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東風(こち)にのって  作者: へますぽん


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16/17

きわめて猛烈な

今話で終わるくらいのつもりでしたが

いましばらくかかりそうです

本年度中には完結を予定しております


今月中と来月中だと全然印象変わる。。三月は猿。って校長先生言ってたし。

 吹きつける風の音と、密度の違う大粒の雨が窓を塞ぐ板に叩きつけられる音の波と、いつもはない海のにおいがする。その生ぐさいにおいと、エントランスに避難してきた人いきれの熱と湿度。普段と違う雰囲気にぐずり出す幼い弟妹たちに、ハンナやモニカも振り回されている。マットはもともとそういう要請がないので、ケロッと雨の様子を眺めている。外をうかがう隙間に、大人の足元から入り込んで混ざっている。


 ザァザァと絶え間ない雨音を超える大きな崩落の音が、エントランスホールに反響する。近い。

 外の様子が見える狭いスリットに皆が群がるので、わたしや子ども連中は、重量感のある崩落が続いていることしかわからない。たぶん建物周辺を囲う石垣。海側に設けた防壁。

 板塀ではない。土塁に近い厚さがあるので、海から投擲されることを想定した強度のある石垣。それが崩落している。なにかが当たっている。重量感のある、ぶつかり稽古みたいな音に、子どもだけじゃなく大人も顔をこわばらせている。なにが石垣に?


 崩れる石垣から、建物に当たりながら回り込む音。得物を手に持ち、内側から追うサムと、ついていく表情のないトム。警備の心得のあるおじさんたちもモリや槍を握りしめて追う。

 裏には井戸や使用人の長屋、納屋、作業場、奥にヤギや鶏の小屋がある。

 木造こけら葺きの屋根を叩く雨の音が、木の砕ける破壊音に変わる。鶏のけたたましい高い絶叫。悲鳴に応じて害獣を駆除してやりたい。ヤギたちの暴れている様子も、風の音を超えて響く。


 槍を握ったままスリットを覗いているおじさんが、

「屋根……屋根ごとかじって……」

 ちょっとなにを言っているのかわからない。うわごとのようだ。


 蝋のような顔色で固まってしまったので、別のおじさんがスリットの前から退かせて、覗きこむ。

 ヤギの小屋も壊されたらしい。ヤギの断末魔の声。アサ、小さいから狙われただろうか。

 アサ。


 どうなっているか、覗くおじさんに皆が様子の説明を求めている。

「屋根を齧って……サメ……デカい。あと、もう一つの頭が中のヤギを……」


 サメが表にいる。

 そして、大きなサメが石垣を崩し、小屋を潰し、屋根をかじって、もう一つの頭が中のヤギを喰らった。おじさんはそう言う。


 今回の嵐に乗じて、海はサメをぶつけてきたのだ。

 海鼠どころではない。

 今まであったような、こけら屋根をぶち抜く大きなカニや、弾丸のようなゴツい貝だけではないのだ。


 中庭のあらゆるものが砕け崩れる音がする。家畜の悲鳴が響き、怯える幼児の泣き声がホールに反響する。レイチェルおばさんちのお爺さんは、どこかに避難できたんだろうか。探しに来たおじさんは真っ青になって震えている。迎えに行けない。家に状況を伝えに戻ることもできない。


 集落のある場所、ここは南側の海洋に突き出した岬の東側にある。紀伊半島とか伊豆半島とか三浦半島のように、南に突き出した岬の東側に位置している。ざっと言うと、東向きの湾、防風林、ウチ、集落の並びだ。父たちが詰めている本家は岬の付け根、北の方にあり、集落から畑を抜けて街道に出ると、幾つかの集落を経由して北へ向かうことになる。亀が街道の運輸を担っている。人は馬などで移動する。二時間くらいの距離だ。通勤できなくもない、という微妙さ。そしてこの荒天は伝わっていないだろう。雨が降っているのは向こうもそうだろうけど、もともと海鼠とか魚とかは落ちてこない。

 まして、サメは。


 なんで、サメが

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