことにした。それはあの二人を呼ぶことだ。一人はスノウ・ローゼン……見た目は清楚で可憐ながらもあの力を使い圧倒的な強さを見せつけたあの子は中々侮れない。そして最後の二人目は……
「エイジ・ブレイン」
パソコンの個人記録からエイジ・ブレインのプロフィールを画面上に出す。頭はこの世界では珍しく耳元まで届いたさらりとした黒色で瞳の眼差しが凄く印象的な感じだ。まぁ実際に会ったらやっぱり兄弟だなと思ったけどね。
「あの深い眼差しはミナト君と一緒だな」
懐かしい思い出が俺の頭の中で浮かんだがそんな状況では無いため、すぐに頭の中の思い出を打ち消し、受話器を取った。
「もしもしアルベルトさん。この間はどうも。それでね今日電話させて頂いたのはそちらの学園から二人派遣して欲しいんですよ。名前は……エイジ・ブレインとスノウ・ローゼンだったかな?」




