ダンゴムシもワラジムシも忌避しない
ダンゴムシもダイオウグソクムシにも怯まない!
だけどどうしてもフナムシはダメなんだ。好き嫌いに理由をつけても無駄なので、結論しかない。しかも、藤色がかった褐色の印象のあるフナムシが濡れた煉瓦のような赤の発色が良いカラーリングでコッチに向かってくるんだ。声も出ちゃうよね?しかも大きい。小判くらいあるのが群れで!そう、フナムシなんで、群れで来る。恐怖しかない。そうだろう?
だが、周りはいたってクールだ。オマエと比較してどちらが大きいか?そして攻撃する生き物か?破壊力がどこにあるのか?淡々とフナムシをスルーする。
実際、潮を汲む作業は危険を伴う。大きな堤防の陰からビュンっと天秤につけた桶を投げては潮を汲む。だから魚の直撃は受けないけど、堤防の横合いから海獣はやってくる。シャチみたいなのは上陸しないけど、アシカとかトドのような生き物は好奇心も強くて、何してんの?オマエ美味しい?ちょっと食べてみようか?目をキラキラさせて襲って来る。
だからわたしと一緒にトムもサムも来て潮を汲みつつ応戦もする。賦役の農村の人間は不慣れなので怪我をさせないように、礫を投げさせるくらいだ。
戦って、潮を汲んで、海風の吹かれて、身体にかかる負担は大きい。
小屋で塩水に手を浸しっぱなしで、けっこう冷える。などと思ったけれど、外の作業はさらに過酷なのだ。
賦役の者は期間が限定されているので、順番に解放されて村に塩を持って帰るけど、わたし達はずっとここで塩を作り続けるから、ムリはできない。もちろん臨時の者も農村に元気で帰さないといけない。でもわたし達一族が折れちゃうと製塩が滞る。芋でも豆でも10%ほど減産すると倍くらい高騰する。塩は多く摂ると害になるけど、摂らないと低ナトリウム血症で脳に障害が出るので、摂取しないと困るんだよ。
塩の摂取量、1日5gという目安があるけど、カップ麺なら5〜8gなので、基準はそうとう薄味。塩はどんどんと濃く使いたい傾向が出るので、本家は増産を再三求められていると父上は戻る都度零している。本家だってそうそう増やせないのは分かっている。小屋のある場所が小さな入江の中だ。広げられない。製塩技術は一族の全員に出るものでもない。そもそも人口が増えれば、一族を養うために畑の拡張も必要で、開墾する土地も耕作の人手も同時に増やす必要がある。今すぐ全部大急ぎで。などと無茶を言うそうだ。
じゃあ、お前がやれよ!
毎回、製塩小屋関係者がブチ切れるところまでがお約束。
倍、潮を汲んで、倍の人数で水盤を囲めば良いのだ。言ったオマエが不足の人数を出せ。とりあえずオマエが汲め!塩気を含んだ冷たい濡れた風を浴びながら、海獣や堤防を乗り越えて現れる見上げるような大入道と戦いながら、海に向かって桶を投げ続けると良いのだ。
同じ人数しかないなら休みを調整して働かせろ。生産性の向上を目指して。などと御託をいうなら一度体験に来るといい。人間は無理をきかせると壊れちゃうんだよ。長期的に見て損失が出たから、今のローテーションになったんだ。まあ、新しい技術があるなら、また違ってくるのだろうが、今それを誰も提言していない。
提言するためにも、ぜひ、お前がやれよ。
次回は1/17土曜日朝6:10です




