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セールスの話

作者: アキラ

 ついこの間のことだ。


 週末、ダラダラと眠っていると訪問を告げるチャイム音。


 寝ぼけ眼でノロノロと扉を開ければ、営業マンである。


 よく宣伝でも見る健康飲料の勧誘だ。


 はいはい言いながら色々と説明を聞くのだが、初めから受ける気のない私にベテランに見える彼の言葉は全く頭に入ってこない。


 お試し3ヶ月、契約後2週間は無料など、取っ掛かりをつくるための文言が続く。


 さて、ようやく話がひと段落。興味が微塵もないことを告げて帰ってもらった。


 玄関の扉を閉めたところで、ようやく頭が回り始める。


 結局のところ、彼は一度も契約したら月幾ら掛かるのかを自ら告げることはなかったのである。


 グレーゾーンの商売話術だと、商売経験皆無の私の脳内は上機嫌にマウントを取る。


 実際の金額を聞けば、客候補の意欲が萎むのは想像に難くない。もちろん、聞けば教えてくれただろうが、なるべくなら初回無料でゴリ押ししてまずは体験してもらいたいのがやっこさんの思惑だろう。もしくは、値段を聞いたところで脈アリと判断するのかもしれない。日本人の気質的には無料体験してからでは、断りにくいというのもあるかもしれない。


 さて、幾ら掛かるのかは分からずじまいだが、ふと思ったことがある。


 その健康飲料と、保険を抱き合わせで販売できないのかと。


 保険というのは、保険料を払って何かあったときに、どんと金を用意してもらう制度なわけだが。健康診断で、キャッシュバックという宣伝に見るやり口を思えば、保険料払えば、健康飲料がついてくるのは強ち間違っちゃいない商法ではないだろうか?


 株についてくる配当みたいなモノである。いや、違うかもしれん。


 自分の知識の無さが悔やまれる。そもそもこのアイデアがカタチになるとしても、私は保険屋でも飲料屋でもない。起業するのだって、顧客確保のツテもない。新興企業の保険なんぞ誰が買うというのだろう。


 益体の無いことを考えながら、結局、私はさらなる微睡に沈んでいった。

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