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そう遠くない未来。  作者: 薄桜
葵×聡太
8/26

見えてきたもの

「葵×聡太」の最終話です。

ではどうぞ。

「ほう、欧米文学の英語か。いいんじゃないか?」

週明けの休み時間に、進路の方向・・・って言うか、聡太に進められて考えた事を、職員室の岡崎先生に報告しに行った。

やっぱり結構あっさりしてる気はするけど、

「うん、安田は英語の成績いいから、いいとこ選んだんじゃないか?」

って言ってくれて、一方的に毛嫌いしてるのも良くないかなって、ちょっと反省した。

ちゃんと私の成績の事を頭に置いて、先生なりにきちんと対応してくれてるんだなって、少し申し訳なく思った。

「おっ、そうだ安田・・・聞きたい事があったんだ。」

「何ですか?」

「お前、1年の為井と付き合ってるんだって?」

前言撤回。

「・・・何で知ってるんですか?」

「有名人が何言ってんだ、元々確実な筋から聞いてはいたんだが・・・噂は怖いな。」

無責任に含み笑いを向けるこの先生は、やっぱり好きになれない。

って、噂?

「噂って何ですか?」

「キスしてたとか、仲良く登校とか? ま、そのうちお前の耳にも入るんじゃないか?」そして今度は声を上げて笑われた。

否定できない事を言われた私は、顔を赤くするしかなくて・・・

消え入りたいってこういう時に使う言葉よね? 

でも消えられはしないから、私はここからどうやって逃げればいいのかな?

って、どこか冷静な部分が妙な事を考えていた。

「そうだ、いい事教えてやろうか?」

そんな時、先生が逃げ道をくれた。

やり過ぎたかなって顔してる先生は、驚きの事実を私に教えてくれた。

「大垣にも彼氏がいるぞ。」

「・・・美晴に?」

「そ、やっぱり安田も知らなかったか。こないだ男はいるのかって聞いたら、思いっきり顔に出ててな・・・結局、怒って逃げた。」


思い出し笑いをする先生に、軽く頭を下げて失礼しますと辞した後、職員室から急いで教室に戻った。

そして、自分の席でデジカメを(いじ)っている美晴に詰め寄った。

「・・・何、そんな勢いよく来て?」

思いっきり引かれてるけど関係ない。

「美晴、いつから彼氏いるの?」

「は?」

困惑の表情に、泳ぐ視線・・・これは事実だ。

今、先生から聞いたばかりの話を、本人に突きつけての事実確認はあっさりとできた。

「美晴ずるい、私の方ばっかりチョッカイかけるくせに、いつも自分の事は全然言ってくれないじゃない。」

「突然何? ずるいって言われても困るんだけど・・・。」

そう言いながら、デジカメを不自然に仕舞おうとするのを私は見逃さなかった。

「ひょっとして、そこに写ってる?」

ビクッと肩を揺らし、黙り込む美晴の手からデジカメを取り上げた。

「私達のあんな写真撮ってくれるくらいだもの・・・見るくらい平気よね?」

私はできるだけ冷たい声を出した。

仕返しって事にしたって問題ないわよね?

「うっ・・・あーもう、好きにして。」

うんうん、開き直って投げ出すのが早いのは、こういう時便利ね。

「はーい、好きにします。」

電源をONにし、再生モードで順に見ようとしたら、

「逆からの方が早い。」

機嫌の悪い声で親切な事を言ってくれた。

「そう。」

そのアドバイスに従って、逆に送るとすぐに二人の写真が出てきた。

「へー、格好良いじゃない。年上・・・だよね?」

「・・・うん、3つ上。」

「ねぇ、笑っていい?」

「何を!?」

「美晴もこんな顔するんだなって。」


ちょっと大人の男の人と並ぶ美晴は、幸せそうな女の子だった。

普段は澄ましてるか、ふざけてるかのどっちかで、あんまり見た事の無いその表情が、何となく嬉しくて・・・笑いたくなった。



お昼の屋上で、聡太と一緒にお昼をしながら話した。

私達が噂になってるって事と、美晴の彼氏の件だ。

噂の方は思い当たる事があるらしく、仕方が無いかなって力無く笑って、経緯を教えてくれた。

・・・うちの弟のせいなのかと、その理由が分かると、力が抜けた。


一方、美晴の彼氏の話は、予想以上の反応で、

「何で? どうしてあんな人がいいんだ?」

って、結構ひどい事言ってない?

・・・聡太と美晴って、そんなに仲悪かったかな?

「私は美晴の事好きだけどなー、元気で真っ直ぐで、見てると面白くて。だから、好みは人それぞれだよね。」

だから、ちょっと諌めた。

だって本当は私の方がお姉さんなんだもの。聡太の方が何か大人みたいで、普段はあんまりそんな気がしないんだけど・・・。

「そうだけど・・・。」

「ね、幸せならいいんじゃない?」

渋る様子に、もう一度念を押すと、

「・・・ま、そうかもね。」

と、何となくって感じながらも納得したような返事をして、急に私を引き寄せた。

「僕も幸せだから・・・ね?」

とても近くでそう囁かれ、目を閉じた私は、何も見えなくなった。


如何でしたでしょうか?


この二人の話は、

「恥ずかしがったら負けだ!!」

と、何度か気合を入れ直しました。

うん、気を抜くと照れる。


お次は「美晴×芳彰」のお話です。

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