サバイバルイベント 5日目 ③
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「少しだけでもいいので、【星魔法】について聞いてもいいですか?」
シリウス、レグルス、ペルセウスさんをちらりと伺います。
お互いに目を合わせながら、考え込む素振りをみせます。
(………恐らくあの老魔女が教えるんじゃないのか)
(………そうだな)
(スマンなミツキ。多分それ教えるのはあの老魔女の仕事だ)
「……そうでしたか……いえ、ありがとうございます」
そうでした。
教わるならお師匠様からですよね。
少しだけ逸ってしまいました。
お話し出来るのが嬉しくて……
(………少しだけ教えるか)
「!……よろしいのですか?」
(まだ催し物終わらないだろ?ならまぁ俺とかその辺のわかるところについて教えてやるよ。詳しくは魔女に聞いてくれよな)
!ありがとうございますシリウス!
(まず力が戻ってきた〜って言ってた理由なんだが。俺やレグルスと言った、星座に1等星を保有する奴らは、総じて魔力の出力がデカいんだ)
魔力の出力?
(要は大きな力が出せるってことだ。今の俺は使えないが、大技もある。保有する輝きが大きいほど、俺達は大きな力を出せるんだ)
なるほど……1等星………
1等星は全天で21あります。
それを保有する星座は、大きな力が出せるのですね。
(まぁ例外もある。ペルセウスみたいに神話などの知名度がある場合だな)
(俺には化物殺しの神話がある。それはそのまま俺の力になる)
神話の英雄の知名度は大きいですからね。
ペルセウスさんの名前は知っていても、星座にいるのは知らない!という方もいるかも知れませんね。
(俺が保有する恒星は最も明るくて2等星だ。だが神話のおかげで十全な力を発揮できる。………コイツもいるしな)
ペルセウスさんは左腕をあげます。
そこには蛇が巻きついています。
(コイツはアルゴル。視たものに【石化】を付与する性質を持つ)
アルゴル!名前の由来はあの有名な食変光星ですね!
ペルセウスさんが持つメドゥーサの首の目の部分にあたる星です!
共通重心の周りを回る2つの星が互いの光を覆い隠し合うことによって、見かけの明るさが変わる変光星なのです。
(2等星の時の付与成功率は90%程だが3等星程の明るさまで変化していると付与成功率は40%程になるから期待するなよ)
「は、はい!」
まさか明るさで付与成功率が変わるとは………ゲームになると新しい発見があって面白いですね。
【石化】が付与出来なかった時には、アルゴル今3等星くらいか!と思うことにしましょう。
(俺達に強い弱いはない。それぞれ出来ることが異なるだけだ)
(個性の塊だからな、我らは)
(1等星が無いから弱いって訳じゃないんだ。そのあたり覚えててくれよ)
「はい!」
(サダルスウドなんてどこでも無限に湧き出る水瓶出せるんだぞ。水場のない場所ですげえ重宝される。生きていくのに水は必ず必要だからな)
(砂漠とか洞窟とかで大活躍であるな)
(おう。まぁとにかく、俺たちは1等星に恥じない輝きを見せるから楽しみにしててくれ)
「はい。とても楽しみにしていますね」
勉強になりました!
まだまだわからないことばかりです。
イベント終わったらお師匠様へ突撃です!
では、今日はこの拠点周りの探索、素材集め、ポーション作りです!
島の食材とかあればなお良しです!
「ではシリウス、レグルス、ペルセウスさん。一緒に探索しましょう!」
(おう!)
(共に行こう)
(ああ)
では行ってきます!
あ、ディアデムを喚び出しましょう!
何があるかわかりませんからね!
ヒイラギの木陰を出ます。
辿り着いたのは夜でしたし、昼間の景色もまた違っていいですね!
山の向こう側とあまり変わらない感じがします。
海と砂浜、森、山。
…………そして洞窟、ですね。
砂浜に飛び出た、山と一体化してる岩山に、入り口があります。
………………………ある程度このあたりを散策したら、覗いてみましょう。
まだイベント期間あと3日間ほどありますからね。
素材を求めて森の中を山の方へ進みます。
それでも山まで目測2kmくらいはありそうですね!
魔力草や魔力キノコはどこにでも生えてます。
それを採取しながら森の中を進むと、
柵に囲まれた果樹園がありました。
…………手入れされてる果樹園です。
たしかに食材が欲しい、林檎も欲しいと言いました。
こんなにすぐ出会えるとは。
ソル様、こちらに移動させて頂いてありがとうございます。
でも、雑草もないですし葉っぱも綺麗に片付けられてます。
どなたが果樹園の手入れをされてるのでしょうか?
『………こちら側に人がいるとは珍しいですね』
「あ、こ、こんにちは?」
『こんにちは、人の子。果樹園に何か用ですか』
柵の手前から果樹園を眺めていると、月桂冠を被った少女が近付いてきました。
「随分と立派な果樹園だなと、眺めていました。貴方様が手入れされているのですか?」
『はい。私の仕事ですので』
「………大変お願いしづらいのですが、何個かお譲り頂くことは可能ですか?お手伝いとか、何か必要なものがあればご用意出来るように努めますので……」
『…………ふむ』
少女は顎に手を当てて考え込みます。
『………良いでしょう。収穫を手伝って頂けますか』
「っはい!こき使って頂いて!」
『では、どうぞこちらへ』
柵を開けて、招き入れていただきました。
バリバリ働きますよ!
『……ソル様の気配がする人の子。名は何と言うのですか』
「ミツキと申します。……気配と言うのはこのブレスレットでしょうか?」
『ミツキですか、良い名です。私はソル様の眷属で、この果樹園の管理をしているものです。………その装飾品からソル様のお力を感じます。ソル様とお会いになられたのですね』
「はい、隠れ家へとお邪魔しまして………」
ソル様と出会った経緯を簡単に説明しました。
『とても運が良かったですね。最高級の供物でないと、ソル様は人とお会いにならないのです』
「そうなのですね………」
『それを入手できたミツキは、とても運が良いです』
大きなオレンジを収穫しながら、眷属さんとお話しします。
少女の姿をしている眷属さんが抱えると、本当に大きいです。
『これらはソル様への供物とするために育てています。極たまにハーセプティアの各地の、ソル様を祀る神殿にも送っています』
「各地にソル様を祀る神殿があるのですね」
『ソル様は世界を照らす太陽ですからね。祀らねば、太陽がその土地を照らすことは無くなります。この島も、ハーセプティアの住人にとってはお伽噺に出てくる島という認識でしょう』
「お、お伽噺……今度図書館で調べますね」
『ふふ、ミツキは勉強熱心ですね。貴方のようにまず自分で調べようとするのを、私は好ましく思います』
小さく笑う眷属さんは、失礼かもしれませんがとても可愛らしいです。
それにしても林檎にオレンジ、桃、レモン、さくらんぼ………色々あります。
サクランボなんてひと粒が林檎サイズなんですが!
「…………ソル様への供物は果物なのですか?」
『ソル様は基本菜食ですが、果物を好まれます』
いや本当に金林檎を手に入れられて良かったですね!!
あの時の林檎の木様、ありがとうございました!!
せっせと収穫を手伝って、白いガゼボに運びます。
白いガゼボはソル様の趣味でしょうか。
おしゃれですけどね。
庭園のガゼボとかすごく好きです。
『手伝い、ありがとうございました』
「いえ、とても楽しかったです」
『礼に、何個か果物をお分けしますが、………少し、見て頂きたいものがあるんです。ついてきて頂けますか』
「?はい」
わたしで良ければ全然働きますよ!
眷属さんの後をついていきます。
果樹園を通り抜けると、木々に囲まれた日の当たる場所にたどり着きました。
真ん中には、一本の木が植えられていました。
葉が生い茂っていて、とても元気に育ってそうです。
「この木に何かあるのですか?」
『………実をつけないのです』
「実をつけない……」
『……この木は、特別な木なのです。ソル様が最も好まれる、この島に1本しかない特別な木』
眷属さんは、悲しそうに幹に触れます。
『もうこの時期には実をつけて良い時期なのです。………育たないのがもしかしたら私の所為かもと考えると、ソル様にもお伺い出来なくて』
「なにかいつもと異なることが起きたとかは無いですか?」
『いつも通りに水をやり草を取り除いて陽光に当てているのですが……全然わからないのです』
眷属さんはほろほろと涙を流します。
実をつけない木……葉が生い茂っていてとても元気そうに見えますが………
ソル・プラム
太陽島に1本しか育たない果樹。
この木から取れる果実は『太陽のプラム』と呼ばれ、幻の果実と呼ばれている。
特殊状態:■■
プラム!
プラムの木でしたか!
でも肝心な所が読めません。
特殊状態、とは?
「………何か特殊な状態になっているみたいですね」
『特殊な状態、ですか?』
「肝心な所が読めなくてですね……」
どうしましょう。
わたしでどうにかなるならお力添えしたい所ですが。
…………お師匠様の所で野菜や花の手入れをしていたあの方なら、なにかわかるでしょうか。
豊穣を司るお方ですし!穀物ではありませんが!
お喚びして伺いましょう!
寄り道楽しいです( ˘ω˘)
これからもこの作品をよろしくお願いします!




