第3話 老犬達のつかの間の休息
…まだ貴方は病人なんです。…そのため、貴方に煙草を与える事は出来ませんよ?ロベルト様…
(彼は奇跡的に一命を取り留めた。その生命力に、私は感謝しかありません。この方が亡くなっていたら、きっと妻は壊れていたと思います。この人はアイリスの兄でありながら、もう一つの彼女の家族なのですから…。あの時の妻の泣きじゃくる、幼き子供に戻った様なその姿を見た時に、妻、アイリスにとってこの方は掛け替えのない方なのだと痛感させられました)
…ふっ…あいつの雷はシャレにならないからな…。わりぃな……肩貸してくれねぇか?…
(私が彼の前で屈むと、彼はゆっくりと傍にあるベンチに移り座りました。そして彼は私に、隣に座るように無言のまま手で促して来ました。そして私は彼の隣にゆっくりと腰掛けて、公園に咲き誇る花々と池に反射する光を見つめていました)
…あいつは昔から俺やレイクを陰から支えてくれていたんだよ。…あいつがいたからこそ…俺達は必ず帰れていた…。そんな奴なんだよ…。だが、軍上層部は俺達の元からあいつを引き離した…それを引き換えにレイクの野郎は…
(私が昔聞いていた話では、軍上層部の昇進を断った者達の集いが、部隊の通称名ジャッカル部隊だと。彼は年若い部下二人を遠目に見ていた)
…実はな…、…あの二人は軍人でもなければ俺の元々の部下ですらないんだ…。あいつらは、レイクの野郎と死んだ仲間の子供達だよ。当然、軍はレイクと共に死んだ仲間の家族達も根絶やしにする、その前に俺があの二人を引き取った。その頃既に、母親は軍に殺されていた……
(私は彼の隣で驚きながらも、遠くにいる二人の男女を見つめていました。どうりで彼等からは軍人の雰囲気を感じなかった。その理由にようやく納得が出来ました。そして次に彼の口から語られた言葉に、私は驚きもせずに穏やかな笑みを浮かべて、彼の隣で静かに腰掛ける事としました)
…もうジャッカルは必要ない…。……だからあいつらを普通の世界に戻してやってくれねぇか?……
(クリスとリンデンはあの子達を鍛えようとしてはいるようですが、決して戦地に赴かせるような真似をする者達ではない。ならば私がする事は…)
ふふっ…申し訳ございませんが…その願いは引き受けられませんね…。既に適任者が2人もおりますからね。ですから…私は別な方をお救い致します。…それは貴方ですよ…ロベルト様…
(彼は深いため息とともに呆れ顔を空に向けていました)
…私と共に…アイリス…をお支え下さい…。お願いします…




