新しい発見
ご覧頂いてありがとうございます!
どうぞミツキの物語をお楽しみ下さい。
「もうすぐテストだからな。課題出すぞー」
「ええーーーー」
各教科の担当の先生方が容赦なく課題を出します。
それにクラスメイトがブーイングをします。
テスト………テストが近くなったらゲームはできませんね。
赤点取ったらゲームやらせて貰えなさそうなので、そこは真面目に課題をやりましょう。
今日は課題をやりますかね……頑張れば2、3日で終わるでしょう。
わたしはクラスメイト達と同様に、出された課題を前にして大きくため息をつきました。
課題の提出をし終えて、勉強の息抜きとしてゲームを起動したのは木曜日の夜でした。
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身嗜みを整えて、椅子に腰掛けます。
コッコの串焼き(塩)を食べて、ストレッチをします。
今日は外でポーション作りをしてみましょう。
「こんばんはですお師匠様」
「ミツキか。元気そうだね」
「中々来れなくて……」
「そこはちゃんとやるべき事はやっておいで」
「はい!……今日はお庭で、星光を浴びながらアイテム作りたいんですけどよろしいですか?」
「構わないよ」
お師匠様の許可も頂いたので、お庭にお邪魔します。
お師匠様のお庭は作物が育つスペースと植物が育つスペースが分けられています。
作物と星空、植物と星空を芝生に寝転がってスクショします。
これをスピカさんがお世話しているのでしょう。
とても元気に育っていますね。
植物スペース側の芝生に、キャンプセットの中のアウトドアテーブルを設置します。
そして少しだけ寝転がります。
「きれいだなぁ」
視界にいっぱい広がる星空は、魔花の花園でみた星空より、近く明るく見えます。
心なしか星の瞬きも多いような気がします。
あ、流れ星。
よし、パワー取り込めました。
ポーション作りましょう。
あ、忘れないうちに【神秘】使っておきましょうかね。
どれにしましょう………〈星〉が気になるので召喚してみましょうかね。
「【17:星】」
手のひらの上で星と女性が描かれたカードが浮かびます。
それは光となって、わたしに吸い込まれました。
これもわたしへのバフのようですね。
ステータスを見てみましょう。
ミツキ Lv.10
ヒューマン
メインジョブ:アストラルウィザード Lv.1/サブ:薬師 Lv.1
ステータス
攻撃 21 (+5)
防御 24 (+10)
魔攻 42 (+10)
魔防 25 (+10)
敏捷 30 (+15)
幸運 43 【+20】
【17:星】によりパッシブスキル【可能性】付与
【神秘】効果時間 残り119分
ほう?????幸運へのバフとパッシブスキル【可能性】が限定で付与されています。
【可能性】
ありとあらゆる可能性を広げる。
新しいアーツや新しいアイテムを作る確率が上がる。
わ、わぁ!
わたしの可能性を広げてくれそうなスキルですね。
新しいアイテムですか。作れたらすごいですよね。
アイテム作成向けでもあるバフですね!
「〈みずがめ座〉」
そしてサダルスウドを喚び出します。
「今回もよろしくお願いします」
微笑んで水瓶を抱えます。
そしてコップを片手に持ちました。
その水瓶は重くないんですかね?
よし、では青空教室ではないですが星空の下でアイテム作成です!
黙々と作り続けること1時間。
依頼分のハイポーションとハイMPポーションを作り終えることができました。
そのあと30分かけて自分の分のハイポーションも15本、ハイMPポーションを10本作ることが出来ました。
「サダルスウド、ありがとうございます。よかったら、わたしとパンをはんぶんこしませんか?」
きょとんとした顔でこちらをみるサダルスウドに、お互いに【清潔】をかけて、アイテムボックスから出したクリームパンを半分に、丁寧に千切ります。
「お礼には足らないかもですが、分け合うと美味しいんです」
差し出したクリームパンを受け取って、じっと見つめるサダルスウド。
わたしはクリームパンにかじりつきました。
んむ!美味しい!
うっすらバニラの香りがするのでバニラエッセンスを使っているのでしょうか。
サダルスウドも小さな一口でクリームパンを食べます。
「!」
すると目を大きく瞬き、ふにゃりと笑います。
おお、気に入ったみたいです。良かった。
「美味しいです?」
「!」
コクコク何度も頷いて大事そうにクリームパンを頬張るサダルスウドに胸があたたかくなります。
また買ってきましょう。
作ったハイポーションとハイMPポーションを【鑑定】でちゃんと出来てるか確認しつつアイテムボックスにしまっていると、
星のハイポーション
HPを50%回復する。ランダムなステータス1つを5分間向上させる。
「はえ???」
星のハイMPポーション
MPを50%回復する。ランダムなステータス1つを5分間向上させる。
「これも!?」
急いで作ったハイポーションとハイMPポーションを仕分けます。
かろうじて依頼分のハイポーション、ハイMPポーションの数は保たれました。
しかしこの星の、とつくハイポーションとハイMPポーションは、ハイポーションが8本とハイMPポーションが5本ありました。
お師匠様に報告しましょう!!!
急いで片付けて、食べ終わっていたサダルスウドを連れて室内に戻ります。
「おおおお師匠様!」
「なんだい騒々しいね」
「………何かあったのか」
「ヴァイスさん!」
右手に星のハイポーション、左手に星のハイMPポーションを握って駆け込むと、そこにはヴァイスさんがいらっしゃいました。
全然お庭にいましたが気付きませんでした!
「私はただの報告で来た。それよりもその手に握っているものはなんだ」
「そうさね。どうしたんだいミツキ」
「あ、新しいアイテムを作ってしまったようなので見てもらおうかと」
お師匠様とヴァイスさんが座るソファの間にあるテーブルに星のハイポーションとハイMPポーションを置きます。
そしてお師匠様の隣に腰掛けました。
「ほう」
「これは…」
お二人ともアイテムを見つめて黙り込んでしまいました。
「さてヴァイス。お前はどう見る」
「………ミツキ。これを作ったときの状況を教えてくれ」
「は、はい」
わたしは星空の下で、【17:星】を召喚してサダルスウドの水を使って作り上げたことを説明しました。
「ふむ、それだな」
「それだね」
「まず星空の下だが、君も〈星の視線〉の称号があるだろう。星空の下では常に視られていると思うといい」
「……星に、ですか?」
「そうだ。その〈星の視線〉を受けながら【17:星】の加護を受け、【星魔法】を使って作り上げた。故に出来た物だと推察する」
「そうだ。星の力を重ね合わせた結果出来たものだね」
「師匠はサブが宝石職人で私は学者だ。私達では作ることは出来ないだろう」
「この力は本当に多様性がある」
お師匠様とヴァイスさんは難しい顔をしています。
わたしはそれよりも星に視られていることの方が気になります。
まるで星にも意思が、あるかのよう。
「まぁ何にせよミツキ、これは自分で使うといい。オークションにも出すなよ。あと、リゼットには報告しておくこと」
「は、はい。わかりました」
「薬師は薬師で星の力と相性がいいんだな…新しい発見だ。礼を言おうミツキ」
「い、いえ!偶然出来たものですし。ありがとうございます、〈みずがめ座〉も」
隣に腰掛けてたサダルスウドにお礼を伝えます。
わたしと同じようにできたものに対しびっくりしていたようですが、微笑んでスーッと消えました。
そして思っていたよりも時間が経ってしまったことに気が付きます。
明日も学校です!!
「も、戻らないと」
「そうさね。もう遅い、子供は早く寝るんだね」
「私も帰ることにする。……師匠、ミツキ、ではまた」
「あいよ」
「お会い出来て嬉しかったです、ヴァイスさん」
玄関までヴァイスさんをお見送りして、わたしもお部屋に戻ります。
「お師匠様、おやすみなさい!」
「はいはい、おやすみ」
勢い良くベッドにダイブします。
そしてログアウトしました。
「はわ、もう23時近くになる」
急いでアラームをセットして、明日の準備と寝る準備をします。
持っていく教科書をカバンにしまって、よし!
寝ます!
「おやすみなさい」
起きました。
おはようございます。少し眠いですね。
そして慣れた動作でユアストからの通知を開きます。
Your Story ‐ミツキ‐
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水瓶の子と食べたパンはどうでしたでしょうか。
とても美味しく感じたことでしょう。
新しい魔法を使って新しいアイテムを作ったようですね。
とても素晴らしいです。おめでとうございます。
きっと忘れられない日になったことでしょう。
お疲れ様でした。
はい、忘れられない日になりました。
どの組み合わせで何が作れるのか、気になってしまうところです。
全然わかりませんがね!
それはこれからゆっくりやりましょう。
よし、今日も1日頑張りましょう!
そろそろイベントでも挟みましょうかね……
これからもこの作品をよろしくお願いします!