お師匠様の魔法
全てに返すことはできませんが、ご感想ありがとうございます!とても励みになります、嬉しいです!
お師匠様の家に着きました。
シリウスさんは変わらず寝そべっておられますし、お庭ではスピカさんが野菜や花の手入れをしているようです。
「おかえり」
「おかえりなさいミツキ」
「ただいま戻りました!」
ご挨拶をして家の中へと入ります。
そしてアイテムボックスからお師匠様の分のカーネーションを取り出します。
ちゃんとお師匠様にも買いました。
「お師匠様、ヴァイスさん。戻りました」
「おかえり」
「……おかえり」
「そしてお師匠様、こちらをどうぞ」
両手でカーネーションを差し出すと、お師匠様は目を丸くしました。
「………今日は何の日だったかね」
「わたしが感謝を伝える日でしょうか?ということでどうぞ!たくさんお世話になっております」
「律儀な子だねぇ。……ありがとうね」
お師匠様は花瓶を何処からか取り出して、そのままテーブルに飾りました。
「コイツは花なんてくれやしないのにねぇ」
「…………………」
ヴァイスさんは我関せずとばかりに紅茶を飲みながら本を読んでらっしゃいます。
「お師匠様、ご相談があるのですが今よろしいですか?」
「構わないよ」
「今度、渡り人が参加できる催し物があるのですが………」
簡単にイベントについてお師匠様に説明しました。
アストラルウィザードとして何処まで魔法を人目のあるところで使ってよいのか、気になるところです。
「……その孤島で行われるサバイバルに参加したいのです。フレ……えと友人と共に参加するのですが、【星魔法】や【神秘】は人前では使わないほうがいいでしょうか」
「なるほどねぇ」
お師匠様は顎に手を当てます。
「別に構わないよ」
「えっ」
「名乗らなければどうとでも誤魔化せる。あまり大々的には使ってほしくはないが、それで自分が危険な目に合うんじゃ意味がない」
「なる、ほど……」
「もしも名乗るのであれば信頼の置ける仲間だけにしなさい。細かく聞かれても答えないように」
「はい、わかりました」
「……それにお前さんは人前で何かするの、あまり好きじゃないだろう?」
ぎくり。
何故バレたのでしょう。
わたしは注目を集めるのは好きじゃないです。
1人で黙々と何かやることのほうが得意で大好きです。
「危険な目に合ったら迷わず使いなさいな」
「はい!」
「……そろそろ教えとくか。ギリギリ1つだけなら、使えるか……?」
「?」
ちょっと小声で聞き取れませんでした。
なんでしょう??
「ミツキ、今から少し時間はあるかい」
今から……30分くらいなら大丈夫です。
「30分程度なら大丈夫です」
「ならすぐ行こう。【天体魔法】を見せてやる」
「!!!」
【天体魔法】!!!!!
大量のMPが必要と言われた魔法ですね!!
わたしはまだMPが足りないって言われていましたね。
え、楽しみです!
「ヴァイス、留守番頼んだよ」
「…分かりましたよ」
お師匠様の後に続いて外に出ます。
「なんだ、珍しく出かけるのか婆さん」
「だから婆さんって呼ぶんじゃないよバカ犬が」
「おうおう喧嘩なら買うぜ」
「お前に売る喧嘩なんてないよ」
…………目の前で罵詈雑言が飛び交っています。
こ、これはじゃれ合い……でしょうか??
お師匠様の事ですし、仲は良好そうなのですが。
「そら、行くよミツキ」
「は、はい」
差し出された手にそっと手を乗せます。
お師匠様は懐中時計を開きます。
「ミツキ気を付けてな〜」
「は、はい!!!」
「バカ犬お前は夕飯抜きだよ」
「なんでだよ!!」
という会話を聞きながら、目を閉じます。
そして浮遊感。
すると、空気が変わりました。
目を開けると、そこは荒野でした。
「………お師匠様、ここはどこでしょう」
「魔法を放つなら何も気にしないで済む場所さ」
荒れ果てた大地、植物は生えず、モンスターの影もありません。
石や岩がゴロゴロしています。
「どんな魔法を見せて頂けるのでしょうか」
「まぁ待ちな。そろそろ的が来る」
的が来る………???
すると、大きな羽音と共に大きな影がわたし達へと覆いかぶさりました。
そして、地響きと共に目の前に降り立ちました。
ドラゴン Lv??
アクティブ
【???】【???】【???】
【???】【???】【???】
「グルアアアアアアッ」
それはとても獰猛に、眼をギラつかせて唸りをあげました。
「ひっ」
目があった瞬間、とてつもない恐怖に襲われました。
【鑑定】で何も見えないほどの力の差があります。
一睨みで死んでしまうような錯覚です。
………身体が震えてしまいます。
「そら、よく見ておきな」
お師匠様は怯むことなくわたしの前に立ちます。
そして右手を真上へ伸ばします。
「【流星】」
お師匠様が呟くと、ドラゴンの真上、空中に魔法陣が広がり、そこから勢いよく燃える何かがドラゴンへと飛びました。
「グルアアアアアアッ!?!」
それはドラゴンに当たると燃え尽きたように消えました。
す、すごいです。
1発でドラゴンのHPの3割が無くなりました。
「【流星】は放てば必中する魔法だ。敵に自動で追尾するから、魔法を展開するだけで敵に当たる」
「す、すごいですね……」
「そらもう1回だ」
お師匠様は再びドラゴンへ向かって【流星】を放ちます。
それは外れることなくドラゴンへ直撃し、ドラゴンのHPは5割程度まで無くなりました。
「これは空中に魔法陣を展開しそれから魔法を放つから目立ってしまうがね。【天体魔法】は宇宙より放つ、覚えておきな」
「はい」
ドラゴンはボロボロになった翼を動かし、空中へと浮かびます。
「わざわざ空中で的になるとはご苦労なこった」
お師匠様はニヒルに笑います。
………悪いお顔がお似合いですね。
「【流星群】」
今度は魔法陣から多くの流星がドラゴンへと降り注ぎました。
み、見た限りでは10以上ありました。
それは容赦なくドラゴンのHP消し飛ばしました。
ドラゴンは何もできずお師匠様の魔法で消えてしまいました。
「………すごいですね」
「宇宙の力は偉大だ。だから使い方は間違えてはいけない。……星は、見ているからね」
「……はい。肝に銘じます」
このような魔法を目の前で見せられれば、危険性もわかります。
確実に注目を集めますし、ルクレシアではオーバーキルにも程がありますね。
「さて、ミツキ」
「はい」
「【天体魔法】で最初に教えるのは【流星】と【流星群】だ。」
‐【天体魔法】の一部の魔法のロックが外れました‐
【流星】を習得しました。
【流星群】を習得しました。
わ、【天体魔法】のロックが外れました。
お師匠様に教われば、ロックが外れるのですね。
「ワタシのような威力はまだまだ出せないと思うが、精進することだ。今のミツキなら、ディアデムが満タンになれば使えるだろうよ」
………今ディアデムで増えたMPバーは4割程度まで回復しています。
2本分のMPが吹っ飛ぶ【天体魔法】、すごいですね……
「もしそのサバイバルとやらで使うのなら、ここぞという時に【0:愚者】で使うといい。役に立つだろう」
「はい、わかりました」
「使いどころは間違えるなよ。……さて、帰るか」
そろそろ18時近くなります。
夕飯の時間になってしまうので、戻らなければなりません。
「お師匠様、ありがとうございます」
「たまには師匠らしいこともしないとね」
来たときと同じようにお師匠様の手にわたしの手を乗せて、家へと戻ります。
………【天体魔法】、すごい威力です。
使う場所の事も、考えないといけないかもですね。
お師匠様とヴァイスさんに挨拶して、ログアウトしました。
………王様エンカウントといい、お師匠様の魔法といい、ドラゴンといいお腹いっぱいです。ちょっと精神的に疲れましたね。
お師匠様みたいになるには、どれくらい経験を積めば良いのでしょう。
少しずつ、経験して行きましょう。
お風呂もご飯も済ませて部屋に戻りました。
そしてベランダのハンモックに横になります。
流れ星と言うにはすごい威力でしたが、モンスターを倒すにはすごい有用な魔法です。
……強いモンスターと戦うときの切り札ですね。
MPポーション系をたくさん作ることにしましょう。
「あ、流れ星だ」
ぼんやりと星空を見上げていたら、現実でも流れ星が流れました。
……なんだか幸先が良さそうです。
いい事が起きる気がします。
明日はMPポーション類をたくさん作りましょう!
…………星の砂大量購入、しましょうか。
よし、明日は休みです。
もう寝て、明日は早くからゲームやりましょう!
部屋に戻って寝る準備をします。
おやすみなさい。
おはようございます。
よく寝ました。
朝ごはんを作ったら、ゲームやりましょう。
わたしは慣れた動作でユアストの通知を開きます。
Your Story ‐ミツキ‐
17ページ目
出会いは突然訪れるものです。
縁を大切にしましょう。
友と仲良くやれているようですね。
1人では出来ないこともあります。お互いを高め合うと良いでしょう。
エトワールの魔法は素晴らしいです。
貴方の扱う魔法はどのような物なのか、楽しみにしています。
よく学び、経験を積んでください。
お疲れ様でした。
そう、出会いは突然訪れるのです。
突然のハプニングに襲われても平常心を保つために、滝行でもチャレンジしましょうかね…………
イベントではどんな素材、モンスターや景色との出会いがあるでしょうか。
楽しみですね!
よし、今日も頑張りましょう!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




