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(ⅩⅩ)ジシス学園チーム対抗祭(後編)

 くっ、しまった。目の前に集中していたばかりに……

「お兄さん!左を!」

 僕は意識前方と左方に集中し態勢を整える準備をする。まずは左方!

「もらったぁぁ」

 筋肉ムキムキの男は素手でやってきたのでタイミング良く前のめりで攻撃をかわす。次にハンマーが降りかかって来たので、ギリギリの所で乗り越えた。…なんとかうまくいったようだ。

「俺の攻撃が外れただと!?」                 

「ちっ!慢心するなよ!」

 同じチームなのに随分と仲が悪いな。大丈夫なのか?

「くっ、この女!やるな!」

 ユリンも対処出来たようだ。だけど状況は二対三とこちらが不利であるのは相変わらずだ。どうする……

「まぁ、良い。今この状況でも有利であることは紛れもない事実だからな」


「エイジお兄さん、私はあの二人を相手にします。いつまで持つかはわかりませんが……お兄さんはリーダーを倒してください」


「そんな無茶なこと任せるわけには!」              

「大丈夫です!私を信じてください」

 こういう時のユリンは決意が固いんだよね…仕方ない。

「わかった、ユリンに任せる。無理だと感じたら引き返してね」


「任せてください!」


「良し、話し合いは終わったようだな。じゃあそろそろ決着着けようぜ!人殺しのエイジさんよぉぉぉ!」   

 男は僕に目掛け突撃してくる。狙いは僕だけのようだ。なら!

「この戦いで君を終わらせる!」

 剣とハンマー、両者の攻撃音が火花となって散る。ここで一歩引くことは許されない!

 男はハンマーを全力で振ってきた。僕はタイミングを見計らってそれを後ろにかわしていく。

「また、逃げるのか?逃げても無駄だぜ!」


(エイジ、このままでは勝てる見込みは無いです。どうするつもりですか)


「大丈夫」       

 ただ待つ、それだけだ……

「ちっ!ちょこまかとかわしやがって!こいつでも喰らえ」 

 ハンマーを上に上げ男はこう叫ぶ。

「ブレイク・ブレイン!」     

 地面を強く叩きつける。すると地盤が一気に崩壊していく。これはまずい!僕はすぐにバックし、距離を置いた。          

「ハハハ、こいつは面白い!いつまで残れるか見物だな!」 

 男は再びハンマーを振りかざし襲いかかってきた。今度は地面がかなりぐらついているけど、どうにかなるはずだ!僕はハンマーのタイミングを見計らい右へ左へ計算しながら避けていく。さすがに男はイラついたのか…

「てめぇ、やる気あるのか?無いならさっさと死んでくれねえかな!?」

 男はかなり苛立っているようだ、そのおかげでハンマーの精度にブレがあることをこの目で確認する。良いぞ……

「くそくそくそ、くそ!糞なんでそんなに避けまくるんだよ!俺と戦えよ漆黒の騎士さんよぉぉぉ!」

 悪いけど、今の僕は…

「漆黒じゃない!今の僕は紅の騎士だ!」             

「ほざくな!人殺し!」  

 隙が出た、打ち込む!

「ブレイズ・アルマ!」

 ハンマーの上に乗っかり剣の衝撃波を放つ。男は予想外だったのか反応が出来ずぶっ飛ばされるのであった。…反応が無いので男の顔を覗き込む。どうやら気絶しているようだ…    

「なんとか勝てたね…」


(残りは後二人…さぁ、エイジ行きましょう!)


「あぁ、急ごう」

 僕はユリンの元へ大急ぎで向かった。   

※※※※

「きゃあああ」


「おっし!二人で追い詰めたらなんとかいけるな!」


「まだ油断するなよ…こいつが倒れるまでは」

 さすがに二人がかりはやっぱりきつかったか……お兄さんの前で見栄を張り過ぎたなぁ。

「ラバッツ、お前が一撃を入れろ!トドメは俺がやる」


「おうよ!」

 くっ、やっぱり二人がかりは無謀過ぎたなぁ。私、大勢を相手にするのちょっと苦手だし……

 男の手に付けられている手袋は魔法から作られたグローブ…近距離、遠距離に優れていて、一発喰らえばひとたまりも無い。

「さぁ、良い悲鳴を聞かせてくれよ~」   

 近づいてくる足音……このままやられる訳にはいかない!目の前に来た所で                   

「やぁぁぁ」    

 男の両足を両手で掴み、両足ごと魔法で凍らせる。

「ぐぁ、てめえ!」


「ぐはぁ」

 顔を思いっきり強く叩かれる。骨が折れそうだ……身体を上に上げられ…

「この女、舐めやがって!その綺麗な顔をぐちゃぐちゃにしてやるよ!」

 助けてお兄さん!    

「離しなさい!」

 遠くから聞こえる女の人の声……この声は

「ふん、ようやく現れたな。スノウ・ローゼン」


「あなた…今までどこに?」


「ごめんね、ユリンさん。ちょっと道に迷ってたの…どこかわからなかったし、それでね歩いてたら木に目印があってようやくたどり着けたの」        

 お兄さんのあれ、役に立ったんだ。

「早く離しなさい!」                         

「ふん、誰が離すか!そこで待ってろ。コイツを倒したら今すぐお前を…」


「離してやれ」


「何でだよ!」


「良いから、さっさとその女を適当な所に投げろ!今から目の前に立っているスノウ・ローゼンを二人がかりで倒す」


「……へいへい」

 私を適当な場所に放り投げ凍りついた足をグローブで粉々にした。

「ユリンさんをこんな目にして…許さない。グル、来て!」


「キュオオオン!」


「行くぞラバッツ!」


「はいよ!」

 一斉にスノウに襲いかかる……どうする気なの?こんな絶望的な状況で

「グル、ルーンよ」


「キュオオオン」       

 するとスノウは手ひらを地面につけ、魔法陣を呼び出す。そして辺りは眩くなり私が再び視界を開けると、神秘的な礼装を羽織った姿が目に映った。

「何だイメチェンか?」


「コイツは……」


「これを使えるのは数分だけなの、だから早く終わらせるわ!」

 空を飛び、空中から魔法陣を幾つか呼び出す。そして…

「これでも喰らいなさい!ブリザードォォォ・シューーート!」

魔法陣から巨大な氷のつららが無数に出現し標的に向かっていった。

「何だありゃあ!」


「砕けば終わる!」      

 両者はその攻撃に対応する。だがそれも虚しく圧倒的なつららの数に飲み込まれていくのであった。

「ふぅ……」       

 ルーンを解除するスノウ。あの女……もしかしたら私より遥かに強いんじゃあ… しばらく経つとお兄さんがやってきた。

「スノウ!ユリン!……これは一体?」  

 お兄さんは異様な光景に驚いていた。   

「大丈夫だよ、エイジ!あの二人は気絶しているだけだから」

 私はこの時スノウから発せされる魔力のオーラの恐ろしさに恐ろしさを感じるのであった。

 ……無事に試合終了。圧倒的な勝利であった。

 結果的になんとかお兄さんの退学を阻止することが出来た。良かった……今は祝おう。今は……

※※※※

「中々良い試合だったね。この試合だけでお腹が一杯だよ。ねぇオ・ス・ターさん♪」


「ぐぐぐっ、もう良い!私はこれで失礼させていただきます!上層部に報告しなければなりませんので!」

 怒り肩でさっさと去っていくオスター。やれやれこれからが面白いのに……

「それにしても、エイジ君とスノウ君…今回のMVはこの二人だな」        

 エイジ君は最初から期待していたけど、スノウ君は本当に意外だった。まさかあの超高難易度の魔法をやってのけるなんて……

「今日は収穫日和だなぁぁ!次の試合も楽しみだ!」


「大…カーネルさん!事件です」

 こんな良い時になんだよ。邪魔しやがって。

「実は…………」

 俺はその衝撃の事実に驚愕するしかなかった。あいつら、遂に動きだしたか…       

「わかった、今すぐに本部に戻る。部下には占拠された放送局に迎えと指示しろ!」


「了解!」

 実に不愉快なことをしてくれるね!






 キングさんよ!

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