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color  作者: 倉本新菜
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宮部さんは、待ってましたとばかりに答えて、後で教えてあげますよ、と不敵な笑みを浮かべた。

まあ、何なのかは聞いたこともあるし知っているつもりだ。

でも気になるのは矢野君の言っていた元カノ検索である。この際だ、宮部さんに言ってみようか。元カノ検索の何たるかがわかりさえすればよい、と。

いやいや、それは大学及び職場の先輩としてあまりにも頼りない。場合によってはハラスメント的要素を含んでしまうかもしれない、などと気を揉んでいるうちに、終業の時間が来た。

地方都市の市役所で市民課などに勤務していると、残業なんてものはほとんどない。

入職したての頃はこんなものでいいのか、一般企業に就職した友達と比べて不安になったものだ。

しかし後輩が入ってくるころには、なぜ一日に八時間以上働かなければならないのかとさえ思うようになった。ぬるま湯に肩までどっぷり浸かってしまった。

宮部さんの帰り支度具合を横目でちらちら確認しながら、パソコンの電源を落としたり書類をファイルに仕舞ったりしていると、ちょうど同時にジャケットを羽織った。

「渡海さん、JRですか」

「うん。そうだよ」

こういう表現も僕はおや、と思ってしまう。僕は渡海であって、JRではない。そういうことをいちいち気にする僕が、思っていることを全部口にすると相当面倒くさい男だと思われるだろう。

「じゃあコーヒーでも飲んでいきますか。私、フラダンスのレッスンまで暇なんです」

おっと、ここにも気を遣う機能が欠落した後輩がいる。多分、矢野君も宮部さんもB型だと思われる。でも良識ある大人である僕は、B型を敵に回す気はないのでそんなことは口に出したりしない。つもりだ。

「あのさあ、宮部さんってB型?」

あまりにも気になるので聞いてみた。仕事をするうえで、後輩の性質を血液型側面から把握しておく必要に迫られたからだ。

「はい、そうです。あ、ちょっと待って下さいね」

黄色いランプの下で緑色の女神のカップを待っていると、宮部さんのスマホがピンコン、と鳴った。

真性B型は、B型だと思われていることに関してはさして気にならないようだ。宮部さんはスマホを取り出して、画面をみると少し笑った。件のフェイスブックの画面のようだ。

「コメントが入ったので。昼間のカルビクッパのことをアップしたんです。あ、渡海さんも始めるんでしたよね。スマホありますか?」

店の一番奥の席に座ると、宮部さんは身を乗り出して僕のスマホを覗き込んだ。

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