サバイバルイベント 4日目 ⑦
ご評価ありがとうございます!
『……汝、太陽との 邂逅を 望むのなら 祭壇に 供物を 捧げよ』
「…………え?」
わたしの反応を訝しく思ったのか、レンさんがこちらに近寄って来ました。
「どうした」
「いえ、あの、祭壇に近付いたらウィンドウが」
レンさんはウィンドウを眺めると、眉間にシワを寄せます。
「俺は持ってねえぞ供物」
「うーん供物……」
「どうかしましたー?」
2人で考え込んでいると、ミカゲさんがこちらに駆けてきました。
そしてウィンドウを眺めると、わたしの方へと顔を向けます。
「ミツキ氏はイベントホイホイなんです???」
「そ、そんなことないはずです」
「………供物を捧げると太陽とやらと邂逅できる……重大なイベントですなぁ……」
供物……………あっ
「………あ、あの」
「…………イベントを無視して先に進むか供物を探すか、か」
「でもそれらしいものはダンジョン内でみかけてませんよねぇ。あの新しい扉の先はどうなってるかわかりませんし、この祭壇に戻ってこれるかも怪しいですなー」
「お、お二人とも!」
わたしはアイテムボックスから、とある林檎を取り出しました。
「……【鑑定】、していただけますか……」
「「…………………」」
お二人は、わたしが取り出した〈太陽島の金林檎〉をみて目を丸くします。
そしてジッと見つめた後、大きくため息をつきました。
「………ミツキ氏」
「うっ…はい」
「やっぱりミツキ氏ホイホイじゃないですかー!」
「説明」
「はいっ」
わたしは林檎を手に入れた経緯を簡単に説明しました。
「………あの林檎もその仲間か」
「あの林檎ですか……美味しかったですわ……」
「はい、太陽島の林檎だそうです」
「供物として最高級とまで書かれてンなら、コレ専用のイベアイテムか」
「ぽいですよねー」
そうですよね。
わたしもそう思います………
アルタールに使えるかもと思いましたが、別の祭壇での用途があるなら供えていいと思います。
「………何が起こるかわかりませんが、わたしは供えてみたいと思います。た、仮令瞬殺されてもイベントの思い出として楽しめる気がします!」
「まぁこんなレアイベント、今後遭遇できるかわかりませんし。ボクもどんなのか気になりますわ」
「………レンさん」
「……好きにしろ。お前に任せる」
ミカゲさんはわたしと同じような反応をしてくれたので、レンさんをジッと見つめると、目を逸らされながらそう言われました。
すみません……でも気になるのです……!
わたしは金林檎を持ちながら祭壇に近付きます。
すると、ウィンドウが出ます。
‐太陽島の金林檎 を 供物 として 捧げますか‐
はい
いいえ
やはり供物として供えられそうです。
わたしははいを押しました。
すると、手の中の重みが消えて、祭壇の上に飾られました。
………どこからか出現したのか、まるで宝石のようにクッションに置かれています。
『太陽が戻るまで 01:48』
「えっ」
太陽が、戻るまで………??
わたしは後ろを振り返り、表示された文章を2人にお伝えします。
するとレンさんは頭に手を当て、ミカゲさんは肩を落としました。
「それはアレか、日が沈むまでの時間か」
「えっと、時間と合わせるとそうかと思われます」
「……構えて損した気がします」
とりあえず太陽と邂逅?するために、太陽が戻るまで時間を潰すことにします。
わたしは早めのログアウトをさせてもらって、お風呂と夕飯を済ませましょう。
日が沈むの、19時のようなので!
「では少しログアウトしてきますね」
「ゆっくりどぞー」
「おう」
ではログアウトです。
お風呂を済ませてご飯を食べます。
今日は麻婆豆腐ですね!
食べ終わると、兄が近寄って来ました。
「満月、ゲームどんな感じ?」
「どんな感じ……戦闘したり天体観測したり?」
「へぇ……満月でもちゃんと戦えてんのな」
「まぁ魔法使いだし……ってどういう意味」
「星見ること以外インドアなお前が戦えてんだなーって」
「戦わないとレベル上がらないから、頑張ってるよ」
「……ふうん?」
なんか含みを持った笑顔を浮かべています。
な、何なんですかね。
「……尚更興味出たわ。やっぱ買うか」
「そ、そう?」
「俺もゲーム好きだしな」
「じゃあヘッドセットのカタログあげるよ」
雑誌ラックの中から買うときに参考にしたカタログを取り出して兄に渡します。
「お、ありがとよ」
「じゃあわたし、人を待たせてるからゲーム戻るね」
「おう」
急ぎ目でリビングから部屋に戻ります。
1人リビングに残った男は、雑誌を読みながら先程の妹の会話を思い出していた。
「………人を待たせてる………?ゲームだし………男か、友人と、か?」
この男、実はシスコンである。
ログインしました!!
日が沈むまでまだ50分くらいあるので、食事の準備をしましょう。
腹ごしらえして、イベントに臨みます。
ミカゲさんもログアウトしているようで、祭壇にはレンさんだけが残っていました。
壁際に背を預けて、瞑想しているようです。
「レンさん、お腹空いてませんか?」
小さめの声で話しかけます。
わたし達しかいないので、小さめの声でも届きます。
わたしが食事の準備をしているのに気付いたのかこちらへ歩いてきました。
「腹は空いてる。貰っていいンか」
胡座をかいて少し離れたところに座りました。
そしてレンさんからまたアイテムが届きます。
「わ、こんなに良いんです?」
「俺が持ってても食えねえから」
「わかりました!レンさんも今のうちにログアウトしてくださいね」
「おう」
レンさんを見送ります。
よし、では焼きましょう!
お肉が焼けるにおいが広がります。
うん、これだけでご飯食べれます。
ご飯は松明を利用して直火で炊きました。
お皿に焼いた肉を積み重ね、野菜も洗ってサラダを作ります。
ハーブとタレで味は大分変わりますからね。
それを大きめのお皿に盛り付けて、肉野菜ご飯のプレートが出来ました!
それを人数分作ります。
予備でたくさんお皿とか買っておいて良かったです。
「わ、美味しそうです」
「ミカゲさん、おかえりなさい」
「それ、ボクも頂いていいんです?」
「もちろん!」
「ありがとうございます!」
レンさんも戻られたので、三人でちゃんと腹ごしらえしました!
これで夜もがんばれます。
食休みしながらアイテムボックスの中身を確認したりして時間を潰していると、そろそろ時間が近付いてきました。
祭壇の目の前で、念の為武器を構えてその時を待ちます。
時間になると、供物として供えた金林檎が消え、大きな音と揺れが起こり祭壇の後ろに登り階段が現れました。
なるほど、登れということですね??
「では、行ってみましょうか」
「あぁ」
「はいですわ」
わたし達は階段へと足を踏み入れました。
階段は長く、薄暗いです。
しばらく登ると、明るくなってきました。
出口です。
出口を抜けると、そこには……
花畑が広がっていました。
「……花畑………綺麗です」
色とりどりの花が咲き乱れています。
そしてその花畑の真ん中に、ガゼボがありました。
『………歓迎しよう。太陽の隠れ家へようこそ。こちらへ来るといい』
どこからか声が響くと、暖かな風がながれてきました。
それはガゼボの方向から流れてきます。
レンさん、ミカゲさんと顔を見合わせて、ガゼボの方向へと足を進めました。
も、もうすこしで4日目は終わります( ˘ω˘)
これからもこの作品をよろしくお願いします!




