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そう遠くない未来。  作者: 薄桜
朋花×航
20/26

時間とキスと苛立つ俺

「朋花×航」の2話目です。

ではどうぞ。

朝チャイムの音で、嬉しそうに出て行くねーちゃんを横目で見送り、俺はいつものように10分遅れで家を出た。

すると今日は少し真面目な顔してて・・・

まだ何かあんのか!?

「航? そろそろ置いて行ってもいいか?」

そろそろ?

「何だ急に?」

確かにいつも待たせてるっちゃー待たせてる。

だが、これも俺の思いやり。

それを教えるような野暮はしねーけどな。

「急じゃない。まだわざと遅く出てくるつもりなら、僕は葵姉と行くぞ?」

うーん、思いっきりバレてるな。

「そっか、そうだなー、それも仕方ないかなー? 今は別にわざとやってる気はねーんだけどさ、癖? もう習慣だよな。」

「・・・わかった。明日から実行に移す。」

そんなにふざけた気なんかねーのに、笑って誤魔化そうとはしたけど。

・・・こいつすぐ怒るんだよな。

「あ、ちょい、待って待って、義兄上!?」

まぁ、ねーちゃんと行きたいってんなら、そうすりゃいいって。

そうはっきり言ってくれると俺も楽だ。言い方にトゲがあるのは多少アレだが、顔見りゃしょうがねーかなーって思える。

「いいんじゃねーか? 別に俺に気を使う必要はねぇって、」

やたらと早く歩く聡太に小走りで追い着き、余裕の笑みをもって聡太の肩を叩いた。

「俺は、んな事干渉するほどシスコンじゃねーよ。」

そうだ、俺には朋花がいる・・・シスコンなんかじゃねーんだ!!



「おーい、聡太くーん、こっちこっち。」

知った声につられて教室の入り口を見ると、美晴が聡太を呼んで手招きをしていた。

HRが始まるより前の時間だ。

聡太は心底嫌そうな顔してて・・・何か面白そうだな。

そう思って、聡太より先に入り口に向かった。

「美晴どしたんだ?」

「あぁ、ちょっと渡すものがあってさ、これなんだけど。」

そう言いながら美晴が出した緑色の封筒を受け取ろうとしたら、横から物凄い勢いで奪い取られた。

唖然として横を見ると、怖い顔した聡太がいて美晴を睨んでた。

「何だ聡太、必死っぽいな?」

「そりゃ、相手が美晴さんだからね・・・。」

なるほど。こいつはまた、おもちゃにされてんのか。

朋花も気にしてか、こっちに近寄って来てた。

「じゃ、渡したから。あ、そうだ。」

睨まれようがどうしようが、一向に気にしてない美晴は、戻ろうとした足を止め、聡太を引っ張って何か言っていた。


そこに隙が生まれたらしい。

朋花は封筒を聡太の手からあっさり奪い取ると、あっという間にその中身を出して広げた。

『Good job!』って賞賛するしかない見事さだった。


封筒の中身は4枚の写真だった。

「すごい、聡太くんどしたの!?」

朋花はテンション高く騒ぎ立てたが、俺はといえば、驚きのあまり固まって声すら出せなかった。

「何で!? ちょ、ちょっと・・・とりあえず返せっ!」

「へー、付き合いだしたってのは聞いたけど、こんな事までしてたんだ?」

「・・・素直に行動しただけだ。」

「いいんじゃない? ね、」

「・・・あ、あぁ。」

正直二人のやり取りなんか耳に届いてなかった。

けど急に振られて、よく意味も分からないまま返事だけを返した。


俺のねーちゃんと、目の前の親友がキスしてる写真は、衝撃以外の何ものでも無い。

・・・けどまぁ、そりゃ・・・好きで付き合えば、そういう事もあるよな・・・したいよな。

って、納得はできる。

けど、ねーちゃんは交際を宣言した時と同じ服で・・・。

って事は、付き合いだした初日で・・・いきなりか!?


俺と朋花は付き合いだしてから、5ヶ月くらい経ったけど・・・まだしてねーよ!?

もちろんしたくない訳がない、むしろしたい!

・・・けど、なんつーか、こう・・・タイミングが。

そういう雰囲気って、どう持ってくんだ?

俺にはこんなにも難しい事を、こいつはこうもあっさりと・・・。

頭に刻み込まれて消えない写真の映像に苛つき、それと同時に、腹の中で黒い何かが渦巻くのを感じて、何かすげー嫌な気分だ。おまけに

「先越されちゃったね。」

弾む声でそう朋花に囁かれ、俺は更に追い込まれたような気分になった。

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