サバイバルイベント 6日目 ④
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戦いの後、数種類の鉱石を何個か拾って、すぐ洞窟を出ました。
赤熱鉱、氷冷鉱、帯電鉱という鉱石です。
赤熱鉱は触るとほんのり温かく、氷冷鉱はひんやりしています。帯電鉱は、触れると軽めの静電気のようなピリッと感がありました。
きっと何かに使う機会があるでしょう。
それまではアイテムボックスの肥やしです。
なんとなく、なんとなくですが。
この洞窟の岩山からヒイラギの木陰の方角、つまり北北東のこの辺り一体は恐らく眷属さんの言っていた、ソル様の聖域とやらなのでしょう。
そして北西方向ですが………
います。モンスターいますね。
というか、岩が転がる荒野が広がっています。
見覚えのないモンスターがいるのが見えますね……
白い豚のようなモンスターとか、ワニのようなモンスターとか、遠目に見えます。
…………行きましょうか。
まだ見ぬ食材………んんっ素材を求めて。
Lvが高くて無理そうだったら速攻で逃げましょう。
………その前にお昼ですね。
ヒイラギの木陰に戻ってお昼を食べてログアウトしましょう。
そこまで遠くないですしね。
3匹とヒイラギの木陰へ戻ってきました。
「………お肉?果物?」
暗にどちらを食べるか、提案してみたら、果物のイメージが伝わってきました。
おお、果物なんですね。
わたしはアイテムボックスから桃を取り出します。
………メロンくらいの大きさがあります。
太陽島の桃です。
太陽の恵みたっぷりと受けて育ってる……のは林檎と同じような説明文ですね。
うん、良い香りです。
わたしは桃を切り分けて、3匹の口元へ順番に持っていきました。
わ、黄桃です。美味しそうです……
ルプスは上品に、カラはガツガツと、アステリオンは黙々と食べています。
個性がわかりやすいですね。
わたしも一口いただきます。
んむ!!
スッキリとした甘みと、少し硬めな果肉が果汁たっぷりジューシーです。
美味しいです!
1切れ食べるだけでわりと満腹度は稼げました。
大きいのでお腹にたまりますね……
存分に3匹を撫で回して、送還します。
わたしもお昼を食べるためにログアウトしましょう。
よし、ログインしました。
お昼はサッと食パン焼いてレタスとハムマヨを乗せて食べました。
よし、今度はどなたを喚び出しましょうかね……
喚び出したことのない星座を喚び出したいと思います。
……岩山の向こう側に近付いてきたら喚び出しましょう。
砂浜を歩きながら悩むとしましょう!
悩む………悩みますよ……
せっかくなら喚び出したことのない星座とは言いましたが。
戦闘向けじゃない星座も多いですからね。
ふむむ……
モンスターが多いフィールドですからね。
戦闘が得意そうな星座を喚びましょうか。
個人的にはオリオン座とヘルクレス座の能力が気になるんですよね。
神話的にもすごい能力の持ち主ですし。
…………さすがにオリオン座とヘルクレス座を同時に喚び出すのは過剰戦力な気がしますし、今回はオリオン座を喚び出す方向で考えましょう。
神話通りであれば、力ある獣狩りの狩人ですからね。
女好きらしいですけど………
どんな方なのでしょう。
1等星も2つ保有されてますし。
歩いていたら、砂浜までせり出した岩山に近付いてきました。
この岩山の横を通り過ぎれば、荒野です。
よし、喚び出してみましょう!
「〈オリオン座〉」
オリオン座で一番明るいのはリゲルです。
と言っても脈動変光星のベテルギウスが極大時には、ベテルギウスがリゲルより明るくなりますけどね。
なんと太陽の700倍以上の大きさになるとか。
ベテルギウスは赤色超巨星、リゲルは青色超巨星です。
魔法陣から、すごい大きなシルエットが出現します。
「……お前さんが今回の担い手か?」
「えっ」
「えっ違うのか?」
ち、ちが!いえそうではなくて!
「お話できるんですか!?」
「ん?……あぁ、なるほどな」
首が痛くなるくらい見上げるほどの、偉丈夫です。
片手に大きな棍棒を持っています。
あ、よくみたら赤と青のオッドアイですね。
ベテルギウスとリゲルでしょうか!
………見た感じは20〜30代くらい、でしょうか?筋骨隆々でわかりづらいですが。
この方が、オリオンさんなのですね!
し、神話上の方を見るのはドキドキします。
ペルセウスさんのときも思いましたけどね!
「力の出力の話は聞いたか?」
「はい、聞きました」
「なら話は早い。常に力の出力が大きいからな、俺は。だから話せるんだろう」
「なるほど……」
1等星を2つ保有するオリオンさんは、最初から完全体に近いんでしょうかね?
「改めまして、ミツキです。よろしくお願いします」
「俺はオリオンだ。獣退治なら任せな、だが……」
そう言ったオリオンさんは、表情を曇らせます。
「………満月の下では弱体化するからよろしくな」
「……えっ」
「月関係のものには弱いんだよな、俺…………。月の満ち欠けで力の出力が変動する」
そ、そうなのですか………!!
それは、月の女神様の関係でしょうか………??
「……じゃあ行くか?俺を喚んだってことはモンスター倒すんだろ?」
「はい、お願いします!」
あちらのモンスターのレベルによっては、わたしも頑張りますので!
「フンッ」
「ギャッ」
「そらっ」
「ブヒィッ!?」
「……………………」
すごいです。
……なにがすごいかですか?
…………パワーです。圧倒的パワーです。
オリオンさんのワンスイング殴打で敵が転がっていきます。
この間、わずか数秒です。
モンスターたちが死屍累々です………ちょっと同情します。
塩豚 Lv.32
アクティブ 瀕死
【捕食】【突進】【打撃】
それに塩豚って……!
白い豚のどこに塩味が!!
キラーアリゲーター Lv.35
アクティブ 瀕死
【捕食】【噛み付き】【威嚇】
このワニも、オリオンさんのワンスイング殴打で瀕死です。
わたしはそれらのトドメをさしていきます。
トドメで魔法何発か放っているだけですね………
-塩豚、キラーアリゲーターを倒しました-
塩豚ロース、塩豚バラ肉を手に入れました。
キラーアリゲーターの皮を手に入れました。
お肉も手に入れました。
……塩味、ついてるんですかね?
「この辺りのモンスターは弱いな」
「そうですね……オリオンさんには物足りない感じでしたね」
オリオンさん、強敵向けですね。
学びました………
「もっと強いモンスターがいる所で喚んだ方が良かったですね……」
ちょっと申し訳ないです。
オリオンさんの強さを活かせませんでした。
「………」
オリオンさんはきょとんとした顔をしたあと、破顔しました。
「いいんだよ。喚ばれるのが嬉しいのさ俺達は」
「喚ばれるのが、嬉しい……」
「空に在る俺達が、今を生きる人間の助けになれるってのは、俺達にとって最高の喜びだぜ」
オリオンさんは、屈んで頭を撫でたり、背中を軽く叩いてくれます。
「話し相手でもいい。戦闘の供でもいい。俺達は、いつでもお前と共にある」
「共に……」
すとんと、何かが心に落ちた気がします。
【星魔法】や【天体魔法】が強くて、わたし自身はそこまで強くありません。
でも、そんなわたしに喚ばれるのを待っているのであれば、これからたくさんお喚びしたくなります!
「……はい!しょうがないことでも喚んでしまうかもですよ?」
「いいんだよ、戦いばかりじゃつまらんからな。たまには宴もイイもんだぜ?」
「宴!よいですね!」
あっでも召喚最大数は6でした。
………喚び出す毎にすればいいですね!解決!
「ではオリオンさん、お肉のためにもう一働きしてくださいますか?」
「任せろ。俺も食いてえ」
ニヤリと笑うオリオンさんに、わたしも同じように笑います。
では、お肉狩りですよ!!
強すぎる力は戦闘を簡単にしてしまいますからね……その辺りのさじ加減、難しいですね。
これからもこの作品をよろしくお願いします!




