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そう遠くない未来。  作者: 薄桜
美晴×芳彰
14/26

驚かされた

「美晴×芳彰」の6話目です。

ではどうぞ。

チャイムが鳴ってドアを開けると、そこには芳彰さんが立っていた。

そしてその背中には、眠ってるおねぇちゃんがくっ付いている。

眠ってるっていうか・・・しっかりしがみ付いてるから、寝ぼけてる?

先に電話で聞いていたけど、実際に目にした姿は予想以上の破壊力で、私はつい声を出すのも忘れ、二人を見上げて呆然と立ち尽くしてしまった。

「和歌奈ちゃん・・・上がって、美晴下ろしていいかな?」

そう、芳彰さんに苦笑いで言われ、ようやく正気に返った。

「あ、ゴメン。ビックリしちゃって。」

ドアを大きく開けて中に通し、後ろ手に持って来てくれた靴を受け取った。

それから、おねぇちゃんの部屋のドアを開けると、ベットにゆっくりとおねぇちゃんを下ろし・・・さすがに重かったらしく、ベットに座ったまま首を回し始めた。

「・・・あの、ありがと。おねぇちゃんが迷惑かけてゴメンナサイ。」

はた迷惑な姉の代わりに、礼を言って謝ると、

「別にいいよ。」

って、笑って言ってくれて、本当にいい人だな・・・。

それから、寝ているおねぇちゃんの髪を何度か優しく撫でていた。

「じゃぁ、俺は帰るから。」

そう言って、立ち上がろうとした所で、おねぇちゃんに服の端を掴まれている事に気付き、少し困ったような笑みを見せた。

そんな恥ずかしいような、おねぇちゃんの子供じみた行動に、芳彰さんは何となく嬉しそうで、(ほど)いて服から剥がした手を少しの間握っていた。


結局おねぇちゃんは朝まで寝てた。

朝早くに起きて、シャワーを浴びて・・・私はその物音で起こされた。

お風呂場は私の部屋の壁を挟んだ向こう側。カタカタとプラスチックの鳴る音や、水音なんかが、全部聞こえるんだからね。

必要以上に早起きさせられて、機嫌の悪い私に一向に構わず、おねぇちゃんは濡れた髪のまま、昨日どうやって帰ってきたのかを必死になって聞いてきた。

・・・だから私はちゃんと話してあげた。あった事を一つ残らず全部だ。

恥ずかしさのあまり、だんだん真っ赤になっていくおねぇちゃんを見てるのは、少し胸がスッとした。

その後、気まずそうに部屋に戻って行ったけど、やっぱりそんな姿も幸せそうで・・・。

ちょっとだけ・・・そう、ちょっとだけ、おねぇちゃんが羨ましいって思った。



朝の9時くらいに芳彰の所に行った。

今日は土曜で、学校が休みで・・・無論、昨日の事を謝るためだ。

しかし、鍵は開いておらず、チャイムを鳴らしても中から開く事は無かった。

「出かけてるのかな・・・?」

一人こぼして、芳彰に電話をしてみたら、結構近い所で音がした。

いや、でも最初から入ってる電子音だし、他の人だろうな・・・なんて思ってたら、繋がったと同時に音も止んだ。

「あ、芳彰。出かけてる?」

「悪い、すぐ戻るから。」

せっかく繋がった電話はその一言で切られてしまったものの、その直後、本当にすぐ階段から本人の姿が現れた。

黒いジャージの下と、白地にシャープな赤いラインの両サイドに入ったTシャツ姿で、一瞬ドキッとした。

・・・本当、誰? って思った。


「どうもここにいると緩むらしい・・・最近運動不足気味だから、走ってんだ。」

説明しながら鍵を開けて、部屋に上がるも・・・後ろが付いて来る気配が無い。

振り返ると、美晴は微妙な顔して玄関に立ち尽くしていた。

「どうした?」

「あー・・・昨日はごめん、妹から聞いた。・・・少しは自分でも覚えてるけど・・・。」

珍しくしおらしい。

「別にいいって。」

確かに正直悩んだ。だから起こして帰らそうとした・・・が、無理だった。

一度和歌奈ちゃんに、家に連れて行かれた事もあるし、昨日はやましい事もしてないし、まぁいいかと腹を括った。

結局家には和歌奈ちゃんだけで、そんな必要も無かったが。

・・・でもおそらく。いやきっと今日の昼以降は行き易くなるような気がする。

それは、予想というより確信に近い。

昼から会う予定のあいつの母親。電話だけだが、あの様子なら反対されている訳ではないだろう。

あの声からは、からかってやろうという・・・迷惑な意図が感じられた。

「それより、俺今からシャワー浴びるけどどうする?」

「何が?」

靴を脱ぎかけていた美晴は、怪訝な顔を俺に向けた。

「一緒に入る?」

残念ながら玄関のオレンジ色の光では、赤くなってる筈の顔が確認できない。

「それは・・・今は・・・遠慮する。」

「今は?」

「その・・・終わったら、改めて考える。」

即答で拒否されると思って言ってみたんだが・・・さすが美晴だ。

美晴の考えそうな事を想像して、思わず笑ってしまった。

「じゃぁ、終わるのを楽しみに待ってる。」

笑いながらそう言うと、美晴は再び靴を履き始めた。

今は絶対、照れて怒ってるはずだ。

・・・これ以上からかうと、さすがに危険かな。

「そうだ。俺、昼から用事あっていないから。」

「あ? ・・・うん分かった。」

動揺の抜けない声で返事をした後、

「じゃぁまた。」

と残して、そそくさと逃げて行った。

もう少し声をかけるタイミングが遅ければ、上がっていっただろうか?

・・・まぁ仕方無い。

悶えさせるのは楽しいんだが、それ以上できないのもな。

けどまぁ、そのうち・・・

と、そんな事を考えながら、俺は風呂場に向かった。


えーと、芳彰くんの頭の中は、当然18禁です(^^;

「そのうち・・・」の先は何でしょう?


そりゃもちろんご奉仕ですよね? ね?

・・・後書きが18禁になりそうだ。

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