西川の周りには修羅場が絶えない
「おはよう、にっしー」
朝にっしーが教室に入ると、1人の小柄な少女がにこやかな笑顔でにっしーに駆け寄る。
「ね、にっしーこの休日のご予定は?」
「特にないかなー、あ、土曜日は嫁とデートするけど」
嬉しそうに笑うにっしー。その様子を見て、小柄な少女の笑みが急速に冷えていく。
「そっかぁー、へぇー良かったね。にっしー」
「えと……うん!」
少々悩んだ末に、開き直るにっしー。
「そうだよね、西川さんには、お嫁さんがいるもんねー」
とてつもなく冷やかな笑みで、少女は何度も何度もお嫁さんがね、と呟く。
「いやその……」
徐々ににっしーの顔から血の気が引いていく。
「うん、知ってるよ。お嫁さんが――」
「おはよー!」
少女の声を遮るようにして、また別の少女が教室に入ってきた。
「あ、おはよう!!」
助かったと言わんばかりににっしーは挨拶を返し、少女のもとに駆け寄っていく。
「ん? どうしたの?」
少女はにっしーの頭を撫でながら、いまだにお嫁さんが……と呟いている少女に視線を移す。
「いや、別に何もな――」
「にっしーは、次の土曜日に、お嫁さんとデート行くんだってー」
少女はにっしーの言葉を遮るように、満面の笑みで言葉を発する。
「……へぇ?」
先ほどまで優しくにしーを撫でていた少女の手の動きがぴたりと止まる。
「いやその……」
「うん、大丈夫」
慌てふためくにっしーに、少女は優しく笑いかける。
「良かったー! 分かってくれると信じてたよ!」
それを許してくれたと思ったのか、にっしーはほっと胸をなでおろす。
「浮気者のにっしーなんだから、当たり前でしょ?」
少女はもう1人の少女に優しく語りかける。
「やめて! そう言い方は――」
「そうだね! 確かに言われてみれば……」
「いやあの、話を聞い――」
「私たちは、側室なんだから、にっしーが、正室の子と遊びに行くのは当然でしょう?」
「お願いだから――」
「そっかー、うん納得!」
「心が折れそうです」
にっしーの言葉を全て遮って、2人の少女は会話を続けていく。
「はいはい、にっしーも拗ねそうだし、このへんで終わろうか」
少女は優しくにっしーを抱きしめる。
「日曜日、遊びに行かない?」
「え、行く行くー!」
「うちも行きたい!」
「じゃあ、3人で行こうか」
「「2人でデートがいいなあ」」
まるで示し合わせたのようにして、2人は微笑む。
「え、ちょ……」
「「さ、にっしーはどっちを選ぶの?」」
にっしーは知らない。事前に少女たちがにっしーを困らせるためにこの計画をしたことを。
「うー、どっちも!」
「「にっしー?」」
「ごめんなさいー!」
今日も西川の周りには修羅場が絶えない。
とりあえず、書いてみましたww
好評だったら続き書くかも・・・ですね!←
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