サバイバルイベント 6日目 ⑦
キリがいいのでここまで投稿します!
結局みんなでお肉焼きました。
交代で焼いてくれたので、わたしもお肉を堪能しました。
はふぅ、満腹です。
お肉美味しかったです!
食べている間も、オリオンさんがレンさんと身振り手振りを交えながら会話しています。
ミカゲさんは色々な味をミックスさせては顔を顰めたり輝かせたりしていました。
ミカゲさんをみてると実験にみえてきますね。
ペルセウスさんは黙々と、シリウスも色々な味を試しています。
シリウスは星座だから犬が食べられない物とか、大丈夫なんですね???
割となんでも食べてました。
「ごちそうさまでした」
大満足です!
明日の分の肉巻きおにぎりもたくさん作れました。
お弁当はばっちりです。
2人にお渡しできました。
そろそろログアウトしますかね。
もうすぐ夕方になりますし。
いい時間です。
「そろそろログアウトしますね」
「ミツキ氏お疲れ様でした」
「お疲れ」
ご挨拶してログアウトです!
あとはまた夜に少しだけログインです。
星空も目に焼き付けておきます!
「明日?」
「ええ。親戚の集まりに顔を出さないといけないのよ」
「わかったよ」
「満月も流星も挨拶だけして帰りましょう」
「オッケー」
ご飯を食べていたら、お母さんからそう告げられました。
明日は午前中、親戚の集まりに挨拶することになりました。
帰ったらゲームやることにしましょう。
親戚の人とか顔あまり覚えてないですね………
ご飯とお風呂を済ませて部屋に戻ります。
「んああ今日も曇ってる」
夜になると雲が出てくる悲しさです。
ゲームで星の光を浴びるとしましょう。
よし、ログインです!
すっかり夜の気配に包まれているヒイラギの木陰です。
うっすら月明かりが差し込んでいて神秘的です。
スクショ撮ります。
うん、バッチリです!
よし、では砂浜へと向かいましょう。
島には人工的な明るさが無いので素晴らしいですね!
砂浜には、先客がいました。
「……ミツキか」
バレました。
秒でバレましたね。
「珍しいですね、レンさんが天体観測なんて」
「………戦ってばかりじゃ疲れンだろ」
その通りです。
たまには息抜きも必要ですよね。
レンさんログイン時間長めですけれど。
レンさんから離れたところの砂浜にわたしも座ります。
うん、やはり並びは夏の星座ですね!
天の川と夏の大三角が煌めいています。
「………星」
体育座りして上を向いていたら、レンさんがぽつりと呟きました。
「……好きなンか」
「……はい、大好きです。わたしの生き甲斐なんです」
ごろんと砂浜に仰向けになります。
こうするも視界いっぱいに空が広がって最高です。
「わたしの人生の大半は天体観測で占めています。家族で好きなのもありますけど、小さい頃から星に囲まれて育ってきたので、わたしの人生の一部ですね」
「……そうか」
横目でチラリとレンさんをみると、胡座で頬杖ついて空を見上げています。
「好きな物があンのはいいな」
「………レンさんは、」
「……俺にはそんな大層なモンはねえよ」
「このゲームも暇潰しから始めたしな」
そう言ったレンさんの声音はどこか空虚な感じがしました。
熱量が無い、と言いますか。つまらなそうと言いますか。
………レンさんのことは、わたしは、名前以外何も知らないです。
何かレンさんも悩みがあるのでしょう。
現実では大変な思いをされてるのかもしれませんね。
よし、そういう時には!
「………レンさん」
「…どうした」
「天体観測しましょう」
無心に星空を見つめると、心が落ち着きます。
考える時間も出来ますし、リラックスできます。
わたしだけかもですが!
きょとんとされているレンさんに少しだけ近付きます。
パーソナルスペースとかありますからね。
本当に少しだけです。
「ミツキの天体講座に少しだけお付き合い下さい」
「……おう」
わたしは空を見上げます。
「天の川にそって明るい星が3つ、見えますよね。あれが有名な夏の大三角です。はくちょう座のデネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイルです」
「左上がデネブ、その隣がベガ、下にあるのがアルタイルです」
「………」
レンさんはわたしの指先を、目で追います。
「何度か見たことはあるが、ここまで落ち着いて見たこと無ェな」
「興味なければ気にしないですもんね、星空」
わたしはデネブ、ベガ、アルタイルを喚び出します。
「レンさん、抵抗なかったら少しだけ仰向けになって下さいますか?」
「…おう」
レンさんはごろんと仰向けになります。
「デネブ、翼を開いてくれる?」
デネブは、その場で翼を広げてくれました。
その体をしっかりと持ち上げます。
「レンさん!手を前に!」
「お、おう」
レンさんが空へと伸ばした手の上に、翼を広げたデネブをのせます。
「デネブはこんな感じで空を泳いでいます」
「お、おう」
「ベガはここ、アルタイルはここです」
レンさんに見えやすいように、星座に合わせてベガをレンさんの近くで掲げます。
アルタイルもピンと翼を広げてくれてます。
協力的!
「星座、わかりやすいでしょう?」
「………ハハッ」
デネブを回収してレンさんにそう問いかけると、笑われました。
えっ悲しいです。
「スマン。わかりやすかった」
「む、それは良かったです」
「力をそんな風に使うのが面白かっただけだ」
レンさんが起き上がって小さく笑います。
いや実物がここにいるので、イメージ付きやすいかなと……
「サンキュ。勉強にも、息抜きにもなった」
そして少しだけ、ほんの少しだけ柔らかく笑いました。
良かった、リラックスできたみたいです。
少し離れたところにわたしもごろんと仰向けになります。
現実は曇り空でしたが、ここはいつでも晴れています。
うん、星の光を存分に浴びれますね。
………そういえば前回この3体を喚び出した時の、海の中に沈んでいった女性はなんだったんでしょう。
全然わかりませんね。
予言めいた事を言ってましたけども。
足元注意していたら隠れ家に落ちましたからね。
……わたしのお腹の上でデネブがリラックスしています。
そこそこな重さがありますよ、デネブ。
アルタイルは近場の流木の上で休んでいます。
ベガの竪琴は手に持っています。
砂浜に置くのは忍びないので……
そうして静かな時間を過ごしました。
とてもリラックス出来ました。
「では、レンさん。おやすみなさい」
「……おう」
仰向けになりながら手をひらりとさせるレンさんに背を向けて、木陰に戻ってきました。
ベガとデネブとアルタイルはお礼を伝えて還しました。
ではログアウトしましょう。
今日も色々ありました。
振り返ると今日も濃い1日です。
ゆっくり休むとしましょう。
おやすみなさい。
これからもミツキの物語をよろしくお願いします!