サバイバルイベント 4日目 ⑥
皆様ご覧頂きありがとうございます!
レンさんを先頭に左の通路を進みます。
石造りで薄暗いのには変わりありませんね。
「お二人とも暗いところは大丈夫なんですよね?」
「あぁ」
「ボクこれでも暗殺者ですからね。バッチリ視えますよ」
周りを警戒しつつ、私の方から何個か質問させてもらいました。
ミカゲさんは王都ミゼリアを拠点とされてるそうです。
王都ミゼリア………王都には各国からの商人や、クリスティア中から人が集まるためいつも賑わっているのだとか。
素材アイテム色々手に入りやすいがその分物価は少し高いそうです。
サブジョブはギルドで講習を受ければ、見習いが外れるそうです。
そ、そうだったんですか………
まあ確かにすべてのプレイヤーが師事するとなると大変ですし、時間も足らないでしょう。
そのためギルドで講習を受けて、レベルを上げるのがサブジョブの見習いの外し方らしいです。
生産ガチ勢という方々は、NPCに師事して日々腕を磨いているそうです。
………わたしメインとサブで師匠がいます。
………黙っておきましょう。
王都、どんな都なのでしょう。
イベントが終わったら、向かってみたいですね。
ふいにレンさんが足を止めました。
なんでしょう?モンスターでしょうか?
ふいにしゃがむと、地面に触れます。
何回かペタペタ触ると、立ち上がって勢い良く地面を踏みつけました。
するとすごい勢いでレンさんに向かって壁から矢が飛んでいきました。
「ッ」
それをレンさんはナックルで弾きます。
び、びっくりしました。
「………レン氏、罠の解除の仕方脳筋すぎでは??」
「命に関わるモンじゃねえからこっちのが速いだろ」
「うぬん………」
ミカゲさんがジト目でレンさんを見つめます。
な、なるほど?
わざと罠を起動させたんですね??
………わたしは避けられるかわかりませんね。
罠はレンさんにお任せしましょう……
それからもレンさんは何個か罠を起動させて、全て迎撃して進みました。
………飛んでくる槍も、落ちてくる刃も、全てナックルで破壊してました。
ナックルがすごいのかレンさんの攻撃が高いのか……ちょっと気になるところです。
モンスターと出会わないですが、罠が多い通路のようです。
あ、壁の凹んだところに宝箱があります。
「……怪しすぎでは……?」
「でも【鑑定】はモンスターとは言ってないですなー」
「じゃあ普通に宝箱なんですね……」
そんな堂々と置かれると、すごい怪しいですが!
「ダンジョンってこんなに素直に宝箱置いてあるんですか?わたしダンジョン初めてなので………」
「ボクもダンジョンは初めてなんですわ。レン氏は?」
「………素直な奴はレアリティの低いアイテムが入ってる」
「………なるほど!」
素直じゃない(?)宝箱はレアリティが高いアイテムが入っているかもしれないんですね!
「じゃあとりあえず開けて、みましょうか?」
「何があるかわからんのでボクが開けますぞ?」
「……いえ、ミカゲさんに何かあるとこの先戦力減っちゃいますし。わたし開けます!」
【鑑定】を信じて宝箱に触れます。
……何も起こらないので開けたら、中には、
「………カンテラ?」
どこからみてもカンテラです。
カンテラ
イベントアイテム。
????を灯せ。
「…………何かを灯せって書いてありますね」
「……イベントアイテムか」
「ダンジョン内でカンテラに灯す特別な炎があるんですかね?」
ひとまずアイテムボックスにしまいます。
恐らく使いみちがあるでしょうしね。
それからしばらく、罠を解除しながら通路を進むと、またもや広めの空間に出ました。
足を踏み入れるのと同時に、目の前にウィンドウが表示されます。
『部屋にある4つの宝箱のうち1つに、太陽の宝珠が眠っています。壁画を参考に、1つの宝箱を選んで下さい。異なる宝箱を選ぶと、番人であるモンスターが出現します』
「………宝箱から太陽……」
「え、ここで謎解きですか?」
「……チッ」
「めんどくせえな……て顔してますよレン氏」
部屋を見回すと、部屋の四方に宝箱が置いてあります。
そしてドーム型の天井から壁にかけて、青い空に白い雲、鳥や花々といった自然溢れる絵が描かれています。
ひとまず壁画を4方向から眺めます。
ふむ、あまり見え方に違いはありませんね。
雲の隙間から光が溢れているあの部分の絵はさすがにミステイクを誘うもの、でしょうか。
真下に宝箱ありますけれども。
そんな単純なものでしょうか。
「……4分の1の確率で当たりますからねぇ。ガチャっても良いかもしれないですけど」
「も、もう少しお時間下さい」
「それは最終手段にしましょ。ボクも考えますわ」
よくよくジッと絵を見つめると、所々に月が小さく描かれています。
昼間の月だから目立たないようにうっすら白く描かれているので、殆どの人は見逃しそうです。
あと青空に所々、点々があるような気がします。
………んんん?あれ???
てっきりエフェクト的な感じで青空をキラキラさせているのかと思いましたが。
………間違いありません。
星です。
不規則に点々としているように見えますが、星座の並びをしています。
ただそれが日本では見えない、南半球の空でしか見えない星座の並びをしています!!!
………これ作った人ちょっと意地悪ですね。
その星である点々はある方向に向かうと薄くなって行きます。
所々にうっすら描かれた月も、同じ向きで欠けています。
月は、太陽の光を跳ね返しますからね。
なるほど。
太陽はあちらです。
月だけでも判別可能でしたね。
「ふむ、恐らくこの宝箱で良いと思います」
わたしは1つの宝箱の前に立って、先程考えた内容をお二人に伝えます。
お二人はわたしの話を聞いて、同じように壁画を見上げます。
「……点にしか見えねえな」
「ボクもエフェクトだと思いましたわ」
まぁ星座も見慣れないと、見つけにくいですからね。
お二人には念の為戦えるように備えて貰って、わたしは宝箱を開けます。
すると、宇宙空間にあるような真っ赤な太陽のような宝珠が鎮座していました。
………熱くはないですね。
え、これ触っていいんですか???
触れます?????
熱くないから大丈夫ですか??
心臓をドキドキさせながら手を近付けると、目の前にウィンドウが出ます。
‐太陽の宝珠 を アイテムボックス へ 入れますか?‐
はい
いいえ
おっと触れない感じですね。
なんか壁があります。触れません。
ひとまずはいを選んで、アイテムボックスへしまいます。
………恐らく台座に供えるアイテムでしょう。
それまでアイテムボックスにしまっておきます。
「入手出来ました!」
「おお、良かったですわ」
「……次行くぞ」
「はい!」
何だかんだで時間も経っていました。
反対側もこのペースだと、夜になってしまうかもしれません。
急ぎめで太陽の祭壇へと戻ります。
右側の通路をサクサク進みます。
こちらは罠ではなくモンスターがいました。
ポイズンバット Lv.26
アクティブ
【毒】【音波】【吸血】
パラライズバット Lv.26
アクティブ
【麻痺】【音波】【吸血】
コウモリの群れでした!
天井にぶら下がり、こちらへ飛んで襲いかかってきました。
キーキー耳障りですね!
「【ブースト】!ファイアーボム!」
わたしは天井に向かって魔法を放ちました。
‐ポイズンバット、パラライズバットを倒しました‐
種族レベルが1上がりました。
任意の場所へステータスを割り振って下さい。
SPを2獲得しました。
メインジョブレベルが上がりました。
ポイズンバットの毒袋、牙、パラライズバットの麻痺液を入手しました。
小さくて数が多いですね!
でもレベルは1しか上がりませんでした。
経験値少なめなのでしょうか……
ミツキ Lv.25
ヒューマン
メインジョブ:アストラルウィザード Lv.16/サブ:薬師 Lv.4
ステータス
攻撃 38 +1 (+5)
防御 45 (+25)
魔攻 73 +2 (+10)
魔防 42 +1 (+25)
敏捷 35 (+15)
幸運 35 +1
ついにわたしのレベルが25になりました。
このイベントに参加してから10回以上レベル上がりました。
すごすぎです………
お二人も操作が終わったようなので、サクサク進みます。
右側の奥の部屋にあったのは壁のレバーを操作して地面の仕掛けを動かす部屋でした。
「……油の香りです」
小さく水路みたいになっている地面を動かして油を通して、中央へと油を到達させないといけないようです。
何度かやり直して、やっと油が中央に到達しました。
すると、中央の台座の上の部分が勢い良く燃え上がりました。
なんだか聖火台みたいですね。
『太陽の炎を入手するべし』
こんなウィンドウが出てきました。
なるほど、それ用のカンテラですか。
台座が高いので、レンさんにカンテラを渡します。
そしてレンさんがカンテラを台座に近付けると、カンテラに炎が灯りました。
「……あちらに先に行って良かったですね」
「はい!二度手間じゃなくて良かったです」
「……これでいいか」
レンさんがわたしにカンテラを渡します。
ほんのり暖かな光を感じます。
「ありがとうございます。……恐らくこれと宝珠を供えればいいのかと」
「……戻るか」
「何が起こるか楽しみですな」
「はい!」
お供え物を入手しましたので、祭壇へと戻ります。
供えれば出口が出るんでしょうか。
祭壇の空間には供え物の通路と、入ってきた通路しかありませんでしたからね。
太陽の祭壇に戻ってきました。
それぞれの台座に近付くとウィンドウが表示されます。
『太陽の宝珠』を供えますか?
はい
いいえ
はいを選ぶと、宝珠がアイテムボックスから消えて台座へと飾られます。
………宝珠が空中に浮いてます。
どうなっているんでしょう。
片側の台座も同じように供えると、空中に炎が出現しました。
台座の真上で炎が燃えてます。
どんな仕組みでしょう………
すると次の瞬間、祭壇に飾られた燭台に炎が灯り、大きな音がして壁に扉が出現しました。
「………扉が出ました」
「………なるほど、そういう仕組みなんですな」
祭壇は炎に照らされています。
………祭壇には何も無いのでしょうか?
「ミツキ氏?何かありました?」
「少し祭壇を見ても良いですか?」
「構いませんぞー」
さいだん座の事がありますからね。
何もないなら無いでいいですが。
わたしはゆっくりと祭壇に近付きます。
おお、すごい豪華です。
太陽をモチーフとした豪華な祭壇です。
祭壇まであと1m程の所まで近付くと、急に目の前にウィンドウが出現しました。
「わっ」
少し驚きました。
わたしはウィンドウの文字を目で追います。
『……汝、太陽との 邂逅を 望むのなら 祭壇に 供物を 捧げよ』
「………え?」
供物……( ˘ω˘)
これからもこの作品をよろしくお願いします!