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(ⅩⅧ)ジシス学園チーム対抗祭(前編)

 あれから一週間、時が流れた。僕は今日もいつも通りの時間帯に学園へ向かう。

「お兄さん、一緒に歩くの久しぶりですね」


「本当に久しぶりだね。いつ以来?」


「半年ぶりですね。私、風紀で忙しかったので」

 ユリンは生徒会で風紀を担当している。周りからの人気は相当凄いらしい。何でも男女問わず人気だとか……

「ユリン、そろそろ彼氏出来た?」


「彼氏なんて要りません。私にはお兄さんが居れば幸せですので」


「いや、でもさ」


「お兄さんに言うのもあれなんですが最近やたらと男が私に告白するのです……しかも20人以上」      

 20人!?ちょっと多すぎないか?まぁ、スタイルも顔も凄く可愛いからなぁ。僕の妹なのか?と思ってしまうほどに……

「でも安心して下さいお兄さん。私、全員にバッサリと拒否しましたから」

 うわぁ卑劣……ちょっと男子が可愛いそう。

「私が将来結婚するのは勿論お・兄・さ・んですから」


「何で強調するの?というか、兄妹じゃあ結婚出来ないけど」


「私が法律を変えてやります!それまで耐えて下さいね、お兄さん♪」

 この目つき……本気だ。誰かこの妹を止めてくれ。

「おはよう、エイジ!」

 歩いている途中スノウが声を掛けてきた。今日も凄く可愛い。

「おはよう、スノ…いてててて!」


「最近のお兄さんはスノウさんにデレデレし過ぎです」

 そんなに耳を引っ張らないでくれ、腫れるから……

「ちょっとユリンさん、エイジが痛がってるじゃないですか!やめてください!」


「これは私とお兄さんの問題です。私達の領域に入らないで下さい」


「なんですって!」       

 道端で口論をし始める二人、この状況誰か止めてくれ~                               「たくっ、なにいちゃついてんだよ!こっちのことも考えろ!」

 運良くザインが現れ、この場は何とか払いのけた。

「おはよう」


「あぁ、それより今日、11時に本番だぞ。そんな調子で大丈夫かよ」


「大丈夫だって、スノウも頼りなるしユリンだって」


「私はお兄さんの為に引き受けたんです。それ以外に興味はありません」


「私だってエイジ退学を阻止するために頑張るんだから!                                


「まあ、私の足は引っ張らないで下さいね」


「こっちこそ!」

 また喧嘩が始まってしまった。もはや止めれそうに無い。                               「はぁ~、こりゃあ心配だなぁ」


「確かに」

 僕は底知れぬ不安を感じながら歩き出した。今日はジシス学園チーム対抗祭……1試合だけのチーム同士でやり合う大会で最終的に各メンバーを評価する。評価の仕方は空中カメラで各審査員が判定する。そしてメンバーは5人が条件で、揃えれば学園内なら誰でも良いことになっている。そこで僕はユリンを推薦したわけだが……何故だかスノウとの仲が悪い。本当に大丈夫なのだろうか?まぁ、心配しても意味は無いしただひたすら前に進むだけだ。 

「エイジ…早くしないと遅刻してしまいます」 


「そうだった!皆、早く行かないと遅刻するよ!」

 僕達は大急ぎで学園へ向かった。

※※※※

「やれやれ、騒々しい奴らだなお前達は……さっさと席に着けよ」

 僕達四人はそれぞれの席に座る。

「さて、今日の午後からメインイベントが始まるわけだが……お前ら準備は出来ているか?」


「当然出来てますよ」

「そんなこと聞かなくても結果は俺らの勝利で確定なんだよ」

「絶対勝ってみせます」      

「私が居る時点でお兄さんの勝利は確実です」 

 僕達の想いは全員勝利以外には有り得なかった。

「ふ~ん、そうか。期待してるぞ!じゃあ、そろそろバスが来てると思うから所定の位置に移動しておけよ。エイジはちょっと話があるから残るように!では解散!」   


「お兄さん……」


「大丈夫。ユリンはバスの所に行っといて!」


「…わかりました」   

 ユリンは渋々教室を後にした。スノウ、ザイン、クレインも教室を後にした。残っているのは僕と先生だけだ。

「…今日会場には大勢の学園関係者が来場する。恐らくお前の敗北を楽しむつもりだろう。話しかけられても極力相手にするな」


「わかっています。それよりも先生、何故この時期に行うのですか?この前学園が襲われたばかりだというのに……」

 先生はかなり渋い表情をする。何か深い理由があるのか?

「今から言うことは国家秘密だ。約束は守れるか?」

 国家秘密!?そんなに重要なことが… 僕は意を決して、

「わかりました、聞きます。教えて下さい」


「わかった。この前ユニバース王国に引き続きアヴァロン王国も襲われたのだ。何者かの大きな陰謀によってな」


「アヴァロン王国も!?そんな……」


「事件が起きた翌日、会議が開かれることになった。議題はジェネシス王国に襲われた時の対処法について、戦闘メンバーは無論マイティーで対処するつもりだと。会議はすぐに終了した。だがその次の日、各国の王から派遣の要請が出たんだ。という訳で一部のマイティーのメンバーは各国に向かう為、戦力の減少は免れない。そこで考え抜いた方法が……」


「チーム戦でそれぞれの個人の実力を見て、総合能力が高い子を戦力に増強。ついでに僕を消そうという魂胆ですね」


「そういうことだ。話が早くて助かる……あっ、あと5分で出発だぞ!急げ!」


「急がないと!」

 僕は全速力でバスの所に向かった。今回の大会は成績の評価では無くて、個人の戦闘力の評価ということか…そして僕を退学にさせる。そんなことは……  

「絶対にさせない!」   

※※※※

 バスに揺られること1時間、ようやく会場に到着する。後30分で試合が始まろうとしているのだ…かなり緊張する。  

「おいおい、そんな状態で大丈夫か?優勝の道も遠くなるぜ!」


「あぁ、ごめん。これに勝たないと僕、退学させられるからね。余計に緊張しちゃうんだよ」


「退学…ねぇ、何かやらかしたのか?」              

「ちょっとね。まぁある意味あの出来事は僕のせいでもあるから」


「なんだ、そりゃあ。まあとにかく今日は俺達の待ちに望んだ戦いだ!全力で捻り潰してやろうぜ」        

 やる気満々だな。怪我人が多数出ないことを祈ろう

「あんまりやり過ぎないようにね!」                    

「おぅ!」


「エイジ、そろそろ舞台挨拶が始まるよ!」


「あぁ、今行く!」    

 会場へと向かうことにした。会場には学園の生徒が大勢並んでいた。僕達もその中に入る。

「…あいつも参加するのかよ」

「良いじゃん。別に……ボコボコに出来るし殺ってやろうぜ」

 僕に対する罵声は日に日に強くなっているようだ。気にしたら駄目だ。僕は耳を半分塞いだ。

「それではこれより、ジシス学園チーム対抗祭の開催です!対戦メンバー表はこちら!」               

 対戦メンバー表は電子掲示板にて公開された。さて僕達の対戦相手は……

「見たこと無い人達ばっかりだね」  

 スノウの言う通り、今回の対戦相手は一度も顔を合わせたことが無い人達だ。                  

「でも、油断は禁物だからね。全力で挑もう!」


「うん!絶対勝つぞー」


「では、間もなく20分で開幕です!皆さんは所定の位置に着いて下さい!」

 生徒全員バラバラに散らばった。僕達も行かないと……

「エイジ・ブレイン、待ちなさい」

 行こうとした矢先、40代の男三人が声を掛けてきた。

「あなた達は?」


「転校生に用は無い。下がれ!」


「何なんですか!偉そうに!」                    

「スノウ!良いから先に所定の場所に行っといて!すぐに追いつくから」


「でも……」


「良いから、早く」                        

「わかった」

 スノウは納得していなさそうだったが何とか先に行ってくれた。さて、

「ご用件は?」

 僕は苛立ちを隠しつつ弱腰で聞いた。すると目つきの悪い男は、

「今回、君は対戦相手で確実に負ける。退学処分が楽しみだよエイジ君」                              

「対戦相手を操作したんですか!」


「君の負け戦が楽しみだよ。ハハハハハ!」

 コイツら……僕を確実に敗北へ追い込むために対戦相手を変えたのか!何て奴らだ……

「おいおい、随分と血気が盛んだね~」      

 そこに茶色のコートを着込んだ左目に義眼らしき傷がある50代くらいの男性が現れた。

「あ、あなたは!」                       

「こういうチーム対抗祭とかいう胸熱な日に退学とか寒いワード出すなんて非常識だね~」


「失礼ですが、あなたには関係無いことです。引っ込んでいて下さい!」


「……引っ込むのはお前らだよ?」

 50代くらいの男性は悠々と睨み返す。この人ただ者じゃない。      

「くっ、お前ら行くぞ!」


「はいっ」

 男三人組は逃げる様にその場を後にした。

「すいません、ありがとうございます」               

「別に良いよ。俺、ああいう奴ら大嫌いなんだよね。権力だけ振り回しやがって、何様のつもりだよ……ところで君がエイジ君?」                               

「はい、そうですが?」


「君の戦い楽しみにしているよ。是非とも私に素晴らしい戦闘を見せてくれ!じゃあね」

 男性はそう言うと、そそくさと去ってしまった。あっ、名前ぐらい聞かないと       

「失礼ですが、お名前は!」

 男性は右手を上げ       

「カーネルだ。また会う日が来たら宜しく」

 僕はその名前を強く心に刻み、急いで所定の位置へと向かって行った。

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