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そう遠くない未来。  作者: 薄桜
美晴×芳彰
11/26

恋人との時間

「美晴×芳彰」の3話目です。

ではどうぞ。

これは何の絵になるのだろう?

恥ずかしいって思う部分はあるけど、やっぱり会いたくて・・・今日は聞きたい事があるからって、自分に言い聞かせて芳彰の部屋に来た。

目の前の芳彰は、真っ白いキャンバスに鉛筆でスラスラと線を引いていく。

フリーハンドの曲線を7、8本引いた所で、イエローオーカーという名前のついた色の絵の具を、少量パレットに出してオイルでごくごく薄め、キャンバスに塗りたくった。

薄い黄色に覆われ、白い所が無くなった所でパレットが置かれ、筆は染筆用のオイルが入った容器に突っ込まれた。

「それで終わり?」

手を洗ってくると言って立ち上がった芳彰に声をかけると、

「今はな、下地塗っただけだ。続きは乾いてから。」

そう言うと、どこか機嫌の良さそうな彼は部屋から消えた。

やっぱりこんな線だけじゃ分からないな。今まで芳彰が座っていた椅子の後ろから、極々薄い黄色のベールに閉じ込められた鉛筆の線を眺めても。芳彰の思い描こうとしているものは分からない。

「ねぇ、これ何になるんだ?」

戻ってきた芳彰に聞いてみたけど、

「気にしてるみたいだから、内緒にしとく。」

「ひどっ、余計に気になるじゃないか。」

「じゃぁ、気にしといて。」

まったく取り合ってくれず、後ろから抱きすくめられ・・・おまけにその手は胸を這う。

「んっ・・・ねぇ、最近・・・意地悪くないか?」

「別にそんなつもりはないけど、だとしたらそれは、間違いなくお前の影響だな。」

「や、ぁ・・・人のせいにするな。」

「嫌か?」

「・・・今聞くな、ぁっ。」

「じゃぁ・・・。」


耳元で笑う声の主に、私はあっさりと屈服させられた・・・。


あーっもうっ! 今日は絵を描く時の気持ちを聞いてみようと思ってたのにぃー!!



「・・・やっぱり意地悪だ。」

不貞腐れて布団に潜り込んで、一向に出てくる様子が無い。

下だけ穿いて横に胡坐で座り、膨らむ布団を眺めるものの・・・さてどうしたものか。

理由が分からぬままに宥めてみても、効果は無く・・・もう諦めた。

「普段はお前に振り回されてばっかだからな。この時くらいは、俺の好きにさせてもらうさ。」

本音だ。

「普段と違うから、嗜虐心が煽られるんだ。」

普段は強気な言葉を吐く口が、よがって啼く様は癖になる。

が、少し気になる所もある。

「・・・芳彰触り過ぎだ。段々よく分かんなくなってくるし・・・そしたらベットに連れてかれるし・・・。」

布団の中から、くぐもった機嫌の悪い声が漏れてきた。

やっと話が進んだ。でもそれ、俺・・・怒られる事なのか?

「もう無理って言っても止めてくれないし・・・。」

「美晴・・・それ恥ずかしがってるだけだろ?」

布団が少し動いた。当たりだな?

「・・・だって、私、」

「それじゃ、まったく触らない方がいいか? やらない方がいいか?」

また布団が動いた。

「・・・それは・・・その、違う問題かなと・・・。」

そうだな、俺には無理だ。

布団をはがして引っ張り出すと、裸の美晴が抗議の声を上げる。

それに構わず捕まえて、意味深に囁く。

「あのな、無理ってとこを超えると、違う世界が見えるらしいぞ。」

「何それ?」

美晴は訝しがりながらも興味を示し、動きを止めた所を後ろから抱き込んで逃がさないようにした。

「あーっ、はめたな!?」

こういう方面に疎い美晴は、それ故に先入観がなく案外素直だ。

「はめてない、人それぞれらしいがトリップする事があるらしい。」

「・・・へぇ、」

そして、元々好奇心が強く、おまけに前向きで、世話好き。

好奇心がすべてに勝るのもどうかと思うが、こうすれば大人しくなる。

後は羞恥心からくる抵抗感さえ無くなれば・・・きっと色々覚えてくれる。

「でもそういうのは精神的に開放されて無いと、無理らしい。」

「それは医大生の学習成果か?」

美晴の声が冷たい。

「・・・そういう事を研究してる人間がいて、本もたくさん出てるが・・・大学は関係ない」

「じゃあ自主学習だな?」

・・・えーと、流れが変わったような気がする。

「・・・あー、どうせ二人しかいないんだ、恥ずかしがる必要は無いだろう?」

「でもなぁ、芳彰に見られてるの結構恥ずかしいよ?」

「俺は悶えてるお前を見てるのが楽しいし、嬉しい。もの凄く満足だ。」

「そっか、じゃぁ私も、快楽に耐えてる芳彰を見てればいいよね?」

やっぱり攻守が逆転している。

「・・・だから、お前も俺が悦ばしてやってんのを素直に楽しんでみないか?」

「えーその言い方は、随分偉そうだな?」

「あーもう、そうじゃなくてだな・・・気持ちいいのは別に恥ずかしい事じゃない。お前は理性に縛られ過ぎてるとこあるから、本能に従うのも悪い事ばっかじゃなくて・・・だから、俺と一緒にいて、ヤってる事をもっと心から楽しんでくれ! ・・・って、俺何言ってんだよ、くそっ。」

腕の中の美晴が震えている。

そして堪えきれずに大笑いし始めた。

「笑うな、俺だっていっぱいいっぱいなんだ、途中で茶々入れやがって、もう最後グダグダじゃないか・・・。」

美晴は半身をひねって俺の方を向き、目で何かを訴えている。

押さえ込んでいた腕を緩めると、するりと向きを変え、首に手を回して抱きついてきた。

「一世一代の演説良く分かった。私もそう考える事にする。」

囁くような心からの言葉が耳元をくすぐる。

直に触れる温度と柔らかさも加わり、安堵の思いと、そして、愛しいと思う熱い感情が心を占めた。

「・・・でも、二回目やる時間は無いぞ?」

「気にするな。」

「はい? 何を?」


最終的に、美晴を思い通りの方向へ誘導できた。そして、おそらくこの先も・・・。

しかし、俺の中にあるのは、満足感より敗北感で・・・

まったく、一筋縄ではいかないヤツだな。

でも、だからこそこんなに(はま)ってしまったのだろう。

無邪気な様子で俺の上に跨る美晴にキスを落として・・・そのまま押し倒した。

「・・・いつまでもそんな格好でいる方が悪い。」


抗議の声もやがては艶を含む吐息となり、そのうちに意味を成さない叫びに変わる。

やっぱりいいな、こいつ。

頭の隅でそう考えながら、征服感をしっかりと味わった。

ここがR15です。

物足りない方は、想像力で埋めて下さい。


芳彰くんは色々教え込もうとしてますが、そこ書いちゃうと

・・・18禁になるよね?

けど、ここの辺りのステップアップもこの二人のテーマだったりするので、

色々覚えてく美晴を、遠回しな表現で書いてくつもりです。


・・・ここは、別に恥ずかしくないんですよ、葵×聡太の方が恥ずかしい。

あのペアは真面目だから、逃げ道が無くって。

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