アストラルウィザード
皆様からよく天体観測してないとのご感想等頂きますが、その通りなのです。全然ゲーム内で天体観測してないのです。
今の拠点が街なので、夜18時には門が閉まって特別な手段出ない限り街の外へ出ることは出来なくなります。
それに平日の夜はゲームを大体20時から始めますし、街中は明るくて天体観測に不向きなのです。
もう少ししたら拠点をルクレシアでない場所にする予定なので、その辺りから天体観測の描写は増やします!
魔法云々はふんわりとお読みください。
「その辺の説明もしなきゃならんね。ワタシのログハウスに移動しようか」
「はい」
キャンプセットは触れれば収納するかどうか選べたので、収納を押すと小さな箱になりました。
この箱に魔力を流すとセットが展開されるのです。
いい技術ですね!
「ワタシの手に掴まりな」
「は、はい」
お師匠様の手にわたしの手を乗せると、お師匠様は片手に懐中時計を手にします。
やはりあれが何かのアイテムなのですね。
そして一瞬の浮遊感と共に閉じた目を開けると、ログハウスの目の前に戻って来ていました。
「さ、入ろうか」
「はい、お邪魔します」
わたしはお師匠様のログハウスにお邪魔しました。
「ひえ」
なんかログハウスの見た目と中身の広さが違います。
なんか部屋数も多いです。
「見た目と中身が随分と違う………」
「ハッ面白いこと言うねえ。魔法をふんだんに使ったログハウスなんだよ」
そしてリビングと思われる場所でソファに腰掛けます。
ふわふわ!!!すごくふわふわです!!!
ふわふわでふかふか………素晴らしい………
手触りを楽しんでいるとお師匠様が紅茶とケーキを置いてくれました。
「料理の礼さ。ごちそうさま、美味かったよ」
「あ、ありがとうございます。お口に合って良かったです」
「さてゆっくり話そうかね」
お師匠様は紅茶をゆったりとした動作で飲むと、きれいな所作で戻します。
それらも見て覚えましょう。
「さて、アストラルウィザードについてだったな。アストラルウィザードはさっきも言ったが【天体魔法】、【星魔法】、【神秘】を使うことが出来るウィザードさ」
「全部聞いたことないですね………」
「そりゃどこにもこの魔法に関するものは置いてないからね。図書館にあるのは童話ばかりさ」
この世界で星について図書館で調べるなんてことさっぱり抜けていましたからね。
なまじ知識を持っていると後回しにしてしまって駄目ですね。
反省します。
「【天体魔法】はその名の通り、宇宙に存在して観測できる物体、または理論的に存在が考えられて研究対象になる物体を魔法として扱うものだね。簡単に言えば宇宙空間に存在する物体のことさ」
「それは、惑星や彗星、銀河やブラックホールと言ったものもある、ということですか?」
「そうさね。使い手が未熟なうちはそう大した威力にはならないが、ワタシなんかが使うとそりゃもう災厄クラスさ」
「さ、災厄クラス………」
ま、まぁそうですよね。
超新星爆発とかブラックホールとか絶対ヤバいやつですもん。
更地どころか地面も抉れそうです。環境破壊です。
「そこは今後魔力のコントロールを習得してもらうとして、何もない場所で練習だな」
「は、はい」
「ミツキは知識があると聞いた。思い浮かべているものが魔法として使えると思っていい。だが炎魔法などの魔法と異なりMPの消費が大きいのさ。今のミツキのMPだと足らないだろうよ」
えっそれはMP全部消費して発動するタイプの魔法でしょうか?????
炎魔法40回くらいは撃てるようになりましたがまだ足らないのですね………
それは安易に使えませんね。
「せめて種族レベルがあと10は上がると1回撃てるようになる程度だろう」
「10も上げないといけないんですね……」
「そこは地道にやるしかないな。レベリング連れ回してもいいんだが」
「……実力が伴わないのにレベルだけ上げるのは……」
「………まぁそれが必要になることもある。レベル制限のあるダンジョンもあるからな。まぁ必要になったら積極的にレベルを上げることを薦めるよ」
レベル制限のあるダンジョン……経験値とお宝の気配がしますね。
レベル………上げもしないとですね………
1人で戦うのは時間がかかりますよね。
兄でも引っ張りましょうか………
出会った人をフレンドにナンパするか……いやわたしには無理です。勢いでなら言えるかもしれませんが断られたら泣きます。
「【天体魔法】はMP消費と威力が高い魔法ってことさね。それだけ覚えてくれればいいさ今はね」
「はい、わかりました」
「つぎは【星魔法】だね。【星魔法】は種類が多く汎用性がある。戦闘向け、日常生活向け、なんなら滅多に喚ばないものだってある。いわゆる召喚魔法の亜種だね」
「召喚魔法………どのような魔法なのでしょう」
「ミツキの世界にも星座はあるかい?」
「はい、神話とセットであります」
「この世界にも星座はある。88星座なのも同じかね」
「はい!わたしの世界も88星座あります。………まさか」
「【星魔法】は88種類ある」
「やはり!」
多すぎますね!!!!
100種類以上ある星座を88個までおさめた88星座、その数だけ魔法があるのはむしろよく作りましたねこのゲーム。
ですが確かに考えると88星座は動物やら人やら物やらたくさんあります。
どんな場面で使えるんだろう、と考えるものも多いですね。
「例えば、ぎょしゃ座だとどのような魔法になるのでしょう?」
「ぎょしゃ座は、馬車を所有していたら喚び出せば御者をやってくれる」
「御者……戦闘向けではないですね」
「御者だからね」
「……りゅうこつ座はやはり船に関する魔法ですか?」
「りゅうこつ座はその通り竜骨だからな。船に憑依させれば竜骨が壊れないようになるな」
な、なるほど。
ほぼ名前の通りの性能なのですね。
汎用的というか、限局的というか。
確かに喚べるものと喚べないものがありますね。
「おおいぬ座とこいぬ座は猟犬だからな。すぐ逃げる希少性の高いモンスターとか逃さないし囮もできる。みずがめ座はいつでもどこでも水を出せる」
「割とそのまま単純な性能ですね………」
「こればかりは喚んでどんな性能か確かめてもらうしかないね。種類は多いが用途が限られる」
選り取りみどりは迷っちゃいますよね……
聞いていると呼び方は1等星もしくは星座を構成する星の中で1番明るい星の名前がついているみたいですね。
覚えました。
確かにどんな場面で活躍するか、考えねばならないですね。
それを考えるのも楽しいですが!
時間があるときに性能を見てみましょう。
「【星魔法】はそんな感じだな。大丈夫かい?」
「星座を呼び出す、召喚魔法が【星魔法】。戦闘向きでもあり、日常生活向きでもあり、タイミングが合わないと喚んでも意味がない場合もある、ということですね……」
「そうさ。覚えておいてやってくれ」
88星座は覚えているので問題ないですが、今一度神話とか学び直しておきましょうかね……
通学時間はそれに当てましょう。
「さて最後に【神秘】だが、アルカナって聞いたことあるかい?」
「タロットカードとかでよく聞きますね……」
「そちらにもタロットカードはあるんだね。この魔法は主に大アルカナのタロットカードを使って発動させるものさ」
タロットカード!
昔興味を持って調べたことがありますが挫折した覚えがありますね。
正位置とか逆位置とかあると聞きましたが、それもあるんでしょうか。覚えられません………
「この【神秘】は1日に1回しか使えない。ワタシが星詠みに使っているのは〈世界〉のアルカナさ。〈世界〉のアルカナ以外は全てバフ、デバフとして使うことができる。あ、正位置だけさ」
「なるほど、【神秘】は支援系の魔法なのですね」
「そうさね。例えば、〈魔術師〉のアルカナ。これはウィザードに対してバフを与えることができる。魔攻や魔防だけ大きくバフをかけることが出来るって感じだね」
1日に1回使える大きな支援、ということですね。
1日1回とはいえ、大変便利な支援ですね。
………便利すぎるがゆえに、目をつけられてしまったんでしょう。
「〈世界〉のアルカナは熟練度がMAXになったら使えるようになる。その時に、使い方は教えよう」
「……はい、よろしくお願いします」
現実に戻ったら大アルカナについても詳しく学んでおきましょう。
このアストラルウィザードとなって覚える魔法は、軽い気持ちで使っていい魔法ではないですね。
気を引き締めて、学んでいきましょう。
「さて、こんなもんかね」
「お話、ありがとうございます」
「これからよろしく頼むぞ」
「はい、気を引き締めて学ばせて頂きます!」
「堅い堅い。もっと楽しんで行きなね」
お師匠様のご用意してくれた紅茶とケーキを頂きます。
苺のショートケーキですね。
生クリームがさっぱりしてて美味しいです。
あ、お昼の時間になります。
少しだけお暇させて頂きたいですね。
「お師匠様、少しだけ自分の世界に戻っても良いですか?」
「渡り人は時折自分の世界に戻らねばならんのだろう?気にせず戻るといい。あ、ゲストルームを使いな」
お師匠様はわたしをゲストルームとやらに案内してくださいました。
白黒で落ち着いたお部屋ですね。
ホテルのルームみたいな感じで素敵です。
こ、これがゲストルームですか………
「戻ったら声をかけておくれ」
「はい。ありがとうございます」
手を振ってお師匠様はお部屋を出ていきます。
わたしはベッドに腰掛けて聞いたお話を忘れないように反芻します。
天体と88星座とアルカナについて学び直すことにします。
ひとまずお昼のためログアウトしましょう。
ログインしたら転職せねば!
設定を考えるのは楽しいのですがちょっと盛りすぎたような気がします。が、主人公が一番強い訳ではないのでふんわりとお楽しみください。
これからもこの作品をよろしくお願いします。




