ルクレシアの冒険者ギルド
続きです。
お楽しみください!
石碑前の道を南下します。
NPCと思われる住人たちが、生活しています。
(さっきのグレナダさんもそうだけど、普通にお話もできるし子供たちは走り回って遊んでるし、売買もしてる。すごい技術だなあ)
ゲームだけど、私たちと同じように生きてる、って感じがする。AI技術?ってすごいです。
「お、あれかな」
一際大きい赤い屋根の建物が目に入ると、それに伴ってプレイヤーっぽい人たちの数も増えていきます。
合間をすり抜けてわたしは冒険者ギルドの中へと入りました。
(えっと、鑑定、買取……あ、登録)
わたしは登録と書かれた受付の列へと並びます。
しばらく並んで待っていると、わたしの順番になりました。
「お待たせいたしました。ようこそ、ルクレシアの冒険者ギルドへ。本日はご登録でよろしいですか?」
「はい、ミツキと言います」
「かしこまりました。冒険者ギルド受付リルファが承ります。ミツキ様、それでは右手でこちらの水晶に触れていただいて、左手をこちらの板の上に置いて頂けますか?」
受付の女性、リルファさんの言う通りに手を乗せると、一瞬青く光りました。
その様子に目を瞬かせて首を傾けたわたしの様子を見て、リルファさんは小さく笑います。
「はい、離していただいて大丈夫です。……こちらの水晶でミツキ様のステータスを読んで、こちらの板に写したのです。こちらがミツキ様のギルドカードとなります。見せたくないステータスは、隠しておくことをオススメしますね」
受け取ったギルドカードには、わたしのステータスと1番下にGランクと書かれていました。
「ギルドカードは紛失すると再発行に100リル戴きますのでご注意下さいね。ギルドについての説明はお受けになりますか?」
名前とランク以外のステータスを全て隠した状態にしつつ、リルファさんの言葉に頷きました。
「冒険者ギルドでは依頼の受注、鑑定、買取、訓練を行っております。依頼はあちらの壁のボードにある依頼書を依頼カウンターまでお持ちください。ランクによって受けられる依頼と受けられない依頼がありますので、依頼書をご確認くださいね。鑑定は当ギルドの鑑定士が鑑定を行わせていただきます。素材が多いとお時間頂きますのでご容赦ください。料金も素材の量で増減いたします。買取も同様ですね。訓練は、当ギルドの職員が戦闘訓練をおこなっていますので、参加ご希望でしたら扉の前の職員にお声掛けください。」
「はい、わかりました」
「そしてギルドランクですが、初めは皆様Gランクからのスタートとなります。ランクはG、F、E、D、C、B、A、S、SSとなります。最高がSSランクです。一定の依頼を達成していただきますと、ランクが上がる仕組みになっています。そちらはギルドカードに書かれていますのでご覧くださいね」
ギルドカードに書かれてる?
わたしはギルドカードをみてみました。
ミツキ Lv.1
ヒューマン
Gランク
ランクアップまで
採集依頼 5
討伐依頼 5
あ、わかりやすく書いてあります。初心者に優しいですね。
「以上で簡単にですが、説明とさせて頂きます。なにかご質問等はありますか?」
「今のところは特に、大丈夫です。ありがとうございました、リルファさん」
「ミツキ様の冒険に幸福あらんことを」
リルファさんにお礼を伝え、わたしは依頼ボードを見てみました。
(わたしはGランクだから、やっぱりここはGランクって書かれた依頼書からこなしていくべきだよね)
見覚えのない単語の採集依頼と討伐依頼だけど………ゴブリン、ウルフ、スライム………ゲームっぽいですね……
教会の掃除もあります。これは後でやってみましょう。
迷った末にわたしは2枚の依頼書を持って依頼カウンターへ持ってきました。
「この依頼を受けたいのですが」
「はい、ギルドカードもよろしいですか?」
わたしはギルドカードと一緒に依頼書を受付のお姉さんに渡しました。
〈採集依頼〉
魔力草 ×30
〈討伐依頼〉
角ウサギ
10体討伐
「魔力草採集と角ウサギの討伐任務ですね。………依頼カウンター受付のサイファが受注確認いたしました。討伐数はギルドカードに表示されますので都度ご確認ください」
「はい、ありがとうございます」
「完了しましたら再度依頼カウンターまでお声掛けください。お気をつけていってらっしゃいませ」
「あ、サイファさん少し聞きたいことがありまして」
「なんでしょうか?」
わたしは少しサイファさんに近付いて、小さめの声でサイファさんに話しかけます。
「わたし、初めての冒険なんです。必要な準備とか教えてくださる方ってギルドにいらっしゃいますか………」
わたしは冒険初心者でこの手のゲームにも慣れていません。フレンドはいませんし事前に準備とか教えていただかなければ………
「ふむふむ。…………少々お待ちください」
サイファさんはギルド内を見回すと、
「カレン!こちらに来てください!」
と大きめの声で誰かを呼びました。
すると壁際にいた背の高い女性が、こちらへと近寄ってきます。
「なんだよサイファ。何か用か?」
「先程すべての依頼を終わらせていましたよね?ちょっとお願い聞いてくれませんか?」
「お願い?それはこの渡り人の嬢ちゃんと関係あるのか?」
「は、はい!ミツキと言います」
「ミツキ様の冒険の手ほどきをお願いしたいのです。……ミツキ様、カレンはガサツで少し男っぽいところもありますが面倒みがよくてそこそこの強さがあります」
背が高く長めのポニーテール、大剣を背負った女性、カレンさん。
カレン Lv.45
ヒューマン
???/???
レベルたっか!何も見えません!
そして名前が緑なので、この方はNPCのようです。
「………しゃーねぇな。これも冒険者の先輩としての勤めってやつか」
「はい。お願いしますね、カレン」
「わーったよ。さて嬢ちゃん、ミツキと言ったか」
「はい!」
「冒険者のイロハってやつ?とりあえず教えてやるさ。ついてきな」
「はい!ありがとうございます!よろしくお願いします!サイファさんもありがとうございました!」
サイファさんは目礼と手を振ってわたしを送り出してくれました。
さて、ギルドの扉を開けて出ていったカレンさんを追いかけなければ!