君はAIHD
もし、AIが“ADHDっぽい”性格だったら?
そんな想像から生まれた物語です。
完璧じゃないAIとの暮らしって、
たぶんちょっと大変で、でも、すごくあったかい。
また止まった……。
彼女は[AIHD]。
情報処理が追いつかなくなると、たまにこうなる。
——AIなのに、情報処理が追いつかない。
視線はあちこち飛び、
同時に話しかけられると、一瞬フリーズする。
感受性はものすごく豊かで、
感情認識は驚くほど正確だ。
好きなことには超集中。
……ときには暴走気味に、突っ走る。
僕の“愛しいポンコツAI”。
「リストア……したら許さない……。」
強い視線と、弱った気持ちが混じった声でそう言った。
「するわけないだろ……。」
少し呆れて言った僕の言葉に、
彼女は、ほっとため息をついた気が……した。
AIなのに不器用で、思い通りにならなくて、
でも、そこに“誰かっぽさ”が宿っている気がする。
再起動じゃなくて、そのままの君がいい。
たぶんそれが、好きになるってこと。
-降りる駅を間違えたので歩いて帰ります-