第2話 儚くも力強い一輪の花
「え…日本に…」
(夕食を家族、私と御父様、お母様、そして私とあの人の愛しい子、シャルルがお口の周りを汚しながら食事を取っていました。そして御父様から告げられた一言に、私はナイフとフォークを持つ手を止めてしまいました。それは、シャルルを御父様の後継者と皆様にお伝えする為に、日本の財政界の皆様の元にも伺うというものだった為です。それを聞いた私は、3年前に御父様から告げられた一言を思い出していました)
「シャルルは私達の息子と世間には報告する。お前と日本人の子と知られては、スキャンダルになってしまうからな…わかったな…」
(シャルルの出産は決して世間には口外できない。その結果、極秘裏に行われた出産になりました。両親に告げたら堕しなさいと言われるのは目に見えていたからです。だから中絶出来ない日まで私は、部屋から一歩も出ずに、身体を安静にしていました…。そんな時に私はいつもの時間に料理を持って来て下さる執事、私と彼の味方の一人でもある男性から、お食事を受け取ろうとした時でした。私は食器を床に落としてしまい、そのまま床に倒れてしまいました。気が付いた時は医師と両親が深刻に会話をしている、自室のベットの上でした。私が倒れた原因は貧血が原因でした。そして医師が私の血液と調べた結果、妊娠している事がバレてしまいました。その時に両親は激怒しました。我が家名に穢れが混じるから堕ろせとお父様は言って来ました。その時に私は心の底から泣きました。両親に知られたら、必ず堕ろせと言われるとわかっていました。そして祝福されない事も…私はそれでもあの人との子を産みたかった。もう会えないあの人との繋がりの子がいれば、私は生き続けられると思い、出産を終えました。そして出産を終えた私は、シャルルにあの人を重ねて大事に育てて来ました。そんな時に父上から告げられた言葉に、私は心を閉ざしてしまいました。あの人の思いを隠そうと決めました)
「わかりました。シャルル…お口、綺麗にしましょうね…」
(ナフキンで私は息子の口の周りを綺麗に拭き取ります。世間では母親になれなくとも家だけでは…私はこの子の母…それが私の唯一の希望でした)