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(Ⅹ)悲しみはどこまでも

「ローマイアス国王、今日はお会い出来て光栄で御座います」


「おぉ、君があの重要指名手配犯は捕まえたワイズか」

 国王は嬉しそうな顔をしている。当然か何十件もの強盗を繰り返した男だからな。嬉しくならない方がおかしい。

「ワイズ……君には感謝している。今すぐ報酬金を持ってこよう。おい!この者に報酬金を持ってこい!」

 クックっクッ


「いや、困りますよ。そんな物を貰うために来たわけでは無いのです」


「ん?では何が欲しいのだ」


「あなたの首です!」


「!?」

 大剣を首に刺した。こんな攻撃も避けられないのか……大したことないな。

「王、あなたはミスを犯した。それは大勢の優秀な部下を引き下がらせたことだ。自分の愚かな采配を呪うが良い」            

「王よ!金を持って参りまし…た」               兵は金を落とし唖然としていたが

「貴様!!王に何をー!ここで死ね」

 剣を抜き取り、直線に向かってくる。馬鹿が、その動きだとわざわざ殺してくれと言っているようなものだ。

「死ぬのはお前だ」                      剣先をへし折り、横に切り裂く。

「ぐはぁ……」


「最後に一つ教えてやろう。ここに来たのは王の首をはねるため……そしていずれ私が全世界の王になるためだ」


「な…んだ…と」                      死んだか。呆気ないな。こんな奴が兵などたかだかしれている……

「計画の第一歩は無事終わられたみたいですね……キング」                               「ビショップ……戻って来たか。ちょうど今首を貰った所だ…首だけ回収しておこう。王と兵の遺体はそのまま放置しておけ」                              「はっ!かしこまりました」


「さてこの場所はもう用済みだ。次は私と一緒に付いて来い。行く所がある」


「どちらの国ですか?」


「アヴァロン……強豪揃いの国だ。あの国は私一人でも充分だが……もっと私の力が強大だと世界に知らしめる必要がある。そのためにお前が必要だ…」                                              「何故私なのですか…と聞こうと思ったのですがあの学園に向かわせあの本を取ってこいと言ったのはそういうことなのですね?」                                                       「ふっ、お前の考えている通りだよ。あの禁書に書いてある呪文……ビショップなら使えるはずだ」    


「えぇ……問題ありません。ただ少々時間を必要としますが…」


「別に時間はこの際良い。…では出発するぞ」


「かしこまりました」

 ビショップはすぐに移動魔法を唱えた。          「さて」

 計画の第一段階序盤はクリア。                「後…四つ、待っているが良いさ」

 私は仮面の中で優越感に浸った。

「キング、準備完了です」                                              「そうか、では行くぞ。アヴァロンへ……」


「は!」

 全ての国王の首を取った時、私は

「全ての頂点に立つ」

※※※※ 

 コンコン

「ローマイアス国王!お食事はどうなさるのですか?」

 長い沈黙が流れる。おかしい、こんなこと今まで無かったのに…

「ローマイアス国王!返事をしてください!」

 また長い沈黙……致し方ない。

「国王よ。無礼をお許し下さい」

 私は扉を開けた。何か血なまぐさい臭いがする。これは…  「は!国王?」 

 首が無い……あ、ああああ

※※※※

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「何だ!今のは!?」                     僕は跳ね上がるように起き上がる。物凄い悲鳴だった。急いでタブレットで確認した。時間は10時か……30分しか寝てないや。

「それよりも」

 扉を開け、声のする方へ……ってどこに行けば?

「エイジ!」


「スノウ!さっきの声。どこの部屋かわかるかい?」


「多分こっちだと思う。付いてきて」

 スノウの後に付いていくことにする。           「姫様も聞こえたのですか?」


「えぇ、凄い悲鳴がしたから……」


「私も付いていきます」

 三階に上がり長い廊下をひたすら歩くと奥のドアから大きな物音と共に一人の女性らしき人物が姿を現した。

「ひひひ姫様は見てはなりません!!」 

 尋常では無いことはこの女の顔を見てすぐにわかった。

「何か…あったんですね?」


「お父さんの部屋で一体何が!?」


「落ち着いて、スノウ。とにかく僕があの部屋に入って中を見てくるよ。君はここで待ってて」


「うん……」

 僕は勇気を振り絞り部屋へと入った…その瞬間血なまぐさい臭いが一瞬で鼻に匂ってくる。僕は鼻をつまみながら臭いの激しい方へ向かう。

「……くっ、これは」

 血だらけの遺体、これは兵士か。そしてこっちに置いてある遺体は…                           「ローマイアス国王なのか?」

 というのも、首が無かったからだ。僕は直接見たことが無かったので服装で判断するしかなかった。

「スノウにどう伝えれば……」                                            「お客様…」


「…取りあえず聖団を要請しましょう。このまま放置するわけにはいきません。それとスノウ姫にこの遺体は見せず、ありのままの事実を伝えて下さい」


「わかりました。伝えて参ります」

 女性は扉を出てスノウに事実を伝えた。事実を聞いた後スノウは泣き崩れ叫んでいた。

 どこまでも……どこまでも……


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