サバイバルイベント 1日目①
ご評価ありがとうございます!
白い光に視界を奪われて目を瞑りました。
そして日差しの暖かさと、潮の香り、頬を撫でる爽やかな風を感じました。
そっと目を開けると、砂浜に立っていました。
「わぁ!」
白い砂浜!
碧い海!
照りつける太陽!
………夏でしたっけ。
思わずスクショを撮りました。
「………おい」
「はわっ……あ、レンさん!す、すみません浮かれて」
「いや、いい。少し移動すんぞ」
そう言って歩き出したレンさんの後についていきます。
ちらほら近くにプレイヤーの姿がみえます。
そして砂浜から森へレンさんは迷いなく進みます。
………何があるかわからないのにすごいですね。
「……この辺りまでくれば誰もいねぇな」
辺りを見回してレンさんは足を止めました。
よし、作戦会議ですね!?!
「俺はモンスターブッ倒してくる」
「はい!わたしはこの辺りとかで何かしら素材を集めます!」
「後、俺は人が多いところが嫌いだ。だから拠点は欲しい」
「はい、わたしも人が多いところは苦手なので、考えてました」
レンさんも拠点のことは考えていたみたいですね。
セーフティエリアで人に囲まれるのはちょっと苦手です。
魔花の花園では人がいなかったので伸び伸びやってましたからね。
なんとなく人に見られたくないなって思います。
「俺はモンスターを倒してそのアイテムを手に入れる」
「はい、わかりました。ポーション類が無くなりそうでしたら言ってくださいね。素材を探しておきますので」
「ン、助かる。昼に1度連絡入れる」
「はい!わかりました、行ってらっしゃいです」
ログアウトの時間もありますからね。
それまでお互いに単独行動としましょう。
………おお、すごい勢いでマップの中でレンさんのマーカーが移動して行きます。
いつもその速さで移動しているのでしょうか。
よし、まずこの辺りの素材を探しましょう。
「〈おおいぬ座〉、一緒に探索してね」
「ガゥ」
「………もしも私以外の人が近付いてきたら教えてね」
よし、探索しましょう!
まず足元周りから確認ですね。
あ、魔力草です。
魔力草は至るところに生えています。
それを進みながら採取します。
たまにシリウスが小さく鳴いて誘導してくれるのですが、そこには魔力キノコであったりヨモギであったり、そういうものを見つけてくれます。
「ありがとうございます、シリウス」
「ワフ」
満足そうに鼻を鳴らします。
頭を撫でて、わたしは森の中を進みます。
途中モンスターとも出会いました。
スライムやウルフ、角ウサギです。
レベルは3〜7程度でした。
今いるあたりのモンスターのレベルはこのくらいみたいですね。
………ぶっちゃけるとお肉とかお野菜が欲しいんですよね。
美味しいご飯はモチベーションアップに効果があります!
ちょいちょいハーブも生えてるので採取します。
こんなに無造作に生えてるの、すごいですよねぇ……
そしてしゃがんで草むらをかき分けていたら、草かげに箱を見つけました。
宝箱
何が入っているかは開けてからのお楽しみ
こ、これが宝箱!!!!!!
案外普通に置いてあるものなんですね。
初めて見ました!!!!
初めての宝箱です。
ちょっとドキドキしますね。
シリウスに見守られながら、宝箱を開けます。
………ポーションとMPポーションが5本ずつ入っていました!
なるほど、宝箱から入手可能なんですね。
ちょっと積極的に宝箱も探しましょう。
開けたら箱は消えてしまいましたしね。
そうして森を進んでいると、ちょっと拓けた陽のあたる場所に林檎の木が見えました!
林檎です!
ちょっと小走りで近付きました。
………普通の林檎だと思ったのですが、なんか、大きいですね???
「り、林檎を頂きますね!」
ちょっと宣言しておきます。
こういうのはちゃんと言っておいた方が良いとわたしは学びました。
「〈わし座〉」
わたしはアルタイルを喚び出します。
「あの林檎、1つだけ取って頂けますか?」
アルタイルはわたしの言葉に飛び上がり、器用に果梗の部分を嘴で挟んで、1つ持ってきてくれました。
それを受け取りましたが………メロンくらいの大きさがありますねこの林檎。
太陽島の林檎
太陽の恵みをたっぷりと受けて育った林檎。
とっても元気。
立派な林檎ですね!!!!!
デザートに良いでしょう。
あと……4個くらい欲しいですね!!!
アルタイルにあと4個だけ持ってきて貰いました。
お礼にサダルスウドの水を撒いておきましょう。
「〈みずがめ座〉」
魔法陣から出てきたサダルスウドは、こちらをみて微笑みます。
ま、眩しいです。
「ちょっとお水を頂きますね」
コップでせっせとお水を撒きました。
心なしか生き生きしているように見えますね!
良かったです。
「林檎、ありがとうございましたぁっ!?」
木に向かって頭を下げたとき、背中にちょっとした痛みと衝撃が響きました。
「な、なに」
慌てて周りを見渡すと、シリウスが肉球で転がったものを止めてくれたようです。
「!?!!?!」
きっっっっ!?!
太陽島の金林檎
太陽の恵みをたっぷりと受けて育った林檎の木に極まれに成る林檎。
供物の中で最高級品。
ぴゃっっっ
とりあえずすぐにアイテムボックスにしまいます。
そして周りを見渡して、誰にも見られていないか気配を探ります。
………誰も、いないですね。
見られたら騒ぎになってしまいます。
すぐに移動しましょう!!!
「ありがとうございました!」
小さい声でお礼をつたえて、駆け出します。
この魔法何が起こるかわからなくて少し怖いですよおおおお!
ひたすら走りました。
よし、ここまでくればいいでしょう。
また素材探しです。
さっきの林檎は後でレンさんに相談しましょう。
魔力草や魔力キノコを採取しながら森の中を進みます。
すると、見覚えのない赤い草を見つけました。
爆発草
草と草を擦り合わせると爆発する。
爆発系アイテムの素材。
物騒!!!!!
すぐにアイテムボックスにしまいました!!!
ちょっと乱暴に採ったら爆発するやもしれん!てことですよね!
ルクレシアではわたしは見たことがない素材ですね。
新しい発見です!面白いですね!
そっと採取します。
他にも青い草もあります。
氷結草
草と草を擦り合わせると氷結する。
氷結系アイテムの素材。
な、なるほど。
爆発よりは危なくなさそうなのでちょっと擦り合わせてみます。
パキッ
擦り合わせたところが凍りました!
なるほど、すごいですね……
何かに使えるかもしれないのでこれもアイテムボックスに入れます。
あ、宝箱です。
……………塩が出てきました。
よく食卓でみかけるふりかけるタイプの塩です。
なるほど調味料枠ですね。
ありがたい!!!!ありがとうございます!!!
塩かければなんでも美味しくなりますね!!!
まぁ何でもは言い過ぎですが、シンプルに味付けできるのでいいですね。
ふむむ、この森広いですね。
とりあえず抜けられるように、マップをみて中央の方へ進んでみましょう。
途中出会うスライムやウルフを魔法で倒しながら森を抜けると、草原が広がっていました。
………その広がる先になんか活火山みたいな山もみえます。
というかこの島、広すぎではないですか!?!
島ってこんなに広いんでしたか。
これ1週間じゃ足らないですよ!!
ぐぬぬ探索頑張りましょう!!
あ、コッコ!!!!
ちょっとお肉いただけますか!!
お肉、頂きました。
この草原にはお肉を落としてくれるコッコや暴れ牛がいました。
レベルも9〜13とちょっと高めです。
ちょっと苦労しました。
あとプレイヤーもそこそこいます。
ある程度倒したら違うところ行きましょう。
こんなにプレイヤーが近くにいる場所で戦ったことないので、ちょっと落ち着きませんね。
いつも1人でしたから。
…………森に戻りましょう。
もう少しアイテム作るための素材を森で探すことにしましょう。
まだイベントは始まったばかりですからね!!
森に戻ってきました。
あ、宝箱です。
シリウスがすごい高い確率で草むらの宝箱を見つけてくれます。
ありがとうございますシリウス!
………レタス1玉が出てきました。
宝箱からレタス………まぁ大事なんですけどね。
他にも森の中を進むと、妖精の雫も宝箱から出てきました。
ハイポーションが作れますね!
そうして森の中を進んでいると、プレイヤーが集まる広い場所がありました。
真ん中に泉があります。
ということは、セーフティエリアでしょうか。
‐セーフティエリア 森林休憩所② に入りました‐
セーフティエリアでしたね。
森林休憩所②………ということはどこかに①もあるはずですね。
………運営さん名前つけるの大変なのですね。
もうすぐお昼ですし、少し休憩しましょう。
端にある倒れた木に腰掛けます。
ちょっとそのまま休んでいると、ピコン!と軽快な音が頭の中で響きました。
レンさんからメッセージです。
今からそちらへ向かう、という内容でしたので、このままここで大人しく待ちましょう。
セーフティエリアでは色々なプレイヤーがいます。
………立派な装備の方々が多いですね。
レベルもわたしよりうんと高いです。
もうお昼なので、ログアウトする人もいればお昼の準備をされている人たちもいますね。
皆さんも素材を集められたのでしょうか。
10分くらい経ちましたでしょうか。
セーフティエリアの入り口からレンさんが入ってきました。
そして立ち止まったかと思うと、何かを確認したあと、こちらを見ました。
「レンさん、お疲れ様です」
「おう」
レンさんはわたしの隣、1人分開けて座ります。
「割とモンスターブッ倒して来たんだけどよ」
「はい」
「そのアイテムとやらはドロップしなかった」
「……落ちにくいアイテムなんですかね」
「そうかもしれねえな」
レンさんは大きくため息をつきます。
この短時間でたくさん倒されたのでしょう。
HPもMPも7割くらいまで減っているみたいですし。
「レンさん、わたし今から食事作りますから今のうちにログアウトされては?」
「……そうする。食えそうな素材渡しとくわ」
レンさんはウィンドウで何か操作すると、
‐プレイヤー名 レン からアイテムが届きました‐
な、なんか届きました。
とりあえず受け取ると、そこにはモンスターのお肉や少しの野菜、油や醤油、胡椒の瓶が入っていました。
「わ、こんなにわたしに預けていいんですか?」
「お前に預けておいた方が安心だわ」
「そ、そうですか。レンさんがお戻りになるまでに作るので、ゆっくりログアウトして来てください」
「ン、サンキュ」
そう言ってレンさんの姿が消えました。
ログアウトされたようですね。
よし、頂いた食材で食べれるもの作りましょう!
というか、見たことないお肉があるんですよね。
こ、この極彩鳥のモモ肉とか、ハニーピグのバラ肉とか。
………色々なモンスターがいるんですねぇ………
とりあえず簡単なものを作ります。
モモ肉があるので、鶏肉の香草焼きを作りましょう。
ハーブは森の中で採取しましたしね。
………いい感じに焼きあがりました!
皮はパリッと、身はジューシーに!なっているはずですね。
バジルのいい香りです。
お皿に乗せて、アイテムボックスにしまいます。
これなら焼き立てを保てますね!
レンさんにはお肉多めに、わたしは少なめです。
………お米欲しいですね。
お米はどうやったら入手できるのでしょうか。
そんな事を考えていたら、レンさんが戻られていました。
「お前もログアウトしてこいよ」
「はい、レンさんが下さったお肉です。先に食べてお待ち頂ければ」
そう言ってレンさんにお皿とお箸を渡します。
「……いや、待つ。先に食っちまうなんて薄情な事しねェわ」
「………ふふ、ありがとうございます」
レンさんはアイテムボックスにしまったようです。
レンさん、すごく荒々しい戦い方しますが、とても心配りできる方なのですね。
急いでログアウトしましょう!
自分史上最速でご飯済ませてきました。
そしてすぐにログインです!
「レンさんお待たせしました!」
「気にすんなよ」
よし、ではお肉食べましょう。
「いただきます!」
「イタダキマス」
んむ!よく焼けてます!バジルの香りが鼻に抜けていいアクセントです。
身も柔らかくて美味しいです。
「美味え」
「良かったです!勝手にハーブ使いましたが、ハーブ大丈夫でしたか?」
「イケる」
良かったです!
お肉を堪能しました。
「恐らくこの島は山の方に向かうにつれてモンスターのレベルが上がる」
「なるほど」
「その分レアリティ高いモンスターもいる。素材もな」
今いる辺りが一番弱いレベルのモンスターがいるあたりなのですね。
………わたしはすぐ死んでしまいそうなので、徐々に進むことにしましょう。
「今の所ダンジョン系は見てねェな」
「わたしも見てないですね」
「俺はまたモンスターブッ倒してくる」
「わかりました!あ、お肉のあまりがありますので、こちらまで戻るの大変でしたら、こちらをお食べください」
極彩鳥の香草焼きのあまりをお皿に分けたものをレンさんに渡します。
するとレンさんは目を丸くして驚いたような顔をしました。
「す、すみません。わたしプレイヤーと一緒にプレイしたこと無くて。わざわざわたしに合わせて頂くのも大変なので、お、お弁当?みたいな感じです。レンさんはご自由にプレイしてくださいね」
「………サンキュ。助かるわ」
レンさんは受け取ったお皿をアイテムボックスにしまいます。
「……俺も人とプレイすることは無い。だからその辺は、互いに気に掛けていくべきだと思う。今はパーティーも組んでるしな」
そして立ち上がってこちらを振り向きました。
「……その辺は頼りにしてんぜ、ミツキ」
「っ!はい、ありがとうございます!レンさんも戦いで頼りにしてます」
良かった!お荷物になってないかとても心配でした!
やる気出ました。
午後は素材探ししつつ、モンスターとの戦いも頑張ろうと思います!
また山の方へと駆けてくレンさんを見送って、わたしはちょっと砂浜の方を目指してみようと思います。
星の砂、砂浜にありますでしょうか!!!
あと海に関連する素材があるといいですね!
イベントはゆったりと進行していきますね。
これからもこの作品をよろしくお願いします!