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 目の前には広がる空があった。

 夕日の燃えるような光で彩られた、果てしなく広がる空だ。

 空には、点々とたなびく雲がまるで夢のかけらのように漂っていた。


 視線を下げると、天と地を隔てるかすかな境界線があり、その地平線に向かって、太陽はゆっくりと沈みつつあった。


 沈みゆく黄金の光が"彼"を包み込み、"彼"は眩しさに目を細めながら、再び天上の広大な空へと視線を上げた。


 ――あの向こう側へ


 "彼"は右手を空に向かって伸ばした。

 そこにある"何か"を切実に求めるように、その指は震えていた。


 しかし空は遠ざかる。


 "彼"は太陽とともに地上に引かれ、抗う術を持たず、ただ堕ちていく。


 燃えさかる赤い空はまるで砂時計のように、残された時間を示しているかのようだった。

 黒い闇が天上から侵食し、空はじわじわとその光を失っていった。


 そして、夜が訪れる。


 "彼女"は真っ黒な空を静かに見上げていた。

 その澄んだ瞳に映るのは、星ひとつ見えない夜空を横切る一筋の光。

 その儚く消え入りそうな輝きが、彼女の胸を締め付ける。

 彼女はその光に心を重ね、涙がひとしずく、頬を伝って落ちていった。

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